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活用事例 2025.05.30

「Roblox」海外企業によるビジネス活用事例まとめ IKEA、DreamWorks、Walmart等のケースを紹介

オンラインゲームプラットフォーム「Roblox」は、若年層を中心に世界各国でヒットしており、2024年第4四半期のアクティブユーザー数は約8,530万人となりました。欧米をはじめとした海外企業が続々と市場に参入しており、ブランド認知の向上やユーザーとの新たなコミュニケーション手段としてRobloxを活用しています。

本記事では、海外企業によるRobloxへの参入事例をピックアップし、各社が公開したバーチャル空間の内容や特徴を紹介します。あわせて、Roblox担当者の語るビジネス活用の秘訣についても紹介します。

Robloxの海外における盛り上がりは?

 

Robloxの2025年第1四半期決算報告によると、2025年第1四半期の総エンゲージメント時間は217億時間に達し、前年同期比で約30%の増加を記録しました。また、従来は若年層の利用が中心でしたが、近年は13歳以上のユーザー層にも注力しており、利用者層の多様化が進んでいます。特にアジア太平洋地域とその他の地域でのユーザー増加が顕著です。

Roblox内で使用される仮想通貨「Robux」の販売額を示す年間ブッキングは、1兆円規模に達する見通しです。Roblox内のゲームやアイテムの制作を行うクリエイターは、この経済圏における中核的な存在ですが、2025年第1四半期におけるクリエイターの総収益は過去最高の約2億8160万ドル(約436億円)となり、このペースが続けば年間支払額は10億ドル(約1550億円)を超える可能性があります。

こうした収益機会を広げる取り組みのひとつとして、Robloxはアイテムの「地域別価格設定」機能を導入。各地域の経済状況に沿った特定の価格に設定できるシステムを実装しています。このシステムを業績上位の一部ワールドで初期テストを実施したところ、地域別価格設定を使用した場合、課金するユーザーの割合が、メキシコでは約17%、ブラジルでは約26%、フィリピンでは約52%増加したという結果が出ています。

また、仮想アイテム購入などに使用されるRobuxの月間ユニーク課金者数は約2020万人で、前年同期比29%の増加が確認されています。こうした数値から見ても、ユーザーはゲームをプレイするだけでなく、アバターの見た目を変更したり、ゲーム内で使用するアイテムの購入に積極的なことがわかります。

エンターテインメント以外の分野でも、Robloxは存在感を高めています。下記で詳細を紹介していますが、各企業がRoblox内に独自のブランド空間を展開し、ユーザーとの関係を深めています。さらに2025年4月にはGoogleとの提携が発表され、リワードビデオ広告などを含む没入型広告ソリューションの強化が進められました。これにより、広告主は、Robloxの広範なユーザー層に対し、より高い訴求力を持つ広告展開が可能になりました。

注目のRobloxの海外ビジネス事例

1. スーパーモデルと共創するバーチャルファッション:Supersocialの「Modelverse」

バーチャル空間開発企業Supersocialは、スーパーモデルのハイディ・クルム氏と提携し、Roblox上に新ワールド「Modelverse」を公開しました。このワールドで、ユーザーは自身のアバターを自由にカスタマイズし、バーチャルファッションショーへの参加を通じて自己表現を楽しむことができます。

Robloxの若年層ユーザーの56%が、現実の外見よりもアバターの外見カスタマイズを重視するというデータもあり、「Modelverse」はこうしたユーザーの嗜好と合致した取り組みと言えるでしょう。

ワールド名 Modelverse
アクセス/関連リンク https://www.roblox.com/ja/games/18627302070/NEW-Modelverse
訪問数 244.9K+
公開日 (更新日) 2024年7月24日(2025年4月30日)
関連企業 Supersocial, ハイディ・クルム

2. 次世代消費者へアプローチ:ウォルマートが展開する2つのワールド

ウォルマートはRoblox内に、2つのバーチャルワールドをオープン。1つ目の「Walmart Land」は、主に若者層をターゲットとした音楽やファッションに特化した空間です。世界的人気アーティストのMadison Beer、Kane Brown、DJのYUNGBLUDなどによるバーチャルライブコンサートを開催するほか、アバター用の限定ファッションアイテムを提供。若者たちの参加意欲やブランド親和性を高めています。

もうひとつの「Walmart’s Universe of Play」は、子どもやファミリー層向けの遊び場をテーマにしており、「Jurassic World」「Paw Patrol」「Magic Mixies」「Razor Scooters」「L.O.L. Surprise!」など、実際の玩具市場で人気を博すブランドやキャラクターを中心にゲーム化した空間となっています。特にクリスマスを含む年末商戦時期の玩具販促キャンペーンとして活用されており、将来的なブランドロイヤリティ向上や商品の認知促進に役立てています。

項目 詳細
Walmart Land
ワールドアクセス用リンク
https://www.roblox.com/ja/games/10895555747/Walmart-Land
Walmart Land
訪問数
18.6M+
Walmart Land
公開日(更新日)
2022年9月12日(2024年1月15日)
関連企業 ウォルマート

3. 人気キャラクターがRobloxに集結:ドリームワークスのファンエンゲージメント戦略

大手アニメーションスタジオのDreamWorksは、Roblox上に公式グループ「DreamWorks」を開設し、自社の人気キャラクターや物語をテーマにしたコンテンツを提供しています。このグループは15万人以上のメンバーを抱え (2024年12月時点)、「Shrek Swamp Tycoon」や「Kung Fu Panda: Hero Showdown」といったゲームを展開しています。

DreamWorksのRobloxへの参入は、ブランドのIP(知的財産)を活用してファンとの新たな接点を構築し、エンゲージメントを深化させる戦略の一環と見られます。特に若い世代のユーザーが多いRobloxにおいて、早期からブランドへの親しみを持ってもらう効果を狙っていると推察できます。

ワールド名/グループ名 DreamWorks
アクセス/関連リンク https://www.roblox.com/ja/communities/33298196/DreamWorks#!/about
Shrek Swamp Tycoon
訪問数
13.0M+
Shrek Swamp Tycoon
公開日 (更新日)
2024年1月15日(2025年4月11日)
関連企業 DreamWorks

4. バーチャルストアで働く体験を提供:IKEAの「The Co-Worker Game」

家具大手のIKEAは、Roblox上に公式ワールド「The Co-Worker Game」を公開しています。このワールドはIKEAのバーチャルストアとしての機能も兼ね備えており、ユーザーはIKEAに常設されているフードコートでのミートボール提供や、IKEA製品を使ったショールームの“整備”といったアクティビティに参加できます。
特筆すべきは、IKEAがこのバーチャルワールドで働く“給料付き”のバーチャルワーカーを実際に募集している点です。合格者は実際の店舗勤務のように、配属された部署でスキルを活かして顧客をサポートし、昇進や部署異動の機会もあるとされています。

IKEA UKおよびアイルランドのカントリーピープル&カルチャーマネージャーであるダレン・テイラー氏は、この取り組みについて「Roblox上で、IKEAの哲学とキャリアパスを紹介できる給与設定付きコンテンツを展開できることをうれしく思います」とコメントしています。同氏は、従業員がゲーム内でも現実でも、役割を変えたり部署を異動したりと、多様な形で成長できるIKEAのキャリアのあり方を示したいと述べています。
IKEAは以前からARを活用した家具配置アプリ「IKEA Kreativ Scene Scanner」をリリースするなど、テクノロジーを活用した顧客体験の向上に積極的であり、「The Co-Worker Game」もその延長線上にある試みと言えるでしょう。

項目 The Co-Worker Game
ワールド名 The Co-Worker Game
アクセス/関連リンク https://www.roblox.com/games/17254019855/IKEA-The-Co-Worker
訪問数 7.1M+
公開日(更新日) 2024年4月22日(2024年11月23日)
関連企業 IKEA

5. Z世代へリーチする新戦略:HUGO BOSSの「PLANET HUGO」

ドイツの高級ファッションブランドHUGO BOSSは、Robloxへの進出を果たし、エクスペリエンス「PLANET HUGO」を展開しています。このワールドでは、Roblox内で使用可能なHUGO BOSSのバーチャルファッションアイテムの購入ができるほか、複数のミニゲームや他ユーザーとのコミュニケーションの機会が提供されます。

「PLANET HUGO」は、2024年3月6日にドイツのベルリンで開催された新ブランドライン「HUGO BLUE」の発表に合わせて公開されました。
これまで、Robloxでは、GucciやBurberryといったハイファッションブランドからGAPのようなファストファッションブランドまで、幅広く参入しており、HUGO BOSSもこの潮流に乗った形です。
Robloxのレポートによれば、プラットフォーム内で月1度以上課金するユニークユーザーが約1,590万人存在することも明らかにされており、市場の確実な広がりを示しています。

ワールド名 PLANET HUGO
アクセス/関連リンク https://www.roblox.com/ja/games/16354460415/PLANET-HUGO
訪問数 2.2M+
公開日 (更新日) 2024年2月14日(2025年4月2日)
関連企業 HUGO BOSS

成功の鍵はコミュニティとアジャイル開発:Robloxビジネス活用の秘訣

Robloxで企業がビジネスを成功させるためには、従来のマーケティングやコンテンツ開発とは異なるアプローチが求められます。Robloxの担当者や、既にプラットフォームで成果を上げている企業の担当者、そしてトップクリエイターたちの言葉から、その秘訣を探ります。

まず、Robloxの巨大なユーザーベースとその高いエンゲージメントは、企業にとって大きな魅力です。毎日1億人近くが遊ぶこのプラットフォームは、消費者と繋がるための重要なチャネルとなり得ます。NASCARやサンリオといった企業は、Robloxを通じてファンエンゲージメント体験を創出し、大きな成果を上げています。

しかし、最初から最適な戦略を見つけるのは容易ではありません。NASCARは人気ゲームとのコラボから始め、次に独自エクスペリエンスを公開し、最終的に人気レーシングゲームとの大規模コラボに至るなど、段階的な学習と試行錯誤を通じて戦略を進化させてきました。サンリオも、「My Hello Kitty Cafe」でユーザーの反応を見ながら、ほぼ毎週新しいコンテンツや体験を提供する必要性を学び、継続的なアップデートを実施しています。重要なのは、固定的な戦略に固執せず、ユーザーの反応やプラットフォームの特性に合わせて体験を進化させることです。

この柔軟な対応を支えるのが、Robloxの迅速な開発・運用サイクル(ライブオプス)です。NASCAR担当者は、従来のゲーム開発の承認プロセスと比較し、Robloxでは主要イベントの直前にゲームをローンチでき、ピーク需要を最大限に活用できた事例を挙げています。Robloxでは、提供する分析ダッシュボードを活用し、データに基づいて運用を改善していくことが推奨されています。

ユーザー獲得においては、多額の広告費を投じるよりも、オーガニックな発見(ディスカバリー)やコミュニティの力が重要であるという点で、多くの関係者の意見が一致しています。Robloxの発見メカニズムは、「良いゲームを作ればいい」という思想に基づいており、資金力のある企業が必ずしも有利になるわけではありません。ブランド側も、広告よりも開発者に投資し、プラットフォームとコミュニティに耳を傾けることの重要性を認識しています。
そして何よりも、「Robloxらしさ」、つまりプラットフォーム独自の文化やユーザー行動を深く理解することが不可欠です。これには、経験豊富な開発者との緊密な連携が鍵となります。企業は、開発パートナーを信頼し、彼らが持つプラットフォームへの知見を活かすべきです。

Roblox Studioの統括者ステフ・コラッツォ氏は、企業に対して「6ヶ月かけて1つのゲームを作る代わりに、1ヶ月で5つや10のプレイアブルデモを作成し、どれが人気かを測定して改善できる。市場投入のスピードという点では、個人開発者と同様に大きな機会がある」とアドバイスしています。企業は既に組織力を持っていますが、Robloxで何が通用するかを学び、その文化に適応していく必要があります。

Robloxは、3Dモデル生成AI「Cube 3D」の導入や、GLTF形式でのエクスポート・インポート対応など、クリエイター支援ツールの強化も進めています。これにより、より効率的で質の高いコンテンツ制作が可能になり、外部ツールとの連携もスムーズになります。また、デバイススペックに応じてコンテンツを最適化する「Harmony」システムにより、低スペックのスマートフォンから高性能PCまで、幅広い環境で高品質な体験を提供できるようになる見込みです。

企業がRobloxで成功するためには、これらのプラットフォームの特性を理解し、コミュニティと共創しながら、楽しさを追求し続けることが重要と言えるでしょう。

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