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開発 2026.10.02

開発者視点から見る「Unreal Engine 5.8/6」の注目ポイントは?【XR Kaigi Hub 大阪 2026 レポート】

2026年9月9日と10日、大阪でXR Kaigi Hub 大阪 2026が開催された。本記事は、同イベントで行われたセッション Unreal Engine Update 2026 の内容をまとめたものである。登壇したのは、Indie-us Games代表取締役の中村匡彦氏が務めた。

登壇者紹介:中村 匡彦 氏(Indie-us Games 代表取締役)


Indie-us Gamesの代表&クリエイター。またの名をUnreal Engineの何でも屋。ゲームから映像、建築、自動車、XR、メタバースなど様々な業種とコラボしながら日々活動中。

Unreal Engine 5.8の注目ポイントは?

中村氏は今回の講演内容について、「Unreal Engineの中の細かい話というよりは、Unreal Engineが今大きな変革の時代に来ているので、一体どういうところが大きく変わってきているのか(を紹介する)」と伝えた。具体的には、UE5.8の新機能と、発表されたばかりのUE6の設計思想を中心に話が展開された。

講演の土台となったのは、2026年6月17日にアメリカの「Unreal Fest Chicago 2026」で開催された「State of Unreal 2026」だ。同じ6月17日にはUnreal Engine 5.8が正式リリースされている。中村氏は、新機能の追加だけでなく、大規模タイトルでの最適化に向けた機能が揃ってきた点を指摘。生成AIと連携するUnreal MCPサーバーの追加も5.8の大きな変更点だという。

映像面でのアップデート内容で特に目立つのが「MegaLights」である。Unreal Engineには、膨大なポリゴンを扱えるNaniteという機能がある。MegaLightsはそのライト版にあたり、「いくらライトを置いても重くならない、実質無制限でライトが置ける」ものだ。以前から搭載はされていたものの制限が多く扱いづらかったが、5.8で正式版となった。Xboxで発売されるGears of War: E-Dayで既に使われており、製品版のゲームで通用する水準まで仕上がっている。

負荷対策として加わったのが「Lumen Lite」である。そもそも、Lumenは、光の回り込みをリアルタイムに計算するUnreal Engine 5の照明機能で、ライトの焼き込み作業を挟まずにダイナミックな陰影を表現できる。一方で処理負荷は重く、軽量化を求める声がEpic Gamesに寄せられていた。Lumen Liteは見た目の質を保ったまま負荷を下げるもので、高品質設定のLumenと比べて2倍以上速いという実測値が示されている。中村氏は、Lumenを使いたいが負荷を抑えたい場合の選択肢になると説明した。

話は、シェーダーの話に移る。今回発表された「Substrate NPRシェーディング」は、いわゆるトゥーンシェーダーである。Unreal EngineはUnityと比べてトゥーン表現が弱いと言われてきたが、標準でトゥーンシェーダーが搭載されることになった。実験的な段階で使い勝手が良いとは言えないものの、エンジン標準になったことで他機能との連携が取れる。シェーダーを自作せずに済む点は大きいと中村氏は評価した。

背景にはEpic Games自身の事情もあるとみている。Fortniteにアニメ調のキャラクターが増え、リアルなキャラクターと同じ画面に並ぶ状況が生まれた。中村氏も「Epic自体もシェーダーの大事さが分かってきたのかもしれない」と語った。

また、地形制作では「Mesh Terrain」が加わった。従来のLandscapeは高さマップをもとに地形を作る仕組みで、平面に高さの情報を持たせる方式のため、壁に穴を開けるような形状は作れなかった。Mesh Terrainはメッシュをそのまま地形として配置し、複数を重ね合わせられる。高さに依存しない地形表現が可能になり、扱いやすくなったという。

制作フローに直結する機能として、マーカーレスのモーションキャプチャーも5.8から入った。講演では、技術解説で活動する西川氏が実演する映像が上映された。前方のカメラと頭から吊るしたカメラで体と表情の動きを捉え、リアルタイムにCGキャラクターへ反映する。中村氏は、専門設備がなくてもキャラクターを動かせる環境が広がる点に意義があると述べた。

UE6で開発者から賛否両論となっている変更点は?

話題はUnreal Engine 6へ移る。GitHubには既にue6-mainというブランチが存在し、アクセス権があれば中身を確認できる。中村氏によれば完成度はアルファ版にも届いておらず、早い段階から触りたい開発者以外はまともに動かせない可能性が高いそうだ。それでも公開しているのは、透明性を確保し、ユーザーとともにUE6を育てたいという意思の表れだと解釈した。

UE5側の動きも続く。2026年8月20日と21日に韓国で開催されたUnreal Fest 26 Seoulでは、5.9のリリースが公式に発表された。中村氏は年内か来年の登場を見込み、5.9がUE5の最終バージョンになるとの見方を示す。ただし「Epicはすぐに方針を変更することもある」ため、5.10が出る可能性も否定しなかった。5.9ではAI関連機能の更新に力を入れていると聞いているという。

UE6で最も大きな変更は、スクリプト言語Verseへの全面移行だ。ビジュアルスクリプトのブループリントと、ゲーム内の要素を扱うアクターが非推奨となり、最終的には廃止される方針が大々的に発表された。中村氏は「これにはアンリアルファンからも賛否両論が巻き起こっています」と指摘。Verse自体は良い言語だと評価しつつ、すべてを統合する方針には議論があると紹介し、Epicから別のビジュアルスクリプトが出るか、ユーザーコミュニティからオープンソースで登場するのではないかと予想した。

VerseはEpic Gamesが独自開発した言語で、特徴はトランザクショナルメモリ機能にある。言語のレベルで並行処理を扱い、処理が失敗した際には変更を自動で巻き戻して整合性を保つ。本来なら開発者が排他制御を自分で書く必要がある部分を自動化する仕組みだ。

アクターの置き換え先となるのがシーングラフである。最終的には、Unityが採用するECSに近い設計方針になるという。ECSは、データと処理を分けて大量の要素を効率よく扱う考え方を指す。VerseとシーングラフはFortniteで既に動いており、大規模タイトルで検証済みの仕組みをUE6へ持ち込む形になる。

エンジンの垣根をなくすのが狙い

スマートアセットは、アセットの規格と仕様を定義し、Unreal Engine以外のエンジンでも動かせるようにする取り組みだ。Unity TechnologiesとEpic Gamesの協業として進んでおり、同じアセットとロジックが両エンジンで動作するデモが公開されている。

中村氏はEpicの狙いについて「エンジンの垣根をなくし、レディ・プレイヤー1のように、バーチャル空間でみんなが1つの世界に行き来できるようにする」メタバースの実現を目指しているのではないかと分析している。実際、現状のFortniteには既にソニック、ストリートファイターのリュウ、ロックマン、パックマン、クラッシュ・バンディクーなどが集まり、作品の枠を越えた世界になりつつある。

余談として紹介されたのが、Epicが開発し公開したオープンソースのバージョン管理システム「LØRE」だ。SVNやPerforce、Gitに代わるもので、Gitのような扱いやすさを持ちながら、サイズの大きいバイナリファイルにも対応する設計だという。

次世代のUEに至るまでの流れ

UE6が掲げるのは、エンジン設計そのものを作り変える大きな改編である。NaniteやLumenのような見た目で分かる進化とは性質が異なる。その実験場となっているのがUEFNで、Verseやシーングラフを先行導入して検証したうえでUE6へ正式に取り込む流れができている。開発面では、Verseのトランザクション機能によるロールバックと再シミュレーションが基本となり、複雑な状態管理を書き込まずに済む。

移行の負担にも配慮がある。UE6ではニューUEとレガシーUEが共存し、UE5世代のワークフローを残したまま、開発者がどちらで作るかを選べる。加えて、5.8で入ったUnreal MCPサーバーなどのAI連携も強化されていく。

中村氏は、UE5.8の新機能とMCPサーバーの導入、UE6でのVerseとシーングラフの採用、ブループリントとアクターの廃止方針、そして新旧ワークフローの共存を振り返り、新世代のUnreal Engineに向けた変化を振り返り、講演を締めくくった。

AI・スマートグラスの最新事例が集合! 国内最大級カンファレンス「XR Kaigi 2026」、11月30日〜12月2日に開催決定

XR Kaigi実行委員会は、バーチャル領域のカンファレンス「XR Kaigi 2026」を2026年11月30日(月)から12月2日(水)の3日間、東京・ポートシティ竹芝内(ポートホール・東京都立産業貿易センター浜松町館)で開催すると発表しました。開催発表に合わせ、協賛・出展企業の募集も開始されています。
※XR Kaigi、MoguraVRはMyDearest株式会社が運営しています。

XR Kaigiは、XR・スマートグラス・VTuberなど、バーチャル領域の担い手を対象としたカンファレンスです。企業・個人・業界団体・行政などが参画する業界横断型のイベントで、海外からの登壇者や出展社も迎えます。開発者やクリエイターを中心とした参加者が集まる場を目指しており、2014年から業界専門メディアとして活動するMogura VRが企画しています。想定総動員数は4,000名、想定出展ブース数は100ブースです。

https://www.youtube.com/watch?v=-cy11rHE5Eg



協賛・出展の詳細は、公式サイトから資料請求できます。

XR Kaigi 2026 概要

名称 XR Kaigi 2026
会期 2026年11月30日(月)〜12月2日(水)
会場 ポートシティ竹芝内(ポートホール・東京都立産業貿易センター浜松町館)
想定総動員数 4,000名
想定出展ブース数 100ブース
公式サイト https://mydearestvr.com/xrkaigi/2026/
主催 XR Kaigi実行委員会

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編集長の久保田を筆頭に、XR/メタバースなどバーチャル領域を知り尽くす専門チームが、リサーチからコンサルティング、企画、開発までを一貫支援。
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