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業界動向 2021.08.31

TikTokのByteDanceがVRデバイスメーカーPicoを買収、VR事業に本格参入

動画プラットフォーム「TikTok(ティックトック)」を開発・運営するByteDanceは、中国のVRヘッドセットメーカーPico Technologyを買収することを正式に認めました。

一体型デバイスで中国に強固な市場

買収の報道は数日前に、”関係筋の話”としてメディアBloombergがリークしていました。今回中国メディアのレポートを受け、この情報が正しかったことを、ByteDanceの公式発言と共にCNBCらが報じています。

発表によれば、ByteDanceはPicoの「ハードウェアとソフトウェアの総合的な技術、才能と経験あふれるチームは、当社がVR(デバイス事業)に参入し、この新興分野での長期的な投資を行う上で助けとなります」と説明。金額の詳細は不明ながら、VRヘッドセット事業に乗り出すことを表明しています。

Picoは2015年4月に設立された中国のVRヘッドセットメーカーです。一体型VRヘッドセットを中心に展開し、2019年に両目4Kの解像度の「Pico G2 4K」を発売。2020年には6DoF対応の「Pico Neo 2」、またアイトラッキングを搭載した「Pico Neo 2 Eye」を発売しました。

2021年夏には日本でも法人向け一体型VRヘッドセット「Pico Neo 3 Pro」の販売を開始する一方、コンシューマー向けモデル「Pico Neo 3」は原稿執筆時点、中国のみで展開されています。

巨大SNS企業参入の影響は?

一方プレスリリースによると、ByteDanceも「VR/AR分野の長期的な研究開発に投資し、インタラクティブシステムや環境理解などで多くの技術的成果を上げてきた」とのこと。今後はPicoをVR関連事業に統合し、製品開発やデベロッパーエコロジーへの投資をさらに強化する、としています。

中国では、現在VRヘッドセットとして主流になりつつあるOculus系デバイス(Oculus Quest 2など)が、規制によって購入することができません。このような中国内に強固なコンシューマー市場を持つPico製品が、買収により例えば海外展開する可能性は考えられるでしょうか。

この点については現時点ではっきりとした情報はなく、またByteDance自身も中国企業です。しかしアジア圏を中心に膨大なユーザーを抱えるSNS企業の参入は、VRデバイス市場にインパクトをもたらすと見て間違いないでしょう。

(参考)UploadVR


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