Home » 新型デバイス『Meta VR Glasses』は何がすごいのか? 先行体験して分かった魅力を語る【Podcastもぐラジオ要約版】


VRヘッドセット 2026.10.01

新型デバイス『Meta VR Glasses』は何がすごいのか? 先行体験して分かった魅力を語る【Podcastもぐラジオ要約版】

XR/メタバース/VTuber専門メディア「MoguraVR」は毎週、Podcast「もぐラジオ」を配信中。「テック・コンテンツ業界の最前線を掘る」というコンセプトのもと、すんくぼ(MoguraVR編集長)とゆりいか(MoguraVR副編集長)が業界の注目トピックを語ります。

今回取り上げる注目トピックは、Metaが9月24日の発表会「Meta Connect 2026」で発表した新型VRデバイス「Meta VR Glasses」です。グラス本体の重さは約100gで、従来のヘッドセットとは異なるメガネ型の形状を採用しています。発売は2027年春の予定です。先行体験した編集長の久保田が、軽さや「VR Enhanced」による映像体験の魅力、Questとの違い、今後の可能性について語りました。

(※本記事はポッドキャスト「もぐラジオ」の対談内容を要約・編集したものです)

久しぶりの収録、見逃せない発表がありました

ゆりいか:第206回のテーマは「約100gの衝撃!新型デバイス『Meta VR Glasses』は何がすごいのか?」です。

すんくぼ:本当に久しぶりの収録になりました。

ゆりいか:番組をやめたわけではないんですよね。

すんくぼ:やめてはいません!なかなか収録できていなかっただけです。僕としては毎週、なんなら週2回でもやりたいくらいなんですよ。

ゆりいか:ただ、収録できない状態が当たり前になるのも良くないですよね。

すんくぼ:そうなんです。それに今回は本当に大きな話題が来ました。これを外すわけにはいかないので、収録することにしました。

ゆりいか:9月24日にMetaの発表会「Meta Connect 2026」が開かれました。そこで念願の新型VRデバイスが発表されたんですよね。

すんくぼ:はい。「Meta VR Glasses」という名前のデバイスです。

ゆりいか:Metaについては、VR関連で不景気なニュースが続いていました。もうVRはやらないのではないか、AIだけになるのではないか、という声もありましたよね。

すんくぼ:グラス型しか作らないのでは、とも言われていました。そこに「VRグラス」という、少し意外な形で出てきましたね。

「Quest」ではない新しい名前の意味

すんくぼ:まず名前の話からすると、英語では「Glasses」と複数形なんです。メガネはレンズが2つあるので、ペアとして扱うんですね。ただ、日本語では「メタVRグラス」と読むそうです。Metaの広報の方がそうおっしゃっていました。

ゆりいか:これまでのMetaのVRデバイスとは違う名前の付け方ですね。

すんくぼ:歴史をたどると、Oculus RiftやOculus Go、Rift S、Questと続きます。その後はMeta Questで、最近はほぼQuestシリーズでした。しばらくQuestシリーズが続いていたところに、今回はまったく違う名前で出てきたわけです。MetaのVRデバイスではありますが、Questではありません。

ゆりいか:「Quest 4に相当する」という紹介も見かけますが、違うみたいですね。

すんくぼ:そうですね。ただ、Questシリーズをやめるわけではありません。Questの後継機を改名したものでもないと明確にされています。Questは価格が安く、スタンドアロン型なのが特徴です。スタンドアロン型とは、パソコンなどにつながず本体だけで動く方式のことです。有線接続なしで、必要なものがすべて入っています。

ゆりいか:今回のようなハイエンドなVRグラスとは別物、ということですね。

すんくぼ:はい。ターゲットにしているユーザー層も、用途も違うかもしれません。同じVRでも性格が違うことを示す名前なのかなと思います。

あえて選ばれた「VR」という名称

すんくぼ:ただ、取材の現場でも突っ込んでしまったんですが、略せないのが一番つらくて。

ゆりいか:確かに。Meta Questはみんな「クエスト」と呼んでいますよね。

すんくぼ:これは何と呼べばいいんでしょう。「VRグラス」でしょうか。

ゆりいか:「メタグラス」と略そうにも、Metaには別の製品がありますよね。

すんくぼ:AIグラスのシリーズがすでに「メタグラス」と呼ばれていますからね。

ゆりいか:私たちメディアとしては、何と略せばいいんでしょうか……。名前には、すでに「VRなんだ」という反応も出ていますね。

すんくぼ:MRでもXRでもなく、VRグラスなんですよね。MRは現実の映像にCGを重ねる技術のことです。XRはVRやARなどをまとめた総称です。Metaは広告やマーケティングの会社でもあります。なので、名前には意外とこだわっていると思うんです。略せない点だけは理解できませんが、VRという言葉を選んだのは納得しています。

ゆりいか:MRもXRも、まだ一般的な言葉ではないですからね。

すんくぼ:正確さで言えばMRのほうが正しいのかもしれません。XRと呼んで、VRもパススルーでのMRもできる、と言ってもいいはずです。パススルーとは、カメラで撮った周りの景色を映す機能のことです。

ゆりいか:それでもあえてVRにしたと。

すんくぼ:「Quest Glasses」のような名前にもしていません。Questとは違うけれど、Metaが出しているVRデバイスだと伝われば十分、という考え方なのかなと思います。

ゆりいか:AIグラスとも違う、という点もポイントになりそうですね。

すんくぼ:もう一つ、名前にも表れている大きな変化があります。これはもう、ヘッドセットではないんです。ダイヤルを回したり、バンドを締めたりする形状ではありません。僕らが10年付き合ってきたVRの形を、明確に変えるデバイスです。耳にかけるタイプになっています。

ゆりいか:そうなると、VRヘッドセットとは呼べないですね。

すんくぼ:HMD、つまり頭に装着する機器とは言えます。頭にマウント、つまり載せてはいますからね。ただ、何に近いかと言えばメガネです。グラス型デバイスに近づいているので、グラスという名前を付けたのではないでしょうか。

ゆりいか:名前だけで5分以上話していますね(笑)。

すんくぼ:本当ですね。そろそろ概要を見ていきましょう。

発売時期・価格・重さなどの概要

ゆりいか:発売は2027年春です。来年までお預けですね。価格は1,299.99米ドルで、約1,300ドルです。日本円では約20万4,000円ですが、日本での価格はまだ発表されていません。

すんくぼ:日本価格はまだわからないですね。

ゆりいか:そして、一番大きいのが重さだと思います。グラス本体が約100gと、とても軽いんです。

すんくぼ:そこが最大のポイントですね。

ゆりいか:構成は、グラス本体と「パック」に分かれています。パックは処理を担う小型コンピューターのようなものです。この2つを光ファイバーケーブルでつなぐ形です。
すんくぼ:ディスプレイはマイクロOLEDですね。マイクロOLEDは、小さく高精細で明るい表示に向く方式です。

ゆりいか:片目2.5Kのパネルを左右で使い、合計5Kです。VRデバイスのスペックでは、この合計で表す言い方が定着しましたね。

すんくぼ:最初は「厳密に言えば合算数値で表記するのは違うのでは」と言われていましたが、すっかり馴染みましたね。

ゆりいか:また視野1度あたりの画素数を示す数値のPPDは37です。

すんくぼ:OLEDなので、かなり明るく表示されるのではと思っています。映像と音声では、Dolby VisionとDolby Atmosに対応しています。空間オーディオにも対応しています。プロセッサーはQualcomm Snapdragon Reality Eliteという新型です。今年6月ごろに発表された、ハイエンドXRデバイス向けのチップセットですね。XREAL AURAにも搭載されるものです。バッテリーは、高解像度の映像を連続再生して最大3時間です。45Wの急速充電にも対応しています。操作方法は音声、視線、ハンドジェスチャーです。コントローラーなしで操作できる、ということですね。

ゆりいか:このスペック表を見る限り、いい感じがしますね。

すんくぼ:その何とも言えない感想は、ゆりいかさんがまだ体験していないからですね。

ゆりいか:そうですね(苦笑)。

すんくぼ:補足しておくと、搭載されているカメラやセンサーの数はまだ明らかになっていないと思います。周りや手の動きを読み取る「トラッキング」のための部品ですね。

ゆりいか:実物を見た限りではどうでしたか?

すんくぼ:自分で数えたわけではないですが、上部だけで4つほどあります。側面にも1つあり、たしか下のほうにもあったはずです。ぱっと見ではわかりにくいんですけどね。

ゆりいか:あのサイズでそれだけ入っているんですね。

すんくぼ:ARグラスと比べても遜色ない小ささです。そこにカメラとセンサーがしっかり載っています。スピーカーとマイクも内蔵されています。QuestからプロセッサーとバッテリーをI外に出したもの、が一番近いと思います。Questと比べて劣化させた部分は基本的にありません。

ゆりいか:Questの機能や部品は、そのまま引き継がれていると。

すんくぼ:維持されています。そのうえで、驚くほど軽い100gです。

つけている感覚がない軽さ

すんくぼ:これまで僕が体験した軽量デバイスでは、Bigscreen Beyondがあります。Bigscreen社が出している、軽量のモデルです。外部センサーが必要なタイプで、ベースステーションという、部屋に置く外部センサーが必要です。初代モデルでは127g程度でした。

ゆりいか:あれもかなり軽かったですよね。

すんくぼ:それよりさらに軽いんです。スマホよりも軽くなっています。もちろんスマートグラスほど軽くはありませんが、それでも、つけている感覚がほとんどないんです。

ゆりいか:本当に乗っているだけ、という感じですか。

すんくぼ:そうです。公称では従来型ヘッドセットの5分の1の重さとしています。重さが5分の1になった効果は、ほとんどの方が未経験だと思います。つけている感覚がなくなるのは、とても大きいです。首が痛くなることもなくなります。耳に違和感をもつ声もあるかもしれませんが、長時間使うためにヘッドセット風に改造する人も、きっと出てくるでしょう。

ゆりいか:違和感は少しずつ解決されていきそうですね。

すんくぼ:Oculusの頃から10年たちましたが、ようやくここまで来たなと思います。

ゆりいか:新しい感覚で体験できそうですね。

すんくぼ:日本ではVRChat以外だと、VRが少し下火になりつつある部分もあります。それでも、これまでヘッドセットを使ってきた方全員に試してほしいデバイスです。

Apple Vision Proで挫折した「持ち歩き」を解決

すんくぼ:何よりインパクトがあったのは、Apple Vision Proとの比較です。僕は長らくVision Proを使っていたんですよ。

ゆりいか:毎日持ち歩いていましたよね。

すんくぼ:はい、毎日です。

ゆりいか:大変ですよね。たしか800g前後でしたっけ。

すんくぼ:重いものを持ち歩いていました。オフィスでもスターバックスでも使い、出張先のホテルでも使っていました。デュアルディスプレイやマルチモニターが好きなので、仕事環境としては最高だと思っていました。そういう回も収録した記憶があります。

ゆりいか:ありましたね。

すんくぼ:ただ、残念ながら持ち運べたのは1年くらいでした。重さとかさばる点がネックでしたね。入れるだけでリュックの半分くらいが埋まります。トートバッグに気軽に入れられる重さでもありません。

ゆりいか:つけているときも重さは気になりますよね。

すんくぼ:気になっていました。その問題が、Meta VR Glassesでは一気に解決されています。体験として劣る部分もありますが、個人的には合格ラインです。めちゃくちゃ欲しいと感じました。

ゆりいか:Vision Proから3年ですか。

すんくぼ:来年の春で3年です。ようやく出てきたと思いますし、まだ先もあると感じます。Vision Proは片目4Kで、Meta Quest 3の大きな上位版として登場しました。でも、みんながVision Proでしたことは、VRゲームではありませんでした。仕事に使うことや、映像を見ることが中心だったんです。

ゆりいか:最初のデバイスならではの課題もありましたよね。

すんくぼ:その課題を、Metaがまとめて回収しに来たという印象です。QuestとVision Proの間には、大きな隔たりがありました。上位互換とまでは言えませんが、Questよりすべての品質が高いです。そのうえで小さく軽い体験を出してきたのは、面白いと思います。

ゆりいか:価格はどう見ていますか?

すんくぼ:Questのように10万円以下ではない点は仕方ないと思います。ゲーム機感覚で気軽に買えるものではありません。スマホやテレビのような、少し値の張る電子機器に近いです。個人差もあるので、Questのほうがいいという人もいるでしょう。同じ時期に出るSteam Frameのほうがいい、という人もいるはずです。好みの差は必ずあると思います。

コントローラー・キーボード・トラックパッドの使い心地

すんくぼ:補足すると、小さくて軽いのは本当に良かったです。感動的なレベルでした。ハンドトラッキングもアイトラッキングも、問題ありません。ハンドトラッキングは手の動きを、アイトラッキングは視線の動きを読み取る機能です。Vision Proと同じ水準で使えて、Questの水準も当然クリアしています。

ゆりいか:ゲームなどでコントローラーを使いたい場合はどうでしょう?

すんくぼ:そこもクリアしています。Quest 3のコントローラーがそのまま使えるんです。新しく買う必要がなく、専用コントローラーもいりません。側面にもカメラがあるので、ハンドトラッキングの範囲も広かったです。コントローラーもカメラで捉えるので、それなりに広いと思います。まだ検証は必要ですが、問題はなさそうでした。

ゆりいか:ほかに良かった点はありますか。

すんくぼ:キーボードですね。長文を書けるかと聞かれると自信はありません。ただ、Vision Proの、空中に浮かぶキーボードは打ちにくいんです。机の上に出そうとしても出せないので、物理キーボードを持ち歩くことになります。

一方で、今回のデバイスでは、机の平面を認識して、そこにバーチャルキーボードが出ます。しかも、ほとんどずれません。指をきちんと動かせば、ちゃんと打てるんです。トラックパッドも良かったです。指の動きもちゃんと読み取ってくれます。机にキーボードが埋め込まれ、右隣にトラックパッドがある感覚です。

ただし、机が硬いので、指を動かすと沈み込みがありません。キーボードに慣れた人は疲れるかもしれません。机からの反発で打ちにくい、という面もあると思います。それでも、キーボードを持ち歩かなくてよくなったのは大きいですね。個人的には、そこがすごく良かったです。

ゆりいか:Questにもキーボードとトラックパッドの機能はあります。ただ、Questではほとんど使われていませんでした。使われていなかった機能が、生きてくるわけですね。

映像体験を変える「VR Enhanced」

ゆりいか:次は映像面での性能ですね。

すんくぼ:Dolby VisionやDolby Atmosなど、映像規格を強く打ち出しています。映像を見ることを、主な用途の一つにしているんです。Disney+やNetflixへの対応も発表されています。

すんくぼ:Vision Proで先行していた機能に近いものがあります。動画を大きく見られるだけではありません。動画に合わせて、周りの環境が変わるんです。Metaは、それを「VR Enhanced」という新しいフォーマットとして紹介しました。VRで大画面を見るならこうだ、という新しい見せ方です。

ゆりいか:具体的にはどう違うのでしょうか。

すんくぼ:環境が、シーンに合わせてちゃんと動くんです。僕が見たのは、マーベルの『マイティ・ソー』の終盤だったと思います。宇宙か惑星で、敵と戦うシーンでした。大きな電磁砲のようなビームが出る戦闘シーンです。発射前は何もない空間です。でも電磁砲が撃たれると、周りにもビームが出るんです。

ゆりいか:映像の外にまで演出が広がるんですね。

すんくぼ:映像の中で電磁砲が壊されて収まると、環境も元に戻ります。完全にフルCGの環境変化です。何回か見たことがある程度ですが、ScreenXに近いと思います。3面にスクリーンがある上映方式ですね。実写が広がるわけではないのでIMAXやScreenXとは違います。それでも、映画のシーンに360度入り込んだらこうなるんだろうなという感覚です。後ろを見ると、ちゃんと後ろにも空間があるんです。

ゆりいか:良さそうですね。

すんくぼ:作るのが大変そうだと思うと、元も子もないんですけどね。普通の映画でも自動で再現されるなら、これで見る理由になります。それくらい良かったです。

ゆりいか:映画館では絶対に見られないフォーマットですね。

すんくぼ:画面の周りが、すべてバーチャル空間になっていますからね。

ゆりいか:気になるのはコスト面ですね。

すんくぼ:内部的に頑張らないといけない部分があると思います。すべての動画やYouTubeで自動的にできる世界は、まだ遠いでしょう。それでも、この視聴環境はとても面白いです。ノーラン監督の映画を、これで見てみたいですね。『オデッセイ』もIMAXのGTレーザーで見て、すごく良かったんですが、この環境でノーラン作品を見られたら、とても感動すると思います。

ゆりいか:IMAX関連の対応もあるんですよね。

すんくぼ:「IMAX Enhanced」に対応しています。家庭用テレビでも一部のモデルしか対応していない規格です。IMAX特有の縦横比で、動画を見られるんです。

ゆりいか:映画好きにはたまらないかもしれませんね。

視野角に満足できるかは個人差がある

ゆりいか:そこで気になるのが視野角ですね。SNSでは「視野角が狭い」という声もありました。

すんくぼ:もっと大きな画面で見たい人はいると思います。Vision Proのように、視野角も広く解像度も高いものを求める人ですね。ここは本当に個人差です。僕は視野角は気になりませんでした。

ゆりいか:Quest 3でも、家で映画を見ることはできましたよね。

すんくぼ:同じようなことをしているのに、感覚としては新しいです。デバイスは軽く、つけている感覚もあまりありません。目の前に大画面が浮かび、シーンが変わっていきます。ScreenXのような環境が家にある状態です。MetaのSDKを使えば、複数人での体験も作れると聞いています。SDKは、アプリを作るための開発キットのことです。

ゆりいか:隣の家族や友達と一緒に見られるわけですね。

すんくぼ:みんなでホームシアターのように並んで見られたらいいですよね。

ゆりいか:いいですね。何台必要になるんだ、という話ではありますけど。

すんくぼ:1,300ドルなら、いけるかもしれません。

ゆりいか:仕組みとしてはできるんですよね。

すんくぼ:原理的には、マルチプレイと同じなのでできます。課題は映像の権利関係です。ストリーミング配信は、1アカウントごとに配信されますからね。

ゆりいか:家では1つのアカウントを、みんなで見ることが多いですよね。

すんくぼ:ヘッドセットだと1台ずつになるので、それができないんです。これは配信元側の問題で、プラットフォーム側がどうするかという話です。先ほど話したBigscreenは、まさにそれを可能にしているサービスです。ソファに並んで、テレビではなくMeta VR Glassesをかける。VR Enhancedなら、みんなでやってもいいと思いました。

ゆりいか:それなら、一人ずつ空間が用意されている意味がありますね。

すんくぼ:横を向くとみんながいて、同じ空間で見ている不思議な感覚です。ディズニーやUSJの、ハリー・ポッターのような全方位型アトラクションに近いです。それに乗りながら映画を見ている状態ですね。

矯正レンズとライトシールは別売

すんくぼ:細かい点では、矯正レンズがあります。グラス型なので、メガネをかけたまま使うことはできません。

ゆりいか:それはもう無理なんですね。

すんくぼ:コンタクトを使うか、矯正レンズを買うかのどちらかです。矯正レンズは別売りです。

ゆりいか:見た目にも隙間がありますよね。

すんくぼ:顔に乗せているだけなので、隙間がかなりあります。VRで隙間があっていいのか、という問題が出てきますが、ただ、思ったより外からの光は入ってきません。通常のヘッドセットより、目とレンズの距離が近いためです。それでも気になる人は光を遮るライトシールが別売りで出ます。それを買えば没入感を高められますね。少しお金を出せば対応できるわけです。

ゆりいか:全体を通して、満足度は高めですね。

すんくぼ:そうですね。僕は正直、Vision Proを常用したかった派です。改めてそこに挑戦できるのが、まずすごくいいと思っています。視野角も自分はクリアだったので、欲しいと感じました。ただ、個人差があるので、ぜひ確かめてほしいです。

ゆりいか:こればかりは使ってみないとわからないですね。Vision Proの思い出に引っ張られている部分もありそうです。SNSでも「Vision Proに本当に求めていたもの」と言う人が結構いましたね。

登場フラグは、いつからあったのか

ゆりいか:このデバイスが出るきっかけを調べてみると、面白いことがわかりました。2026年3月のGDCでの講演内容と、とても近いんです。GDCはゲーム開発者向けの大きなカンファレンスです。この番組でも話しましたよね。

すんくぼ:話しましたね。MetaのVRゲーム部門のクリス・プルエット氏の講演です。これまでVRのユーザーは、ハードコアゲーマーが中心でした。最近のQuestユーザーは、北米の10代が中心になっています。

ゆりいか:そうではない層が、これから入ってくると言っていたんですよね。

すんくぼ:「大画面テレビの代わりにVRを買う大人たちがやってくる」という話でした。今振り返ると、1年後にこのデバイスを出す予定だったからこその発言です。種明かしのような講演でした。コンセプトは新しい層を連れてくることなんですね。既存のVRユーザーの買い替えも、もちろん歓迎しています。Questのゲームもすべて遊べるようにしています。ただ主な目的は、市場を広げることです。

ゆりいか:これまでのデバイスに不満だった人たち、ということですか。

すんくぼ:買わなかった人や、もっとこうだったらと思っていた人です。そうした人たちにアプローチするデバイスです。長く使う人や、仕事に使う人に向けて作られています。体を活発に動かして遊ぶ層には、Questで対応するという形です。今VRを楽しんでいる人の中には、ゲーム用途の人がいます。日本ではVRChatを楽しんでいる方もたくさんいます。

すんくぼ:気になる人は、実機で確かめてからのほうがいいでしょう。Questと体験が同じとは言えないので、自分の目で確かめてほしいです。

10年来の構想がようやく形に

すんくぼ:このグラス自体の発表は、「Phoenix(フェニックス)」というコードネームで噂が出ていました。Metaがレイオフを重ねて延期になった、という話もありました。リークや噂レベルでは、たくさん出ていたと思います。そして今年3月のGDCで、それらしい話が出てきました。そこからいよいよ発表され、2027年春に出てきます。遡ってみると、Metaはかなり前から同じことを言っているんです。

ゆりいか:Facebookだった頃からですよね。

すんくぼ:はい。Oculusは、もともと買収されたVRスタートアップの名前です。その頃からずっと、今後はヘッドセット型ではないと話していました。当時は「スリーク型」と呼ばれていたようです。より薄く軽く、みんなが使いたくなるデバイスになるだろう、と。ヘッドセットメーカーがそう言うのは、それを目指すという意味です。2016年や2017年ごろから言い続けて、ようやく出せたのだと思います。

ゆりいか:個人的に面白いと思ったのは、Questの利用層です。Quest 3やQuest 3Sは、北米の10代にすごく受けていますよね。

すんくぼ:無料のVRゲームを、たくさん遊んでいます。「Gorilla Tag」などですね。

ゆりいか:Metaとしては、若い層は押さえたので次は大人へ、という面もありそうだと思うのですが、どうでしょう?

すんくぼ:いろいろな事情があるのでしょう。Quest 4が出るかどうかはわかりません。ただ、噂ではまだ出ることになっていると思います。来年や再来年という噂ですね。

ゆりいか:安くて誰でも扱えるラインナップは、今後も続きそうですね。

すんくぼ:そこは子どもや若い人がターゲットなので、価格を抑える必要があります。機能は十分ではないかもしれませんし、ヘッドセット型のままかもしれません。そのうえで、別の層に向かうわけです。

ゆりいか:思い切った判断ですね。

すんくぼ:VRの市場は、まだ一般層に届いていないという考え方でしょう。だからこそ広げる余地がある、としてこのデバイスを出したのだと思います。1,300ドルという価格は、もうiPhoneとあまり変わりません。

ゆりいか:iPhone Proより少し低いくらいかもしれませんね。

すんくぼ:日本円だと約20万円で、驚く金額ではあります。でも、日本ではiPhoneも36万円くらいしますよね。

ゆりいか:そうなんですよね。

すんくぼ:Metaが最初に顧客として見ている、北米のユーザー目線で考えることが大事です。iPhone 18 Pro Maxが1,300ドルですね。

ゆりいか:それなら、選択肢に入ってきますね。

すんくぼ:iPhoneを我慢してこちらにしようか、と考える人も出そうな金額です。

見た目重視のAIグラスから取り入れた発想

すんくぼ:「グラス」という形を選んだのは、うまいと思っています。MetaのAIグラスが当たったとき、Metaは見た目や形状が大事だと強調していました。

ゆりいか:そうでしたね。

すんくぼ:当時はVRとは別物、と語っていた気がします。でもMeta VR Glassesを見ると、その要素を取り入れたように感じます。英語で「フォームファクター」と呼ばれる、形状や見た目が大事だということです。スターバックスでもかけられるのでは、という意識があったと思います。

ゆりいか:確かに、Vision Proをスターバックスでつけるのは緊張しますよね。

すんくぼ:すごくドキドキしました。周りから見られているんだろうなと思いながら使っていました。

ゆりいか:なかなかいないですよね。

すんくぼ:でも、僕はつけていましたよ。

ゆりいか:AIグラスを街で使っている人は、少しずつ見かけるようになりましたね。

すんくぼ:グラス型は、街中でも使いやすいので浸透しやすいのかもしれません。

競合はXREAL AURAなどのARグラスに

すんくぼ:このデバイスの競合を考えると、面白いことに気づきます。Questのような、がっつりゲーム向けではありません。そうなると、一番近いのはXREAL AURAです。同じ時期に出てくるARグラスですね。

ゆりいか:VRヘッドセットとARグラスは、本来別物でしたよね。

すんくぼ:比べることはありませんでした。でもXREAL Auraは、没入感のある表現ができます。VRモードのようなことも可能なんです。

ゆりいか:似た立ち位置になってきていると。

すんくぼ:違いは、透明なレンズで現実を見るか、ビデオパススルーかだけです。ビデオパススルーは、カメラ映像で周りを見せる方式です。

ゆりいか:グラス型デバイスというジャンルが、一気に広がりましたね。

すんくぼ:オーディオグラスやディスプレイグラスなど、いろいろ出ています。その先にARグラスがあり、さらにMRグラスとも言える製品が出てきました。名前はVRグラスですが、ビデオパススルーのデバイスまでグラス型になったんです。

ゆりいか:すべてが同じ線上に並び始めた感じがしますね。

すんくぼ:そこは個人的に面白いと思っています。

AIエージェント「Muse」との組み合わせ

ゆりいか:どの製品も、ハンドトラッキングやAI搭載を売りにしていますよね。Metaも今回、Museを搭載すると話していました。

すんくぼ:そこも比較のポイントになりそうです。Museは、Meta Connectの1週間ほど前に北米で公開されました。一般の消費者向けの、個人用AIエージェントです。AIエージェントは、指示を受けて作業を手伝うAIのことです。

ゆりいか:すごく話題になっていますね。

すんくぼ:僕が見ている限り、Museは性能がいいという声が流れてきます。日本であまり見かけないのは、地域によって利用を制限するリージョンロックで使えないからです。

ゆりいか:Museの機能は試せましたか。

すんくぼ:「ウィンドウを閉じて」のような操作はできました。そうした機能は、日本でも入っています。性能のよさそうなAIが、メガネに入ってくるわけです。Meta VR Glassesをつけて話しかければ使える、という形です。そうなれば、まったく別次元の体験になると思います。

ゆりいか:AIとかけ合わせた体験は、まだ始まったばかりですね。

すんくぼ:本当に入り口しか見えていません。AppleもVision ProでSiriがどうなるか、という段階です。球体が出てきて話しかける形で、便利そうではあります。ただ、AIの部分が開放されていないので、どこまで便利かは測りかねます。

ゆりいか:デバイスのかけ心地や性能は、かなり良くなってきていますよね。

すんくぼ:そこにAIが加われば、可能性はいくらでも広がります。10年でこれだけ変わるんだなと、しみじみ思ってしまいます。

産業用途への広がりにも期待

すんくぼ:日本では、どうしても価格の高さがネックになると思います。賛否両論になるのではないでしょうか。

ゆりいか:大ヒットするかどうかは、まだわからないですね。

すんくぼ:一方で、産業向けにも影響がありそうです。これまでVRデバイスは、まず消費者向けに出てきました。その後、仕事のトレーニングやシミュレーションに使われてきましたよね。

ゆりいか:そういう事例はたくさんありましたね。

すんくぼ:100gの小さく軽いデバイスなら、現場で使ってもいいという話が出てくると思います。小さく軽いので、使える場面も増えます。髪型を気にしなくていいのも利点です。
ゆりいか:映像を見る用途で広がるかもしれないし、産業向けで浸透するかもしれない。いろいろな可能性がありますね。

ゆりいか:一方で、比較が大変だなとも思っています。

すんくぼ:製品がたくさん出てきますからね。

ゆりいか:PICOの新デバイスもありますよね。

すんくぼ:本来は先に発表されるはずでした。「Space Pro」という名前だけ先に出て、発表会は先送りになりました。なので、どれを買えばいいかはまだ検証できる段階ではありません。一つずつ触って確かめていきたいと思います。

ゆりいか:発売は来年春ですね。

すんくぼ:今回は短時間の先行体験をもとに、いろいろ話しました。長時間使ってみないとわからない部分もあると思います。手に取って長く使えるようになったら、また話したいですね。

ゆりいか:久しぶりに明るいニュースで、面白いものが出てきましたね。

すんくぼ:ニュースがないから収録しなかったわけではないですけどね。

ゆりいか:そうですね(笑)。でも、良い話題で良かったです。引き続き番組も続けていきたいと思います。2人に話してほしいネタがある方は、概要欄のフォームからラジオネームとともにぜひご連絡ください。お相手は副編集長のゆりいかと、

すんくぼ:編集長のすんくぼでした。ありがとうございました。

もぐら関連記事


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード

CONSULTING / DEVELOPMENT

コンサルティング・開発サービス

Moguraの知見を、あなたのプロジェクトに

mogura_next

Moguraの知見を、あなたのビジネスに
編集長の久保田を筆頭に、XR/メタバースなどバーチャル領域を知り尽くす専門チームが、リサーチからコンサルティング、企画、開発までを一貫支援。
Mogura VRで培った豊富な情報力と業界ネットワークを強みに、企業・行政機関の成果につながる最適な解決策をご提案します。