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投資 2021.06.17

建設図面のAR化でロス削減、英スタートアップが2,000万ポンド調達

イギリス・ロンドンのスタートアップXYZ Realityは、シリーズAラウンドで2,000万ポンド(約30.9億円)の資金調達を行いました。建設プロジェクトの費用の1割前後を占めるエラーの発生をARで防ぎ、効率化を図ります。

設計データとのずれを防止

XYZ Realityは2017年創業。建設現場の設計データをAR化する技術や、独自のヘルメット型ARデバイスHoloSiteを手掛けています。2020年3月にも、570万ユーロ(約6.7億円)の資金調達を実施しました。

同社ソリューションの目的は、建設現場で発生する設計データと実際の建築物とのずれの防止です。こうした誤りによる損失は、英国単体でも年間100億から250億ポンド(約1.5兆円から3.9兆円)と膨大な額に上ります。

XYZ RealityのARヘルメットでは、ユーザーの目の前に3Dで設計図面を再現。その誤差はわずか5ミリメートルと高い精度を誇ります。進行中の建築物とのずれを検出し、修正によるロスを最小化します。

2021年内商用化、米国展開へ

あるデータによれば、建設プロジェクトの費用のうち7-11%はエラーの修正に用いられています。また大規模プロジェクトの77%は予定工期を40%以上超過してしまい、そのうち98%は3割以上予算をオーバーするとのこと。

EUのGDPの9%を閉めるという建築業界ですが、デジタル化の遅れに伴い改善の余地は大いにあると、XYZ Realityは見ています。

XYZ Realityのソリューションは現在早期アクセスを受付中で、商用化は2021年後半を予定しています。しかし英国内では既に複数の建設現場で利用されており、プロジェクト規模は合計で15億ポンド(約2,300億円)に上ります。

同社は今回調達した資金を用いて、人員の増強や米国市場への展開を進めていくということです。

(参考)ShiftedXYZ Reality


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