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活用事例 2017.09.07

“動き回れる”360度動画、スマホVRでも実現へ

現在、ほぼ全ての360度動画を視聴する際に、体験者はその中を動き回ることができません。VRヘッドセットで体験しているのであれば現実と同じように動き回りたくなるはず……。「動画の中を動く」という考えは突拍子もないようですが、すでに技術開発が進んでいます。

アメリカのHypeVRは、VRHMDを装着して自由に動き回って見られるVR用動画を撮影するための“Volumetric VRテクノロジー”を開発しています。

同社は、アップルのiOS向けAR開発キットであるARKitに対応したシステムを開発しており、モバイルベースのARを利用してVolumetric VR動画を再生できるようになるとのことです。

”動き回れる”動画

従来の360度動画のユーザー位置が一点に固定され、そこから視野のみを動かすことができるといった没入感を削ぐものでした。HypeVRの技術を使って撮影された、Volumetric動画は、各フレームのシーンにおいて、3次元データをキャプチャーすることでユーザーがビデオ内を移動できるようにしています。

以前、HypeVRはPC向けのVRヘッドセットを使用してVolumetric動画を見ることを可能にしており、没入感と質の高さを誇っていました。今回、アップルのARツール(ARKit)を使うことで、スマートフォンユーザーもVolumetric動画を再生し、その中を動き回れるようになります。

Apple ARKit Portal – The Future for Volumetric Mobile Streaming Sports with 6DoF Video Capture and Playback – HypeVR Technology from Tonaci Tran on Vimeo.

デモ動画は、iPhone SE(第6世代)でVolumetric動画を再生しているデモになります。AR機能自体を使用している様子は分かりませんが、これは動画の裏で位置の特定を行っているためです。

HypeVRは現実世界からVolumetric動画の中に入る移動手段として「portal」と呼ばれる穴をくぐることで移動する方式を採用しています。現在視聴中のVolumetric動画から別のVolumetric動画へ移動するなど、ブラウザーのような感覚で利用することができます。

クラウドサーバーを中継し、モバイルでの利用を

HypeVRのCEOであるTonaci Tran氏は、「Volumetric動画をレンダリング(描画)することは、スマートフォンにとって難しいことは間違いありません。モバイルデバイス向けにはクラウドサーバーでユーザーの動きを中継をしています。クラウドサーバーは、適切なビデオフレームをレンダリングし、十分な速度で、モバイルデバイスに描画結果を戻します。」と述べています。

HypeVRは2018年初頭にVolumetric動画再生用のARアプリをリリースする予定です。
また、Tonaci Tran氏によると、グーグルから提供されるAndroid向けAR機能ARCoreにも同様に対応する予定とのことです。

(参考)
HypeVR Uses ARKit as a Portal Into Volumetric Video Content/ROADTOVR(英語)
https://www.roadtovr.com/hypevr-uses-arkit-portal-volumetric-video-content/


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