電子機器メーカーのKopin Corporationは、VRヘッドマウントディスプレイやウェアラブルデバイスの製造を行うGoertekと提携して、2k×2kの高い解像度を持つOLEDマイクロダイレクトプレパネルで低消費電力、低放熱、低遅延を誇る「Lightning」を統合した最小サイズの新しいVRヘッドセットデザイン「Elf VR」を発表しました。
いまのVRヘッドセットに臨まれる重要な進歩の1つは、より高解像度のディスプレイです。現在販売されているPC向けのVRヘッドセットは両目で2K程度の解像度を実現していますがより高い臨場感を得るためには解像度の向上が次世代のVRヘッドセットに望まれることの1つです。
このElf VRヘッドセットは、2048×2048の解像度を特徴とするLightningOLEDマイクロディスプレイパネルを2枚備えてあり、120Hzのリフレッシュレートで両目4K解像度という非常に高い解像度となっています。
Lightningディスプレイは1インチあたり2940ピクセルという非常に高い密度をもつディスプレイで、これはPC向けハイエンドVRヘッドマウントディスプレイであるHTC ViveとOculus Riftが使用している現行のサムスン製パネルの約5倍になります。
このディスプレイを使うことでスクリーンドア効果と呼ばれる画面に網目模様が見えてしまう状態が大幅に改善することが期待できます。さらに、Elf VRは既存のVR体験のための機能だけでなく、360度映像や一般的な映画を見るためのクオリティとのこと。
視界の広がりや視力にも配慮
VRヘッドセットでは解像度以外にも、視界の広がりや、使用者がどの程度の視力をもって見ることができるのか、といったことが重要になってきます。ディスプレイの小型化は臨場感のある視界を実現するうえで光学的な問題があります。
これに対してKopinは2つのマルチレンズ光学設計でのアプローチを検討しているようです。70度の視野を持ちメディアや映画視聴を対象とし、より高い画素密度でより鮮明な画像を提供するユニットと、光学的な鮮明度を犠牲にする代わりに100度の視野を提供するユニットです。
さらに、Kopinは小さいLightningディスプレイと光学モジュールを削減することによって軽量化を実現したとしています。光学モジュールを60%削減したことで50%の軽量化に成功したと主張していますが、実際の重量については現時点では公表されていません。
VR向けの次世代ディスプレイに関してはサムスンも現行世代の3.5倍の解像度を誇るディスプレイを発表しています。
サムスンとKopinの両社は、次世代のVRディスプレイを量産できる段階に差し掛かっており、既存のHTC ViveやOculus Riftといった「第1世代」ハードウェアよりもより良いVRヘッドセットが登場するまであまり時間が掛からないかもしれません。
(参考)
Kopin Reveals “Smallest VR Headset” With 2k x 2k Per Eye Resolution @120Hzー(英語)
http://www.roadtovr.com/kopin-reveals-smallest-vr-headset-2k-x-2k-per-eye-resolution-120hz/