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業界動向 2022.08.23

ガートナーのハイプ・サイクル2022年版が発表。「メタバース」は黎明期、普及には時間を要すると分析

米国の調査会社ガートナーは8月16日、「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2022年」を発表しました。黎明期の技術として「メタバース」が新たに登場しています。

「ハイプ・サイクル」とは

ガートナーが毎年公開している「ハイプ・サイクル」は、先進技術の成熟度と現在のビジネスへの採用状況、および今後のビジネス展開に実用性があるかを評価し図示したものです。毎年8月に公開されます。投資判断の基準にも用いられ、前年との比較で各技術分野がどの程度進展したのかを知る根拠としても頻繁に引用されます。

グラフは横軸に大きく5つの段階に分かれており、「黎明期」「『過度な期待』のピーク期」「幻滅期」「啓発期」「生産の安定期」の順に発展するとしています。各期間の詳細な説明はガートナーの公式サイトで参照できます。

2022年度版では、2022年から今後2~10年において高度な競争優位性をもたらす可能性が高い一連のテクノロジーに注目し、これからの動向を分析しています。

2022年の主な先進技術トレンドとして「イマーシブ・エクスペリエンス(没入型体験)の進化と拡大」「人工知能 (AI)自動化の加速」「テクノロジストによるデリバリの最適化」の3つを挙げています。メタバース、デジタルツイン、デジタルヒューマンといったバーチャル空間に関わる技術は「イマーシブ・エクスペリエンス(没入型体験)の進化と拡大」に分類されています。

「メタバース」が初めての登場、普及には10年以上と言及

2021年後半以来、バズワードとして頻繁に用いられるようになった「メタバース」がハイプ・サイクルに初めて登場しました。一方で、ハイプ・サイクルの2020年版には「人のデジタル・ツイン」、2021年版には「自己統合型アプリケーション」という技術トピックが取り上げられており、「メタバース」的な概念そのものは既に存在していたと考えられます。「人のデジタル・ツイン」「自己統合型アプリケーション」は当時5〜10年での普及が見込まれていたものの、2021版の「メタバース」は普及に10年以上かかると言及されています。

この分析は、バーチャル空間が普及するにつれて分かってきた現実的な課題、参入にかかる高コストや安定的なビジネスモデルがまだ確率されていないこと等がもたらした結果だと推測できます。ガートナーは「メタバース」に関するレポートを発表しており、「成功させるためには、経済面や財務・ビジネスモデルの重要な要素を理解する必要がある」とも言及しています。

ガートナーは「イマーシブ・エクスペリエンス(没入型体験)の進化と拡大」トレンドに関して、

先進テクノロジの組み合わせにより、これからのデジタル・エクスペリエンスは、さらなる没入型のエクスペリエンスへと進化し、顧客や人は、より新しい体験をするようになるでしょう。

個人は自身のアイデンティティとデータをコントロールし、デジタル通貨との統合が可能なバーチャルなエコシステムを体験できるようになります。また、企業は、新たな方法で顧客にリーチし、収益源を強化または新規開拓するようになります。

と予測しています。

AR・MR・VRは2020年版より単独のトピックとして取り上げられていませんが、先進テクノロジの組み合わせといった表現やガートナーの他レポートから、没入型技術としてまとめて言及されていることが伺えます。

(参考)プレスリリースガートナージャパン株式会社


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