12月12日、株式会社ジャパンディスプレイは、VRヘッドマウントディスプレイ(VRHMD)専用の高精細液晶ディスプレイ「LTPS TFT-LCD」を発表しました。このディスプレイは3.5型の803ppi(※)と現在市場に出回っているVRヘッドセットで採用されているパネルの精細度を上回る高精細なディスプレイになっています。2018年度のメーカー納入を目指すとのことです。
(※)ppi:「pixel per inch」の略。1インチあたりの画素数を指す。
ジャパンディスプレイは2016年に651ppiの画素を備えたHMD向け液晶ディスプレイを発表し、すでに量産しています。しかし、651ppiでもレンズ越しにディスプレイを見た際、配置された画素のパターンが見えてしまい、リアリティを損なうケースがありました。そのため800ppi以上の高精細かつ高解像度のディスプレイが望まれており、そしてHMDの小型化や軽量化のためにも、さらなる高精細なディスプレイが求められています。
今回開発された液晶はさらに高精細な803ppiのものとなっているため、スクリーンドア効果を低減しさらにリアルな映像を映し出すことが可能です。同日開催された発表会では803ppi液晶を備えたVRHMDのデモ機も用意されており、体験したMogura VRの記者曰く「網目を感じることなくきわめて綺麗」とのこと。
2018年には1000ppiのさらに高精細なディスプレイも
今回発表された803ppiの液晶は、すでに交渉中のVRヘッドセットメーカーが複数あるとのこと。詳細は不明ですが、2018年の市場投入もあるかもしれません。さらに、同社は2018年上期に803ppiを上回る約1000ppiディスプレイの開発を完了する予定であることを明らかにしました。2018年度中にはメーカーへの納入を目指しています。
2020年度までのJDIのロードマップ。VRHMDの小型化に耐えうる高精細なディスプレイを提供していく予定。
このディスプレイに関し、ジャパンディスプレイの担当者は「今後、1000ppi以上のさらなる高精細ディスプレイも目指してゆく。コントラストを高めるなども狙っていきたい」と語りました。
また、今回発表されたディスプレイのリフレッシュレートは90Hzとなっており、将来的には120Hzを目指します。担当者は「120Hzより上のリフレッシュレートを実現するのは厳しく、システム側(グラフィックス処理)の対応もなかなか難しい。やや時間をかけて進めていくことになる」と話しています。
現在、多くのVRHMDでは有機ELが使われており、その多くをサムスンが供給しています。しかし、マイクロソフトが展開するMRヘッドセットやOculusの一体型端末Oculus Goなど液晶のデバイスも増えつつあります。
今後、VRの普及に向けて、さらに現実に近い見え方で小型・安価なVRヘッドセットの登場へディスプレイ技術も準備が整いつつあります。
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「LTPS TFT-LCD」ディスプレイ概略仕様
液晶モード |
VR専用IPS |
サイズ |
3.60型 |
解像度 |
1920*2160*RGB |
精細度 |
803ppi |
リフレッシュレート |
90Hz |
輝度 |
Typ. 150 cd/m^2 |
応答速度 |
4.5ミリ秒(中間応答ワーストケース) |
色域 |
Typ. 70% |
コントラスト比 |
Typ. 700:1 |
バックライト方式 |
グローバルブリンキング |
(参考)
・プレスリリース