ディズニーの研究機関ディズニー・リサーチは、脚本からVRアニメーションを自動生成するプロジェクトに取り組んでいます。同社はこのプロジェクトによって、アニメーションの製作期間を短縮し、より多くの素晴らしい作品をファンに届けることを目指しています。
ディズニーは、これまで数々の大ヒットアニメ作品を生み出してきました。映画の脚本から3D映像を自動生成するといった研究プロジェクトにも力を入れて取り組んできました。アニメ映画は最長で2年ほどの制作期間を必要としていることから、その期間を短縮し素晴らしい名作を世の中に次々に届けることが主な狙いです。
サンフランシスコで開催中のVRDC2018では、脚本を3D映像に変換する動画編集ツール『CARDINAL』のプロトタイプが紹介されました。
スクリプトからアニメへ
『CARDINAL』は、「Unity」などのゲームエンジンに似たインターフェースです。脚本を『CARDINAL』にアップロードする前に、キャラクターや3Dオブジェクトを配置します。マウス操作のみで、キャラクターを配置した後、『CARDINAL』に脚本をアップロードすると、設置したキャラクターが自動的に演技を始め、簡単なアニメーションが完成するというもの。
生成したアニメーションは3D映像となっており、パソコンの画面だけでなくVRヘッドセットを利用して、様々な角度から確認を行うことができます。
自動生成だけでなく編集機能も
また「CARDINAL」はアニメーションを自動生成するだけでなく、編集機能も備わっています。
・Story Outline View機能:脚本と生成された動画を照らし合わせながら見ることができます
・Timeline View機能:タイムラインを調節を行うことができます
・Audio Capture機能:キャラクターに声を吹き込むアフレコを行うことができます
自然言語処理に課題
現在、『CARDINAL』のプロトタイプは少数のVRアーティストや映画脚本家によってテストされていますが、実用化に向けてはまだまだ課題が残っているそうです。特に自然言語処理が大きな課題であり、映画の脚本家は自分の世界観を元に独特な表現を使っていることが多いことから、脚本家の意図を全て映像に反映することが難しいとのことです。
ディズニー・リサーチは、今後も『CARDINAL』をより強力なツールにするために、研究を重ねていく姿勢を示しています。この取り組みが実用化されれば、VR映画製作はもちろん、YouTube などの動画コンテンツ産業など、様々な現場にインパクトを与える可能性があります。
(参考)Disney Resarch