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活用事例 2017.08.16

スマホのカメラで深度情報を取得 指の認識や生体認証が可能に

半導体メーカーのクアルコムは、同社が開発する画像処理用プロセッサIP『Spectra』を新型カメラモジュールよって拡張し、これによって画像認識能力や生体認証機能が向上しました。このモジュールは深度センサーによってトラッキング能力を向上させるもので、身体の動きを正確に認識できます。また生体情報の認証機能も向上し、眼球の虹彩を利用したデバイスのアンロックなどに使用できます。この技術は今後、最新型Android端末に搭載される予定です。この新型モジュールにより、スマートフォンの機能がさらに進化するほか、VR/ARへの応用も見込まれます。

画像認識能力が向上、正確なトラッキングも

この新型モジュールは虹彩認証モジュール、パッシブ深度センサーモジュール、アクティブ深度センサーモジュールの3つで構成され、生体情報の認証のほかにも高度な画像認識とトラッキングが可能になります。

このモジュールはデュアルレンズを搭載したデバイスに対応し、片側のレンズがもう一方のレンズを強化、補足します。2つのカメラによって異なる深度をセンシングできるため、たとえば対象にフォーカスを当てたまま背景をぼかす、といった画像処理も可能になります。これは従来のAndroid端末では、2つのカメラ同士がお互いに干渉してしまうために難しい処理でした。

また、クアルコムは新型モジュールを用いた画像認識能力のデモ動画を公開しており、動画ではピアノを弾く男性の手指の動きを正確にトラッキングする様子を確認できます。このデモではモジュールの他にIRイルミネーターとIRカメラを使用しており、男性の手の動きやピアノの鍵盤を捉えたカメラ映像をイルミネーターによってドット化して表示することで、複雑な形状や動作をリアルタイムでマッピングする様子を確認できます。

画像認識能力に併せて生体情報の認証機能も向上することで、たとえば虹彩や顔認識によるアンロックの際の偽造を困難にすることもできます。このシステムはモバイル端末だけでなく、VR、ARデバイスにも活用することが可能で、ハイエンド型ヘッドセットやスタンドアロン型ヘッドセットにも搭載することができます。

クアルコムは現在、Snapdragon 835プロセッサを搭載したスタンドアロン型ヘッドセット『VR 835』を発表、開発者キットをリリースしています。スタンドアロン型ヘッドセットはOculus RiftやHTC ViveなどのPC接続型ヘッドセットに比べると性能的には若干落ちるものの、Gear VRやGoogle DaydreamなどのスマートフォンVRに比べると高品質なVRコンテンツを動作できます。

クアルコムは本技術の運用を来年には開始する予定で、来年2月にバルセロナで開催されるMoblie World Congressにおいて、本技術を採用したデバイスやデモを発表する可能性が高まっています。

(参考)
TechCrunch / Qualcomm’s new depth-sensing camera tech is designed for VR and face scanning(英語)
https://techcrunch.com/2017/08/15/qualcomm-shows-off-new-depth-sensing-camera-technologies/

※2017年8月17日11:30 本記事は公開当初、Spectraと新型モジュールを混同する事実誤認があり、修正を行っています。


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