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テック 2017.05.31

グーグル、AR/VR向けディスプレイ開発に本腰 シャープとの液晶開発に加え、片眼20メガピクセルのOLEDも

グーグルは、Society for Information Display(SID)が主催する国際的なカンファレンスであるDisplay Week 2017の基調講演において、シャープとVR/AR向け液晶の技術を共同開発していることを発表しました。

さらに、現在市販されているVRディスプレイの10倍以上の片眼20Mピクセルを持つディスプレイを大手有機EL(OLED)メーカーと協力して開発していることを発表しています。

VRの課題であるディスプレイの改良

現行のVRヘッドセットで採用されているディスプレイはOLEDが採用されることが多く、両目合わせて2K程度(片目1K)の性能です。より人間の目に近づけるためには、解像度をあげること、そして描画の速度をさらに上げること、そしてレンズによる拡大を考慮し面積あたりのピクセルの密度を高めていくことが求められています。

ディスプレイの素材として液晶とOLEDには一長一短があり、液晶に関しては2017年後半に発売されるAcerほかPC向けMRヘッドセットに採用予定です。

IDの基調講演でグーグルのVR部門の副社長であるClay Bavor氏は、シャープとVR/AR向け液晶の技術を共同開発していることを発表しました。


Clay Bavor氏。5月に開催されたGoogleの自社イベントI/Oで登壇した際のもの

4Kディスプレイの2.5倍の解像度

また、OLEDに関しても秘密のプロジェクトがあるとし、以下のように述べています。

「プロトタイプのディスプレイは、片眼につき20Mピクセルの解像度を実現しています。これは4Kディスプレイの2.5倍もの解像度を持つことであり、とても興奮しています。」
ただし、協力している企業の名前は最後まで公表されませんでした。

Bavor氏は実験室でそのディスプレイを体験した際に、これがVRヘッドセットの視野角で見られたらとても壮観だと感想を述べています。

「ディスプレイのピクセル数を増やすのは正しい道だと思っていますが、最終的な製品にどれだけのピクセル数が必要かはまだ分かりません。でも正しい方向への大きな一歩だと考えています。」

高解像度ディスプレイに表示するための技術も合わせて開発が必要

片眼20メガピクセルという解像度のディスプレイに必要な転送レートは100Gbpsにも及びます。これだけの解像度のディスプレイにレンダリングができるかどうかだけでなく、データの転送も問題です。この問題を解決する一つの方法として「Foveated rendering(中心窩レンダリング)」と呼ばれる、視野の中心部を高解像度でレンダリングし、周辺視野は解像度を落としてレンダリングする技術を用いて転送量を減らすことができます。中心窩レンダリングを実現するためには、視線情報が必要なため、視線トラッキング機構をVRヘッドセットに付ける必要があります。

Bavor氏は、この超高解像度ディスプレイと中心窩レンダリングが組み合わさると、視覚的な品質や表示の忠実度を大幅に向上できると考えているとプレゼンテーションで興奮気味に話しました。

(参考)
Google Partnering ‘Deeply’ With OLED Maker on Ultra-High-Resolution VR Display – (英語)
http://consumerelectronicsdaily.com/featured


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