早稲田大学の岡崎善朗准教授らの研究チームは、VRヘッドセット使用時にドライアイ発症のリスクが低下する可能性を示しました。研究成果は2025年9月26日、科学誌「Scientific Reports」に掲載されました。
従来、VRヘッドセットは密閉空間内で乾燥するのではないかという目への負担が懸念されていましたが、涙液や眼表面への具体的な影響を検証した研究は限られていました。特に、使用中に涙液層がどのように変化するかといった安定性については明らかになっていませんでした。
研究チームはVRヘッドセット内に超小型カメラと照明を組み込んだ観察システムを独自に開発。このシステムを用いて、健常な被験者14名を対象に30分間のVRゲームプレイ中の涙液層を継続的に観察しました。その結果、プレイ開始から20分以降に、涙液油層の厚みを示す干渉像グレードが有意に上昇しました。これは油層が厚くなったことを意味し、涙の蒸発を防ぐ働きが高まる可能性を示しています。一方で、他の涙液関連指標や自覚症状スコアには変化が見られず、角膜と上まぶたの表面温度のみが上昇しました。

(VRヘッドセット装用中の涙液画像の一例)

(VRヘッドセット装用中の涙液油層の干渉像グレードの経時変化)
今回の結果は、VRヘッドセット装着時の涙液油層変化を初めて明確に可視化したものとなります。この成果は、VRヘッドセットの安全な設計や使用方法の指針づくり、さらにはドライアイ予防の新たなメカニズム解明に役立つ可能性があります。
今後は、ドライアイ患者やマイボーム腺機能不全を持つ人でも同様の変化が起こるかを検証する必要があります。ヘッドセットを装着しない対照群を設け、装置による断熱効果などの影響を除外した研究も求められています。今後、目の健康を守りながらVRを安全に楽しむための知見がさらに蓄積されると期待されます。
参考
https://www.waseda.jp/inst/research/news/82504
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