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テック 2018.09.14

グリーンスクリーンの代わりにAR 映画撮影に新しい風

映画のCG撮影等に必須の技術の1つに、グリーンスクリーンがあります。合成する素材の撮影時に、緑色の背景を使うものです。このグリーンスクリーンを使った合成には編集にかかるコストや時間、また大がかりなスペースが必要といった欠点があります。

こうした欠点を解決するために、リアルタイムで撮影した3D映像を映す、ARのディスプレイを用いる技術が開発されています。

カメラにトラッカー装着しスクリーンへ投影

ロサンゼルスを拠点とするスタートアップARwallは新進気鋭の映画スタジオのDolphin Imageと協力し、グリーンスクリーンの代替となるARディスプレイ活用を進めています。映画制作のプロセスをスリム化することが狙いです。現在制作中のDolphin Imageのデビュー作では、このAR技術を活用していきます。

ARwallの「ARwall Effects System」を使えば、グリーンスクリーンのような装置なしに、リアルタイムでCGと合成しながらの撮影が可能になる、と謳っています。

その仕組は次の通りです。カメラにHTC Vive用のViveトラッカーを装着し、撮影用セットには同様に2箇所以上にViveトラッカーを設置します。カメラの視点がスクリーンに反映される、3Dの空間を構築します。カメラをセンサーのトラッキングエリア内で動かせば、リアルタイムに映像も動く3Dの背景が完成するというもの。

ARwallでは、既存の映画セットをARディスプレイと合わせて利用できるように切り替えるサポートも行っています。

撮影時間とコスト削減、没入感も向上

ARwallの技術の最大の特長は、撮影にかかる時間、及びコストを削減できる点です。予算やスケジュールがタイトなスタジオにとっては、非常に有用であると考えられます。またリアルタイムに撮影している映像を背景に用いることで、スクリーンの前で演じる俳優にとっても、より没入感が高まることが期待されます。

Dolphin Imageはシードラウンドで200万ドル(約2.2億円)の資金調達に成功。ARwallの技術活用を進めるとしています。

映画の制作現場では徐々にARを使う取組が広がっています。ドイツの映画学校でも、ARアプリで映画編集のプロセスを効率化する取組が行われています。

(参考)VRScout
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