イギリスのスタートアップ、EnvisicsがシリーズBラウンドで5,000万ドル(約52.6億円)の資金調達を行いました。出資には韓国の現代(ヒュンダイ)モービス、米国のGM傘下GMベンチャーズといった自動車関連企業が参加しています。
Envisicsは広視野角の自動車向けARヘッドアップディスプレイを開発し、2023年のリリースを目指します。
現実にガイドを重畳するヘッドアップディスプレイ
Envisicsは、自動車でのAR利用に向けたヘッドアップディスプレイ(HUD)を開発しています。フロントガラスに速度メーター等を表示する通常のHUD機能に加え、現実世界に進路やアラートを映すのが特長です。
同社の起源は2009年、CEOのJamieson Christmas氏が設立したTwo Trees Photonicsにさかのぼります。自動車向けレーザーホログラフィックHUDを開発しており、15万台以上を出荷。その後2016年にARデバイス企業のDAQRIに買収されました。
その後DAQRIがホログラフィック・自動車関連チームをスピンアウトしたことで、2018年1月、Envisics社が誕生しました。なおDAQRIは2019年に閉鎖し、資産を売却しています。
3車線をカバーする広視野角
現在Envisicsが手がけるのは、次世代のHUD技術です。2023年の商品化を目指していると言います。
初期の製品との違いは、視界のすぐ先に情報を提示するにとどまらない点です。横は3車線、前方は100メートル先までドライバーの視界をカバーし、地名や進路、危険へのアラートなどを現実に重ねて映します。
市場規模は2,000億円超へ
グローバルのHUD市場は、2019年時点で9億3,000万ドル(約980億円)と見積もられています。搭載車両の増加やコスト低減に伴い、その規模は2026年に25億ドル(約2,600億円)まで成長する見込みです。
Envisicsの他にもスイスのWayRayなどがARヘッドアップディスプレイを手掛けており、自動車メーカーのジャガーランドローバーも開発を発表しています。
(参考)VRrOOm