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開発 2021.06.24

Adobeから「Substance 3D Collection」登場 3DCGでデザインの可能性を広げる

Adobeは2021年6月23日、新製品「Adobe Substance 3D Collection」を発表しました。同社が提供する3DCGクリエイションツール「Adobe Substance」に置き換わるもので、既存ツールの機能強化版、および新規提供を含む計4つのツールと付帯サービスで構成されます。同製品は3D制作初心者からプロまでを対象にしており、従来の3Dデザインプロセスを合理化し、効率的なワークフローを提供するとしています。

初心者からプロまで使える3DCG制作ツール群

Adobe Substance 3D Collectionは「Substance 3D Painter」「Substance 3D Sampler」「Substance 3D Designer」「Substance 3D Stager」の4つのツールと、3Dアセットなどのサービスからなるソリューション。それぞれのツールはシームレスに連携でき、3DCG制作をスムーズに行うことができます。


(既存の「Adobe Substance」をリブランド&再統合した「Adobe Substance 3D Collection」)


(「3D Painter」「3D Designer」「3D Sampler」「3D Stager」の4つのツールを含む)

「Substance 3D Painter」

3Dオブジェクトにテクスチャやマテリアルを適用するツール。前身となるSubstance Painterからは機能強化のほか、プロでも使いやすいようにUI/UXの再設計も行われています。

「Substance 3D Sampler」

既存の「Substance Alchemist」を機能強化したツール。Alchemistよりもマテリアルの作成が簡単になったほか、スマートフォンで撮影した写真や高解像度のスキャン画像を元にマテリアルを作成することも可能です。

「Substance 3D Designer」

カスタマイズ可能な独自のテクスチャやマテリアル、さらには3Dモデルをゼロから作成できるツール。Substance 3D Samplerよりも高度な作業を行えます。

「Substance 3D Stager」

既存の3D合成デザインツール「Adobe Dimension」を機能強化したツール。3DCGモデル・マテリアル・ライティングを組み合わせて3Dシーンを構築し、レンダリングしたりバーチャルフォトを作成することができます。

カスタマイズ可能なマテリアルや3Dアセットも提供

さらにAdobe Substance 3D Collectionではプレミアムコンテンツとして、豊富なロイヤリティフリーの3Dアセットも提供。約9000点ものマテリアルに加え、2000点以上の3Dモデルデータが利用可能になります。

「Substance 3D Modeler(プライベートベータ)」

また、Adobe Substance 3D Collectionのリリースに合わせて、3Dモデリングツール「Substance 3D Modeler」がプライベートベータとして提供されます。詳しい説明はありませんが、こちらはAdobeがOculusから引き継いだVR造形ツール「Medium」の後継にあたるものと思われます。


(プレミアムコンテンツとして提供される、ハイクオリティのマテリアルや3Dアセット)

バーチャルフォトグラフィの普及を後押し

製品発表に先立って行われたメディア向けのオンライン説明会には、Adobe社のデジタルメディア事業統括本部 製品戦略部の宇野香織氏が登壇。3DCGによる「バーチャルフォトグラフィ」の重要性を語りました。

※バーチャルフォトグラフィ:被写体や背景、あるいはその両方をCGで作成し、現実の写真と見違えるほどの「バーチャルフォト」を制作すること。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、企業はこれまでスタジオなどで行っていた自社製品の写真撮影が難しくなりました。そのため、代替手段としてのバーチャルフォトグラフィの需要が急速に高まっていると言います。

3DCGを使ったバーチャルフォトグラフィは従来の写真撮影に比べて時間や手間などの制作コストを安く抑えることができるほか、カラーバリエーションの作りやすさ、3DCGデータのメディア展開のしやすさ(紙/Web)などのメリットがあります。


(3DCGとAR/VRの組み合わせはeコマースにおいて効果を発揮)

また、3DCGデータは従来のメディアのほか、ARやVRにも応用できます。AR/VRを活用したショッピングでは購買率の向上や返品率の減少などのメリットも報告されています。

このように3Dの活用領域が広がっている現状に対し、Adobeでは今回発表されたSubstance 3D Collectionを中心に、エンタメ・プロダクトデザイン・グラフィックデザインといった幅広い領域で「バーチャルフォト」という新しい分野の確立を進めていくとしています。


(幅広い領域でのバーチャルフォト活用を後押し、3Dテクスチャ制作におけるリーダーシップ維持を目指す)

製品はサブスクリプションで提供。発売記念の特価キャンペーンも

Substance 3D Collectionは個人向け、グループ向けに月額または年額のサブスクリプションで提供。個人向けは月額5,480円(年間一括60,980円)、グループ向けは年間プランの月々払いが11,080円、一括払いが132,960円となっています。また、3D Painter、3D Sampler、3D Designerの3つのみをセットにした「Substance Texturing」の個人版が月額2,180円、年間一括24,380円で提供されます。


(Substance 3D Collectionの料金プラン。製品発売記念の特別価格も)

さらに新製品発売を記念して、2021年12月31日までは特別価格で購入可能。Substance 3D Collectionの個人向けが月額4,380円(年間一括48,780円)、グループ向けは年間プランの月々払いが8,880円、一括払いが106,560円となります。

なお、Substance 3D CollectionはAdobeが提供している「Creative Cloud コンプリートプラン」には含まれないため、CCコンプリートプランを契約している人でも利用には別途契約が必要になります。

(参考)Adobe Blog


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