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活用事例 2017.12.14

未来の火星生活はどうなる?VR体験プロジェクトが進行中

※本記事は、2017年11月21日にHTC社公式ブログに掲載されたMatthew Gepp氏の記事を翻訳したものです。

火星に住む夢が、一歩「バーチャル」現実に近づきました。現在Launch Forthプラットフォームで展開中の、火星における人類100万人の暮らしのVRシミュレーションを共同制作する国際プロジェクト「HP Mars Home Planet 」において、第1フェーズに選出された9つのコンセプト案が、先日Autodesk University Las Vegas 2017にて発表されました。

このプロジェクトには世界中からプロの建築家、エンジニア、デザイナー、アーティストが参加し、火星の気象や大気の条件下で人類100万人が繁栄するにはどのようにすればよいのかを、建物から乗り物、農場、衣服に至るまで検討していきます。

プロジェクトの拠点となっているLaunch Forceは、デザイナー、エンジニア、問題解決のスペシャリストなど12万人が利用するプロダクトデザインプラットフォームです。このプラットフォームを利用すれば、どこにいる人とでも、アイデアの実現や問題の解決、ソリューションの構築に向けて共同で取り組めます。大小どのような規模のプロジェクトにも対応し、オープンイノベーションを利用して製品開発プロセスを加速できます。

HP Mars Home Planetプロジェクトは、今年8月から1年をかけ、3つのフェーズに分けて進行中です。HP Inc.、NVIDIA®Launch Forthが実施し、Autodesk、Epic Unreal EngineFusion、HTC Vive、Microsoft、Technicolorの協力を受けています。

プロジェクトの第1フェーズでは、火星上の街「Mars Valley (マーズ・バレー)」で100万人の暮らしを支える建物、乗り物、スマートシティ、交通システムのコンセプト案を公募しました。これは大変な反響を呼び、Launch Forth上のプロジェクトとしては過去最多の34,000人が参加し、約2か月で500件近い応募がありました。

この中から公開投票と審査員団によって選出されたコンセプト案に、賞金総額38,080ドルが分配されます。審査員の顔ぶれはそうそうたるものです。

  • Dr. Robert Zubrin (火星協会、プレジデント)
  • Daniel Libeskind (建築家)
  • Dr. Sanjay Vijendran, (欧州宇宙機関、火星ミッション)
  • Andrew Anagnost (Autodesk社CEO)
  • Chris deFaria (DreamWorks Animationグループ、プレジデント)
  • Ryan Church (コンセプトアーティスト、スター・ウォーズの元アートディレクター)
  • Android Jones (コンセプトアーティスト)
  • Stacy Wolf (HP社、インダストリアルデザインVP)
  • Jay Rogers (Local Motors社、CEO)

そして選出されたコンセプト案は……

インフラストラクチャ 1:  Kenny Levick (米国)、Mars-Genesis & Mawrth-Integra:Interplanetary Design (3Dプリントによる建築)


インフラストラクチャ 2: Kadek Wicaksana (インドネシア)、Mars Colony 1.0 (コロニー)


交通機関 1: Xabier Albizu (スペイン)、MARS M. U. V (Multi Utility Vehicle) (多用途車両)


交通機関 2: Justin Carlo Punay (フィリピン)、Mars General Utility Vehicle  (汎用車両)


アーキテクチャのイノベーション: Jesús Velazco (ベネズエラ), Solar Powered Colony (太陽発電コロニー)


デザインにおけるイノベーション: Jorge Moreno Fierro (コロンビア)、Bio System (人工生態系システム)


エンジニアリングにおけるイノベーション: Yih Foo Looi (マレーシア)、Living Environments from Hostile Wastes (大気や水を人類の生存に適したものに変える)


エンジニアリングにおけるイノベーション – 特別賞: Jose Daniel Garcia Espinel (スペイン)、Metropolis First City on Mars (火星の資源で生存可能な環境を維持する都市)


科学におけるイノベーション: Lake Matthew Team (米国), Artificial Geomagnetic Field to Protect a Crewed Mars Facility from Cosmic Rays(宇宙線からの防護)

プロジェクトの第2フェーズ、3Dモデリングコンペは11月13日から公募を開始しています。今回募集されるのは、建物、都市インフラ、車両、スポーツスタジアム、公園、学校、家具、その他火星上で100万人が暮らすユートピアに存在するであろう物の3Dモデルです(作成にはAutodesk社のソフトウェアを推奨)。フェーズ1で選出された各コンセプト案を元にすることができますが、自分の想像力を働かせて好きなものを作るのも自由です。応募締切は2018年2月25日です。

このフェーズで選出された3Dモデルは、共同制作チームがTechnicolor社の制作面・技術面での主導のもとUnreal Engineを使って制作する、火星での人類100万人の暮らしを想定したVRシミュレーションに組みこまれることになります。そしてシミュレーションが構築される場所は、Fusion社ゲーム『Mars 2030』の舞台となった「Mars Valley」。これ自体、NASAの火星調査データと高解像度写真をもとに制作されたものです。

本プロジェクトは、火星上で家族やコミュニティがユートピア的な暮らしを送る未来を想定しています。目標はクリエイティブな思考のできる人々に、火星に人類の都市を建設するうえで生じる課題の一部に取り組んでもらうことです。最終的には、VRエクスペリエンスを通じて、地球にいながら火星での生活がどのようなものか体験できるようにすることを目指します。

選出された各コンセプトの詳細、および3Dモデリングコンペについて詳しくはhttp://launchforth.io/hpmarsをご覧ください。


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