イギリスのスタートアップBlipparが、2018年12月17日に公式ブログで破産を宣言しました。Blipparは2011年に創業された企業です。創業以降、BlipparはAR技術を活用したアプリの開発を主に手掛けてきました。
資金流入の停止が致命傷に
Blipparは、AR事業に参入した企業の中でも最古参の企業の1つです。2011年の創業以降、Blipparはスマートフォンを使用したビジュアルサーチアプリや、ARを活用した位置情報特定システムなどを開発してきました。2018年8月には、商業施設での利用を目的とした、ARとコンピュータービジョンを使用した、屋内ナビゲーションアプリも発表しました。
Blipparの破産は、資金調達に関するトラブルが原因です。2018年9月Blipparは、BtoB事業の拡充のため、追加の資金調達を行いました。資金調達は成功(3,700万ドル(約41億円)を調達)しましたが、調達した資金を使用する段階で問題が生じました。
Blipparが調達した資金を使用するためには、出資者たちからの承認が必要でした。Blipparの説明によると、この承認手続きで、ある出資者がBlipparへの資金の投入に反対し、出資の承認を妨害したとのことです。
Blipparは2011年の創業以降、多額の資金調達に成功(総額1億3千万ドル(約140億円))していました。一方でBlipparの各事業は、数年間に渡って売り上げの伸び悩みが続いていました。
公開された事業レポートによると、2014年11月から2016年3月末までの16ヶ月間で売上は1,120万ドル(約13億円)の一方、3,150万ドル(約35億円)の損失を計上していました。こういった事業面の不振が、資金の投入に反対した出資者の決断に繋がったものと推測されます。
Blipparの従業員は、今回の破産により全員の解雇が決定しました。Blipparは従業員の解雇について「とても悲しく、不幸な結末となってしまいました」と公式ブログでコメントしています。
Blipparが破産前に保有していた資産やIP(知的財産権)は、イギリスの裁判所が指定した破産管財人が、売却先を検討します。