リサーチ会社IDCは、VRヘッドセット市場の現状と2022年以降の展望を発表しました。出荷台数の9割をMetaが占めながら、今後はデバイス価格の上昇や、全体的なスペックの向上も見られると予測しています。
出荷台数の90%はMeta Quest 2
この報告は、IDCの調査レポート「Worldwide Quarterly Augmented and Virtual Reality Headset Tracker」で得られるデータを元に執筆されました。
IDCによれば、2022年第1四半期の世界市場におけるVRヘッドセット出荷台数は、前年同期比で実に241.6%と大幅に伸長しています。これは2021年第1四半期、世界的な半導体需給の逼迫によりデバイス出荷の伸びが抑制されていた、という事実を考慮しても、非常に大きな市場拡大と言えそうです。
そして特筆すべきは、出荷台数のうち90%をMetaのデバイス(Meta Quest 2)が占めるという点です。戦略的な価格設定や、Quest 2独占タイトルの供給といった継続的な施策が、不動の地位を築いているとみられます。
Metaに続くのはバイトダンス傘下のPicoで、シェアは4.5%です。同社は従来中国市場を中心に展開してきましたが、欧米への進出など今後のユーザー獲得が期待されています。
このほか上位5社にはDPVR、HTC、iQIYIが名を連ねていますが、3社合計でもシェアは4%未満にとどまるとのことです。
Metaは次世代デバイスが転機に
2022年の年間合計で、VRヘッドセット出荷台数は1,390万台まで伸びるとIDCは予測します。しかし、エポックメイキングな年と見るのは翌2023年です。2023年にはMeta、Pico、ソニーインタラクティブエンタテインメント(SIE)らの次世代ヘッドセットが期待されるほか、ついにアップルがデバイスを発表するという噂もあります。
IDCで調査レポートを執筆した一人は、「Metaはメタバース構築に多額の投資を続けています。しかし利益を削って低価格のハードウェアを拡販していく戦略は、長期的な継続は難しいでしょう」とコメントしました。さらに、「今後登場するMetaのヘッドセットが、より性能を重視しており、同社が高付加価値のハードウェアにピボットする転機となる、というのは良いニュースです。業界全体で販売価格は上昇傾向となり、技術改良にも結び付くのではないでしょうか」と考えを述べています。
またアップルの参入については、当初のターゲットは小規模なものになると推測。その上でMetaやSIEが獲得している市場の強固さに触れ、市場全体としては強い成長が続くという見方を示しました。
(参考)IDC