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活用事例 2024.09.18

受刑者の職業訓練にXRを活用 理解度向上に効果見られる

法務省矯正局は受刑者の職業訓練にXR技術を活用する新たな取り組みを開始しました。この取組では、仮想空間を利用して受刑者のスキル習得を支援し、社会復帰の準備を効果的に行うことを目指しています。イマクリエイト株式会社と連携して実施されたこの取り組みでは、XR技術を用いた職業訓練が従来の方法と比較して高い理解度と効果をもたらすことが確認されました。

本訓練は、刑務所で実施される新しい職業訓練プログラムの技術評価です。従来、受刑者の職業訓練には様々な課題がありました。例えば、専門の設備や機材の準備、受刑者のプライバシーへの配慮、セキュリティの確保などが挙げられます。これらの課題を解決するため、法務省はXR技術の活用を検討し、イマクリエイトと協力して「仮想空間×職業訓練」のプロジェクトを立ち上げました。

このプロジェクトでは、VRヘッドセットを使用して仮想空間内で職業訓練を行います。具体的には、「玉掛け」という作業に必要な技術を学ぶコンテンツが開発されました。このVRコンテンツでは、実際の現場と同様の環境を再現し、受刑者が安全に、かつ実践的に技術を習得できるようになっています。

本訓練の効果を検証するため、VRで学習するグループと従来の動画で学習するグループの比較実験が行われました。その結果、VRグループの方が統計的に有意な差で高い理解度を示すことが確認されました。この結果は、XR技術を活用した職業訓練が従来の方法以上の効果をもたらす可能性を示しています。

さらに、この訓練方法には以下のようなメリットがあることも分かった、と言います。

1. セキュリティの向上:受刑者を刑務所外に出す必要がなくなります。
2. コスト削減:大型の設備や機材を実際に用意する必要がなくなり、維持管理コストが削減できます。
3. 訓練の多様化:1つのVRデバイスで複数の職業訓練を提供できる可能性があります。
4. 学習意欲の向上:実験では、VRを使用した訓練に対して受刑者がより意欲的に取り組む傾向が見られました。

今後の訓練イメージとしては、さらに多様な職種や技能に対応したVRコンテンツの開発が期待されます。法務省は、1つのXRデバイスで様々な職業訓練ができる未来を理想として描いています。これが実現すれば、受刑者は時間や場所を選ばず、好きな時に好きな訓練を受けられるようになります。

また、職業訓練以外の矯正処遇の場面でもXR技術の活用が検討されています。例えば、社会復帰プログラムや心理療法など、幅広い分野での応用が期待されています。

XRのトレーニングでの活用は、刑務所での職業訓練のみならず、産業における訓練、接客の訓練、機器の操作の訓練など世界中で様々な事例が登場しています。今後も事例の登場と実証を踏まえた本格導入の増加に期待したいところです。

(参考)イマクリエイト公式PR TIMES


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