米国アリゾナ州フェニックスの警察では、トレーニングにVRを導入しています。精神疾患を持つ人などとの対話方法を学び、緊迫した状況を制御する”Empathy Training(共感力のトレーニング)”が目的です。
トレーニングを開発したのは、同州のセキュリティ関連企業Axon(アクソン)です。同社のVRトレーニングは、これまでにもシカゴ市警等で採用されてきました。
自殺防止等でも導入実績、まずは相手の立場を体験
このVRコンテンツの特長は、警官の視点だけでなく、疾患を持つ人の視点も体験できることです。例えば自閉症に関するシナリオでは、大きな物音がすれば画面が明るく燃え上がり、さらに音が増幅されます。警官が現場に駆けつけると、状況はさらに切羽詰まってくる……といった具合です。
このように相手の立場を体験した後で、警官としてどのように対応すべきか、選択肢が提示されます。規定に則った正しい対応に限らず、力づくでなく現場を落ち着かせる、ということがポイントになります。先程の例で言えば、パトロールカーのサイレンを小さくし、ライトを消す、といった選択もあるでしょう。
同僚の行動に”介入”するトレーニングも
Axon社はこの他にも、”intervention training(介入のトレーニング)”に注目したプログラム開発を進めているといいます。これは、他の警官の不適切な行動に居合わせた際、どのように振る舞うかのトレーニングです。米国では、黒人男性が警察官に拘束され死亡するという事件から抗議活動が全土に拡大しました。このようなシチュエーションを想定し、その適切な対応を学ぶ訓練となっています。
(参考)12NEWS