トム・クルーズ主演の映画「マイノリティ・リポート」では、主人公が歩くモールの中にホログラフのポップアップ広告が溢れていました。これが現実になる日も、遠くないかもしれません。
イギリスのスタートアップBlipparは、ショッピングモールや空港、不動産等に向けた、ARサービス「Blippar Visual Positioning System」を発表しました。デパートやスタジアムのような巨大な屋内空間で、コンピュータービジョンとARを使い、利用者に広告を表示、案内するシステムです。
位置情報とARを手がけるBlippar
Blipparは2011年創業、これまで現実の物にARタグを付けるツールや、スマートフォンを使ったビジュアルサーチなどを手がけてきました。2017年夏にはアプリ「AR City」をリリース。スマートフォンのカメラを使ってユーザーの位置を特定し案内するもので、
同社によればGPSよりも高い精度を誇るとのことです。アプリは300以上の都市に対応しています。
位置情報を広告に活用
今回の「Blippar Visual Positioning System」は、この位置特定技術をよりマネタイズしたものと言えます。
Blipparはこのサービスを、小売やエンターテイメント、旅行などの分野で導入することを考えています。位置情報の活用は、ただ案内することにとどまりません。例えばフェイスブックはユーザーについて多くの情報を持ち、個人に合わせた広告を打ち出しています。しかし広告への位置情報の活用は、まだ十分ではありません。
一方「Blippar Visual Positioning System」を使えば、位置情報が有効に活用できます。ショッピングモールで利用者の行き先に店舗の情報を示すなど、ユーザーの居場所に合わせた案内・広告が可能になるからです。
オフライン・屋内でも利用可能
このシステムはコンピュータービジョンで位置を特定しているため、オフラインや屋内で使用することも可能です。
またサービス提供に当たりBlipparが必要とするのは、施設の図面、写真、3Dモデルのみ。施設レイアウトのCADデータがあれば、即座に導入も可能です。
Blipparはサービスの価格について明らかにしていませんが、30万ドル~100万ドル(約3,300万円~1.1億円)程度とされています。また、現在までに小売業と不動産の2社から受注しているということです。
ARを使った道案内のサービスについては、グーグルやアップルなども検討を進めています。
(参考)TechCrunch