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業界動向 2024.06.12

「にじさんじ」のANYCOLORが2024年度通期決算を発表 売上は前年比26.3%成長も業績予想には未達

VTuberグループ「にじさんじ」運営のANYCOLOR株式会社は、2024年6月12日に2024年度の通期決算を発表しました。コマースやイベントの業績が増加したこと、VTuber当たり売上高が着実に増加していることを背景に収益と利益が大幅に増加しました。なお、業績予想対比は売上、利益とも97%とやや下回る着地となっています。

ANYCOLORは、2025年度も売上・利益とも成長を測るとしながら、業績予想における成長率は2024年度よりも控えめな数字となっています。

売上・利益とも増加

ANYCOLORの2024年度の売上高は、前年同期比26.3%増の319.96億円となりました。純利益も30.3%増の87.26億円となり、利益率は前年の26.4%から27.3%へと改善しました。

なお、期初の業績予想対比では、売上は330億円、純利益は90億円を見込んでいたところ97%とわずかに下振れています。ANYCOLORはその理由を、「第4四半期のコマース領域で期初計画からの販売スケジュールの変更や、一部のプロモーション案件の実施時期の後倒しなどが発生」したためとしています。

主力事業の成長とNIJISANJI ENの課題

ANYCOLORのグループ別の売上高は対照的で、国内向けの「にじさんじ」プロジェクトは、新たなタレントの追加や国際展開が進み、国内外での収益が大きく拡大しました。一方、英語圏向けの「NIJISANJI EN」はライブストリーミング。コマース、プロモーションといった各部門で売上高が減少しています。特に、コマース部門は昨対比30%以上の減少となっています。

事業部門別に見ていくと、ライブストリーミング部門では、メンバーシップや広告収益が安定しており、SuperChatの収益も増加しました。特に、12月に開催された「にじさんじフェス」の影響で一時的に収益が大幅に伸びました。コマース部門では、周年グッズやライブイベント関連グッズの販売が好調で、大幅な売上増を達成。イベント部門では、「ChroNoiR One-Man Live」や「ROF-MAO 1st LIVE」などの大規模イベントが成功を収め、収益に大きく寄与しました。プロモーション部門では、新規およびリピート案件が増加し、案件単価も上昇しています。​

今後さらに成長を見込む

ANYCOLORは2025年度も引き続き成長を見込んでおり、売上高は390億円、営業利益は148億円を予測しています。第1四半期には、四半期間のバランスを平準化した計画を策定しているので減収・減益予想。コマース部門では周年グッズ、楽曲コンテンツ、季節コンテンツなどを中心に発売予定。プロモーション部門ではNBAのような新規・リピート含め様々な企業案件を実施するとしています。また、イベント部門では中規模イベントを複数開催予定とのことです。

同じくVTuberを事業の中心に営み、人気グループ「ホロライブ」を擁するカバー株式会社は、2024年5月の2024年3月期の通期決算発表で売上が前年比47%増の301億円、純利益が前年比65%増の41億円と報告しています。

(参考)ANYCOLOR2024年度通期決算説明資料


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