Metaのゲーム部門ディレクターであるクリス・プルエット氏は、2025年3月のGDC 2025で講演。同氏は「ストアのオープン化やHorizon Worldsの積極的な推進がストアでの支出に大きな影響を与えなかった」と説明しました。また、同社のCTOであるアンドリュー・ボズワース氏は「私たちは引き続きVRゲームに多額の投資を行っており、それを止める予定はない」とXで発言し、MetaのVRゲーム開発の最新動向が明らかになりました。
Questコンテンツへの支払総額は累計20億ドルを超える
クリス Pruett氏は講演の中で、「ヘッドセットを所有し積極的に使用している人の数は、かつてないほど増えている」と述べました。また、Quest向けコンテンツに対する支払総額が累計で20億ドルを超えたことも明らかにしています。
2024年のMeta Questプラットフォーム上の支払総額は前年比で12%増加しましたが、支出の種類や収益をもたらすコンテンツの種類は大きく変化しました。先月Metaが明らかにしたように、F2Pアプリ(無料プレイできるアプリ、Free-to-play apps)がQuest関連の利用時間の70%を占めるようになり、同氏はこれが一部の有料タイトルへの支出減少につながったことを認めています。一方で、「収益の大部分は依然として有料タイトルから得られている」と述べました。
同氏はあわせて「(現場のゲーム業界の)支出は横ばいで、投資は枯渇している。うまくいっているように見えるのは、大規模なリアルタイムゲームタイトルとインディーの人気作だけ。業界全体の傾向を反映している」と指摘しています。
購入者層と支出傾向の大きな変化
クリス氏は「Meta Quest 3S」の発売の影響について、「予想以上に大きな層のシフトを示した」と説明。Quest 3Sの購入者は平均的に若く、以前のQuestヘッドセット購入者ほど自由に使える収入がないと分析しています。
また10代の購入者はヘッドセットの発売ごとに増加していましたが、Quest 3Sでは購入者全体数、及び活発なユーザー層の両方で過半数を占めるようになったことが明らかになりました。
これらの10代のQuestユーザーは「他の場所でプレイしているのと同じ種類のゲームをプレイしたいと考えている」と同氏は説明します。「Gorilla Tag(ゴリラタグ)」のような社会的交流に重点を置いたF2Pタイトルや、「I Am Cat」といった有料のシミュレーションゲームを好むようです。
さらにVR/MRゲームアプリにはあまり関心がない新しい層の出現にも言及。VR/MRヘッドセットを「テレビの延長線上にあるもの、主にメディア消費のためのデバイス」と見なす成人層の傾向を解説しています。
「この層はスポーツ、アクション映画、コンサート、あらゆる種類のコンテンツを好む。スマート
フォンやコンソール機でもゲームをプレイするが、それは二次的な娯楽となっている」(クリス氏)
“収益減少はMetaのせいではない”
クリス氏は既存のVRユーザーの購入をターゲットにする開発者が懸念や不満を示していた”収益減少”の要因についても言及。「(収益減少の要因は)Questプラットフォームのサードパーティ企業への解放やHorizon Worldsへのプロモーションへの注力ではなく、購入者層の変化が原因だ」と語りました。
その根拠として、Metaがプラットフォームをオープンにした際、異なるユーザーに古い画面表示と新しい画面表示を見せるA/Bテストを行い、数ヶ月間追跡した結果を明らかにしました。このテストでは、2つの表示における支出差異は1%未満であったと述べています。
Metaは、アプリストアでの「Horizon Worlds」の大規模プロモーションについても同様のテストを行い、「支出が最大でも3%減少に留まった」と説明。クリス氏は「既存のVRユーザーの大半は、『何を購入したいか』をすでに決めた上でストアを訪れるため、表示の変更は彼らにあまり影響を与えなかった」と分析しました。
「2024年は一度に多くの変化があり、これらの変化の影響を解明し分析するのに時間がかかった。なぜなら相関関係と因果関係を混同しやすいからである。研究はまだ終わっていない。私たちはまだ学び、微調整を行っている。
例えば、ストアのランキングアルゴリズムは過去12ヶ月で何度も大きく変化した。これは進行中のプロジェクトであり、常に正しいわけではない。幸い、私たちがミスをした時にはデータがはっきりと教えてくれるため、軌道修正は可能だ」(クリス氏)
引き続き、ゲーム開発に投資する姿勢を強調
クリス氏は同講演内で、Metaが「2024年に出荷される100以上のVR/MRタイトルと、現在制作中の200以上のタイトルに資金を提供した」と明らかにしました。あわせて、同社が昨年立ち上げたXRコンテンツの開発チーム支援ファンド「Meta Publishing Ignition」が21のスタートアップに資金を提供したことも発表しています。
この講演の前にはMeta CTOであるアンドリュー・ボズワース氏が「私たちは引き続きVRゲームに多額の投資を行っており、それを止める予定はない」とXに投稿。Metaがゲーム開発に投資を続ける姿勢を
強調しています。
一方で、ボズワース氏は「ソーシャルとゲームの間には以前よりもずっと強い連続性がある。私たちのプラットフォームではGorilla Tagが、他のプラットフォームではFortniteが(この傾向に)当てはまる」と述べており、今後の人気ゲームとなるタイトルについて示唆しています。
We are still investing massively in VR gaming and don’t plan to stop. I think there is a much stronger continuum between social and gaming than there used to be though, true on our platform with things like Gorilla Tag and true elsewhere with things like Fortnite
— Boz (@boztank) March 19, 2025
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