Home » Mogura編集部注目のXR関連業界プレイヤー17名が語る、2021年の振り返りと2022年への展望


業界動向 2022.01.01

Mogura編集部注目のXR関連業界プレイヤー17名が語る、2021年の振り返りと2022年への展望

2020年に引き続き“変化の多い一年”となった2021年が終わり、新しい年がやってきました。今年もXRやVTuber業界では、ハードウェア・ソフトウェア双方を牽引するフェイスブックの社名変更、それに伴うメタバースブームの到来、大規模なバーチャルイベントやバーチャルライブの開催など、数え切れないほどのイベントが起こりました。

毎年恒例の本記事では、Mogura VR News/MoguLive編集部が注目するプレイヤーの方々に、2021年を振り返っていただきつつ、2022年への展望をうかがいました。

また、この場を借りて、年末年始のお忙しい中コメントをいただきました皆様に、改めて感謝の意をお伝えいたします。

回答者一覧

・安藤晃弘(株式会社ハシラス 代表取締役社長、エンターテインメントXR協会 代表理事)
・荒木英士(REALITY株式会社 代表取締役社長、グリー株式会社 取締役 上級執行役員 REALITY事業本部長)
・岩城 進之介(MIRO) (株式会社バーチャルキャスト 取締役CTO、VRMコンソーシアム 理事・技術委員長)
・茨城県営業戦略部 プロモーションチーム
・加藤卓也(株式会社VARK 代表取締役)
・加藤直人(クラスター株式会社 代表取締役CEO)
・岸上健人(MyDearest株式会社 代表取締役CEO)
・佐藤 哲(株式会社サンリオエンターテイメント 企画制作部)
・須田修伍(株式会社Live2D マーケティンググループ サブリーダー)
・杉山知之(デジタルハリウッド大学 学長)+池谷和浩(デジタルハリウッド大学 事務局長)
・筒井鉄平(GFR Fund Managing Partner)
・中村薫(株式会社ホロラボ 代表取締役)
・西村拓也(株式会社ambr 代表取締役CEO)
・沼倉正吾(Symmetry Dimensions Inc. CEO&Founder)
・舟越靖(株式会社HIKKY CEO)
・三上昌史(株式会社Gugenka 代表取締役CEO)
・山口征浩(株式会社Psychic VR Lab 代表取締役)

※敬称略。一覧ならびにコメントの掲載は五十音順。プロフィールは原則としてそれぞれ当人からの回答を基に作成。
※回答者ならびにコメントは随時追加予定。

安藤晃弘(株式会社ハシラス 代表取締役社長、エンターテインメントXR協会 代表理事)

Q1 2021年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ
2021年はメタバース元年でしたね!各社なりの「ウチのメタバースはこれ!」というのが出てきて、熱狂を感じられる激アツな1年でした。ハシラスは、「世界最大規模である1部屋内に数千人の参加人数を誇るメタバース」である『めちゃバース』をリリースし、XR Kaigiに採用して頂けたのが感慨深かったです。

アバター姿でバーチャルな空間に入り相互交流する体験、をずっと作り続けてきた経験がプロダクトに反映されていて、新しい取り組みながらハシラスらしさのあるモノとなりました。

Q2 2022年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ
私は「メタバースは新しい選択肢」だと思っています。例えば物を買う、という行動を例にすると、現実のショッピングはワクワクや友人との交流はできるが疲れるし不便。オンラインのショッピングは効率的で便利だけど買い物の醍醐味が無く物足りない。この両方のいいとこ取りができる新しい選択肢、がメタバースなんじゃないかと。

仕事や学びや遊びなど、あらゆる日常の行動に新しい選択肢が加わる、のがメタバースによる変革。ただ、現在はそれを可能にする技術が揃う前段階であり、期待が過剰に先行している状態とも思えます。(具体的に言うと、平面ディスプレイでは臨場感が足りないため日常の代替たりえず、XRデバイスは品質も普及も追いつかず、です)

2022年は、実需に近いメタバースかそうでないか、ふるいにかけられる一年になるんじゃないかな。いずれ山の頂きに至るにせよ、より早く到達できる登山道を登りたいところですね!

荒木英士(REALITY株式会社 代表取締役社長、グリー株式会社 取締役 上級執行役員 REALITY事業本部長)

Q1 2021年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ
Quest2の飛躍的なセールスによりVRコンテンツ市場が本格的に立ち上がってきた感触があり、大変嬉しく思っています。また、これまで数年かけて醸成されてきたXR、Vtuber、アバター、コミュニティとしてのゲーム、NFTやクリプトエコシステムがすべて統合されたメタバースという概念が生まれたことで、大きな市場のうねりとなりました。

当社が手掛けているREALITYはグローバル展開の進展とともに飛躍的にユーザー数が増加し、一気にグローバルコミュニティへと変貌しました。アバターとライブ配信の組み合わせによってなりたい自分で生きていく、という価値観がこれだけ多くの地域に受け入れられたことはポジティブサプライズでした。

Q2 2022年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ
メタバースのようにバズワード先行型のハイプは一定のバブルと幻滅を繰り返しながらも着実に世の中へ浸透していくものです。人類にとって過ごす時間と価値観に占めるオンラインの比重が高まり続ける、というのは不可逆なトレンドです。このトレンドに真正面から長期戦略で取り組む企業やサービスが存在感を強めていくと思います。

REALITYもより一層メタバースとしての用途的・空間的広がりを増しながら、多くのユーザーになりたい自分で生きていくことのできる世界を提供していくべく開発を進めていきます。2022年は大規模バーチャルフェスでのDJデビューを目標に着実に努力していきたいと思います。

岩城 進之介(MIRO) (株式会社バーチャルキャスト 取締役CTO、VRMコンソーシアム 理事・技術委員長)

Q1 2021年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ
2021年を振り返って印象的な出来事といえば、なんと言ってもFacebook社(現Meta社)の社名変更でしょう。良くも悪くも社名変更のインパクトで一気に「メタバース」という言葉が社会的に認知されました。

いっぽう、突然の盛り上がりに対して各社各様の「メタバース」が乱立をはじめ、市況は一気にカオスになりました。バーチャルキャスト社はもともとこういったメタバースサービスが並び立つ未来をあらかじめ想定した上で、その未来をより明るくするにはマルチメタバース、インターバースの相互接続性が必要であると考え、相互接続が成り立つ世界を実現するにはどうすればよいか? というコンセプトのもとにずっと製品開発を行っていたので、ついにその時が来たかという気持ちでいます。特にVRMを2018年から始めていたのは間に合って良かったなと思っています。

Q2 2022年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ
2022年、「メタバース」という言葉自体はバズワードとしていったん消費されつくし一服するかなと予想しています。同時に、ただ三次元空間をアバターで移動できるだけの「メタバース」サービスの提案も一巡するのではないでしょうか。2022年から先は、ただアバターを使えます、というだけではなく、身体性をデータ化するとはどういうことか? アバターで集うということはどういうことか? と、メタバースであること自体がもたらす価値をあらためて問い直し、サービスとしてより高い価値、より新しい生活様式の提案がされてくる年になるでしょう。

また、VRMは1.0が2022年中には正式版が発行されるはずです。かなり難航しましたが、マルチメタバース・インターバースにおいて身体にポータビリティを与える重要な鍵になり得る技術です。アバターの取り扱いについては各社どうしても自社への囲い込みを優先しがちなので、ここはなんとか身体のポータビリティという概念の普及を進めたいところです。

なんにせよ、2022年は転換点としてかなり重要な年になるはずです。とても楽しみですし、バーチャルキャスト社もあっと言わせる提案ができるように頑張ります!

茨城県営業戦略部 プロモーションチーム

Q1 2021年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ
コロナ禍がまだ終息を見せない状況ではありましたが、茨城県公認Vtuber「茨ひより」はバーチャルである強みを活かし、茨城県の魅力発信を進めてまいりました。

活動開始3周年にあわせてアマゾン社のアレクサに茨ひよりの声を搭載するなど、新たな挑戦の行いました。また、茨ひよりが司会進行するライブコマース番組では、多くの方に県産品を購入していただくことに貢献しました。

このような取組もあり、今月には茨ひよりがアナウンサーを務めるYouTubeチャンネル「いばキラTV」はチャンネル登録者数15万人を突破することができました。ファンの皆様からもお祝いのコメントをいただくことができ、大変うれしい気持ちで年末を迎えることができました。

Q2 2022年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ
コロナ禍にあってアウトドアに注目や人気が集まっていますが、茨城県にはナショナルサイクルルートにも指定されている「つくば霞ヶ浦りんりんロード」がありますし、魅力的なキャンプ場もたくさんあります。今後、茨城県の魅力発信を進める中で、茨ひよりからも茨城県で楽しめるこうしたアウトドア体験をPRしていきたいと思っております。

ポストコロナも見据え、引き続き国内外へ向けての魅力発信と「茨ひより」の認知向上に努めてまいりますので、よろしくお願いします。

加藤卓也(株式会社VARK 代表取締役)

Q1 2021年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

2021年は引き続き世界中で多くのアーティストがバーチャルライブを開催する年になりました。特にアリアナ・グランデ、ジャスティン・ビーバーなど「世界トップレベルのアーティストでも普通にバーチャル空間で3Dモデルを使ったライブをするよね」という共通認識が生まれたことは印象的な出来事でした。

また、従来は何もかも手探りで「商業的」ないし「技術的」にうまくいかないことも多かったバーチャルライブですが、「こうやったらうまくいく」という成功パターンも見つかり、再現された年でもあったと思います。これは別の側面から見ると、2020年に比べてバーチャルでの成功パターンを「見つけ出せた人」と「まだ見つけられていない人」の差が明確となってきたことを意味していて、さらにこの差は加速度的に広がっているように感じます。

新型コロナウィルスの蔓延により、2019年〜2020年には混迷しつつも試行錯誤してきたライブ業界でしたが、次の大きな一歩を踏み出すことができたのではないでしょうか。

Q2 2022年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ
まず、ソフトウェアとしては2020年末の予想通り、HORIZONがついに北米限定でローンチされ、AAAタイトルであるバイオハザードが爆売れしましたね。来年もハードウェアが安定しそうですので、VRソフトウェアはさらに盛り上がっていくと予想されます。

また、業界全体としてはやっぱりFacebookのMetaへの改名によるメタバースブームが大きかったです。ブームに伴って様々な業種の企業からメタバースが日々誕生していますが、2022年はこういった多種多様なメタバースの中で、必要とされていることと必要とされていないことがはっきりとしてくると思います。

VARKもエンターテインメント特化型メタバースへの進化のため、2021年12月にVARK史上最大のアップデートである「WORLD機能」をリリースし、10日で1万人以上もの方に遊びに来ていただきました。それに合わせて昨年末にリリースした機能をリニューアルのために一度クローズするなど、今後はWORLD機能をハブとしたコンテンツ展開を予定しています。

まだ詳細はお伝え出来ませんが、VARKは来年も大きなアップデートを伴う次の新しい挑戦を始めており、夏前くらいには皆さんにお見せできる形になるかな〜と思っています。

加藤直人(クラスター株式会社 代表取締役CEO)

Q1 2021年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ
xR業界はメタバースに、クリプト業界はWeb3に、それぞれ名前を変えた上で互いの思惑が交差し大いにバズった年でした。VR市場の視点ではやはりQuest2が1,000万台の大台に乗り、PC・スマホ・タブレットなどの従来型デバイスと比較しても、無視できないビジネスインパクトを生み出すプラットフォームになってきたことが大きいでしょう。

clusterにおいては、コロナ禍が落ち着くまでまだまだ時間がかかりそうというのもありバーチャルイベント需要は落ちることなく、ディズニーやM1グランプリや万博を見据えたバーチャル大阪など、大きな案件をいくつも任せていただけました。また「ソーシャル・ファースト」をかかげて機能拡充をした結果、普段使いしてくださるユーザーもかなり増え、ようやく住める空間になってきたなと感じています。

Q2 2022年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ
2022年は今以上にメタバース×Web3が盛り上がり、ビジネス参入者やリスクマネーの流入が激増します。世界的にカオスの様相を呈するでしょう。後半にはハイプも落ち着き始めるとは思いますが、そのときに残っているのは真摯にユーザー価値を追い求めた事業者のみです。

clusterとしては、ユーザーと向き合う気持ちを決して失うことなく、一方で追い風は大いに利用しながら拡大を志向する年にしたいなと考えています。また、メタバース研究所をスタートしたので、xR・BMI・AI・Blockchainをテーマに人類の創造力を加速するような価値を生み出し世に発表していけたらと。

佐藤 哲(株式会社サンリオエンターテイメント 企画制作部)

Q1 2021年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ
「XR/メタバース/VTuber業界のキーパーソンが語る2021年振り返りと2022年の見通し」というタイトルに、この業界の若輩者の私が、コメントをさせて頂くのは大変に恐縮ですが、「SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland」が高評価を頂けたとの事で光栄です。

2021年、オフラインも復活の兆しを見せながらも、オンラインをどのように上手く組み合わせ、ハイブリットに行うか?を各社模索していると感じた1年でした。個人的にも、年始まりは、NTTドコモとの取り組みである「Magic Leap 1」のアトラクション開発、劇団ノーミーツと「VIVA LA VALENTINE」のオンライン演劇から始まり、「SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland」で終わるというチャレンジングな1年ではありました。

そんな中、印象的だったコンテンツとしては、「SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland」にご出演頂いたキヌさんの圧巻のパフォーマンスでした。エンタメ性、メッセージ性、演出力etc、どれをとっても最高でした。そして、フジロックの電気グルーヴのライブも、画面から飛び出してくる熱量を感じて印象的でした。あとは、空気階段と錦鯉の優勝に感動しつつ、初めてNFTを購入してみた1年でした。

Q2 2022年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ
個人的には、リアルとバーチャルをマッシュアップしながら、更にコミュニケーションを拡張できるような1年にする事ができたらと思っています。また、バーチャル体験をリアルに落とし込むためには、どのようにするべきか?を模索する事にもなりそうな気がしています。そのためには、様々な企業と一緒に面白い事にチャレンジできればと思いますので、突然ご連絡する事があるかと思いますが、その際は、温かく受け入れて頂けますと嬉しいです。

まだ触れていないRoblox、Decentraland、The Sandboxも興味はありますが、更に加速する感じになるのでしょうか。投機やビジネス部分が先行するよりも、カルチャーファーストな1年になると良いなと思っています。

岸上健人(MyDearest株式会社 代表取締役CEO)

Q1 2021年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ
MyDearestつまり僕ら自身の話だとアルトデウス: BCがファミ通・電撃ゲームアワードのアドベンチャー部門最優秀賞を受賞したことです。日本最大規模のゲームアワードで、VRゲームとして初めての受賞は本当に光栄でした。また、メタバースという言葉がかなり流行し2016年のVR元年以上に盛り上がりや注目が集まっていますので、本当に楽しみです!

Q2 2022年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ
2022年はVRゲーム大豊作の年となりそうですね!Moss2やルインズメイガス、zenithなど本当に楽しみにしています。また、MyDearestとしてはディスクロニア: CAという僕らのこれまでの作品の中でぶっちぎりで体験やゲーム性が進化したタイトルをエピソード3部形式でリリースします!エピソード1は春予定ですので2022年はディスクロニア: CAイヤーとして一年中お楽しみいただけますと幸いです!

また、VRヘッドセットの台数ではなく、VRはアクティブユーザーベースで1,000万人を超えそうです。そこから大VR時代・メタバース時代となっていくと思いますので本当に楽しみです。

須田修伍(株式会社Live2D マーケティンググループ サブリーダー)

Q1 2021年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ
2021年は海外需要が大きく伸びた1年でした。弊社より提供している『Live2D Cubism Editor』のライセンス販売数だけで見ても、海外前年比で700%以上増加するという急成長を見せており、VTuber文化の広まりやその需要の高さを非常に感じました。

また、その影響は個人Live2Dクリエイターにも現れてきていて、「海外の方からモデル制作依頼の問い合わせが来るようになった」という声を多く耳にするようになりました。その中には英語など海外言語のスキルがある人とチームを組んで活動しているという例も出てきており、”Live2D=趣味のツール”という認識が大きく変わりはじめているのを感じています。

Q2 2022年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ
少し前までは「アバター利用において、2Dと3Dどちらが優れているか」という話題がよくあがっていましたが、最近ではアバターを利用する側も、そのコンテンツのファン側も、2Dと3Dの使い分けを理解して楽しんでいる印象を受けます。他にも、実写で活動されている著名人がアバターを利用して動画配信を行うようになったという流れもこれと同じです。

弊社では2020年2月以降原則リモートワークにて業務を実施しておりますが、世の中的にも実体の距離ではなく、心の距離でコミュニケーションを図るケースが増えており、あらためて”人間力”と呼ばれるような自律と他律のバランスの部分が重要視されてくるのではないかと感じています。

引き続きクリエイターの皆さんと二人三脚で成長していきたいという想いを胸に、心の距離を近づけられるように2022年も精進して参りますのでどうぞよろしくお願いいたします!

杉山知之(デジタルハリウッド大学 学長)+池谷和浩(デジタルハリウッド大学 事務局長)

Q1 2021年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ
2020年度から続くコロナ禍を通じて、デジタルコミュニケーションが社会の基盤となったことを全世界的に実感した年となりました。コンピュータとネットワークを駆使して日常的な生活や仕事、創作を行うことが誰にとっても当たり前になり、いくつものデジタルツールを組み合わせて物事を進めるノウハウの共有が進みました。

私たちが運営するデジタルハリウッド大学(以下DHU)でも、Zoom、Teamsなどをはじめとするオンライン会議や、VRChatやClusterなどの仮想空間を、フィジカル空間とのハイブリッドでいつでも必要に応じて使えるサービスとして活用しています。また、Oculus Quest 2を授業や学生のプロジェクトで活用できるように多数用意したほか、バーチャルマーケットへの出展や、Cluster GAME JAMへの協賛を通じてXRと共に育まれつつあるテクノロジーカルチャーへ積極的に関わっています。

一方で、フィジカル空間に居合わせることや、身体性をめぐるリアリティについての学究的な関心がますます高まってきました。DHUでは、藤井直敬卓越教授を中心とした「現実科学(RealityScience)」という新しい領域への取り組みが進み、イベントや実験を通じて多くの対話が生まれました。

Q2 2022年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ
様々なデジタルツールを自他ともに快適な方法で臨機応変に組み合わせ、高いパフォーマンスを発揮できるように整えられる能力が、社会生活における基本的なリテラシーとしてますます求められるようになるでしょう。企業や学校などの場を提供する側は、組織のミッションの遂行を止めることなく、状況に応じた環境を自在にプロデュースできるようになる必要があります。

DHUでは、バーチャルキャンパスをつくるプロジェクトを進めていきます。人間らしく、自分らしく未来を生き抜いていく人が育つ学校とは、そもそもどんなものであるべきかを考え、各領域の研究者や実務家との対話を通じて、プロトタイピングを行う予定です。そのプロセスはMogura VR様に協力いただき、公開しながら進めていきます。XR領域をはじめとする様々な専門家の皆様にも、プロジェクトに参加していただければ嬉しいです。

また、オンライン会議にも仮想空間にも行き来できるアバターの生成と装着を簡単に行える学発プロダクト「beCAMing(ビカミング)」を開発し、全国の学校教育機関向けに提供します。こちらはキッズプレート社とPocketRD社との産学協同で行います。

学生や教員が続々と立ち上げている、未来のリ・デザイニングに取り組むベンチャー企業の支援には、これからも力を注いでいきたいと考えています。

筒井鉄平(GFR Fund Managing Partner)

Q1 2021年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ
GFRにとっては2021年はNFTで始まり、NFTで終わった年でした。2019年秋に投資をしたRTFKTがNFTに取り組み始めたのが2020年秋で、$3M相当のデジタルスニーカーを販売したのが2021年3月、そしてNikeによって買収されたのが2021年12月と、ある意味、同社はNFTのトレンドを象徴したスタートアップでした。

また、我々がAxie Infinityに投資をしたのが2021年5月のSeries Aでしたが、その3ヶ月後に追加で$150Mを調達し、あっという間にvaluationが$3bn (3,000億円)になりました。マクロで見てもWeb3.0は2021年で大きく伸び、メインストリームになりつつありますが、その流れにうまく乗れた年だったと思います。

Q2 2022年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ
2022年はVR/メタバース/Web3の融合が更に進むと思います。VR/メタバースは恐らくMeta等の大手のテック企業による大型買収が増え、グループ化が進み、スタートアップにとってはexitのタイミングになると思います。Web3はまだ黎明期で、今後、アメリカを含む国の規制がどう変わっていくのかは注視しなければいけないですが、大きな流れとしては前に進み続けると思うので、GFRとしても慎重に見極めながら、積極的に投資をしていく予定です。

特に今、XR/ゲームの世界はWeb3/ブロックチェーンの世界とまだ隔たりがあり、スタートアップ側もユーザー側もお互いを受け入れるのにはもう少し時間は掛かりそうですが、その2つが融合した時にできるユーザー体験はとても面白いものになると思うので、その点は楽しみです。

中村薫(株式会社ホロラボ 代表取締役)

Q1 2021年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ
おそらくみなさん共通の話題だと思いますが、2021年の後半はさまざまな言葉や技術が「メタバース」に集約された印象があります。ポジティブに考えれば、いままでどちらかというとニッチな存在であったAR/VR技術やプラットフォーム、アバターなどが、より多くの一般の方に認知される、興味をもたれるということになります。とはいえ現在の「メタバース」は個人個人によってイメージが違うものとなっている非常に扱いづらい言葉となっているので、意識合わせがこれまで以上に重要になっていると感じています。

ホロラボでの取り組みをふりかえってみると、コンシューマーへの取り組みの盛り上がりを特に感じた一年でした。エンタープライズもコンシューマーもインフラが整うと多くのコンテンツが試行され、その中から実運用に移行していく流れを実感し始めています。

技術的には、PLATEAUで都市の3Dデータが蓄積され、Immersalのような手軽なVPS(Visual Positioning System)により、物理世界とデジタル世界の繋がり・重なりがより身近になってきました。

Q2 2022年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ
このような流れの中、より多くの方にAR/VR技術が身近になってくる一方で、立ち位置によるさまざまな解釈や定義が飛び交うことが引き続き想像されます。流れには乗っていく一方で、自分達ができることを粛々と進めて行ければと考えています。

西村拓也(株式会社ambr 代表取締役CEO)

Q1 2021年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』『映画大好きポンポさん』は、ものづくりの尊さをひしひしと感じさせてくれる素晴らしい作品でした。仮想空間だと、『VRデビルマン展』『FORTNITE PRESENTS THE RIFT TOUR FEATURING ARIANA GRANDE』『バーチャルマーケット6』『SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland』、そしてambrで企画開発させていただいた『TOKYO GAME SHOW VR 2021』は、バーチャルならではの体験づくりに挑戦していた良い事例だったと思います。

Q2 2022年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ
「誰か一人その映画を一番見てもらいたい誰かのために作ればいいんだ」。

『映画大好きポンポさん』に出てくるセリフです。

仮想空間も同じだと思いました。

誰か一人その仮想空間を一番楽しんでもらいたい誰かのためにつくる。

ambrはこれからもそんな仮想空間づくりをしていきたいと思います。

沼倉正吾(Symmetry Dimensions Inc. CEO&Founder)

Q1 2021年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ
2021年は、国土交通省都市局「Project Plateau」、東京都デジタルサービス局「デジタルツイン実現プロジェクト」に代表される国や自治体のオープンデータ提供や、デジタルツインの取り組みが本格的にスタートした年でした。

我々自身も、6月30日にデジタルツイン構築プラットフォーム『Symmetry Digital Twin Cloud』を発表し、直後の7月3日に静岡県熱海市で発生した土砂災害の点群サポートチームに加わり、いきなりの実戦投入となりました(当日の様子はMoguraVRさんのコチラの記事で時系列で紹介されています)。3次元データを活用するデジタルツインのインパクトを周知する事例になりました。11月9日には渋谷未来デザイン及び加盟企業と「デジタルツイン渋谷プロジェクト」を公開し、デジタルツインの社会実装に向けた動きが加速しました。

Q2 2022年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ
2022年は、デジタルツインに関して、自治体や企業などでの構築や連携等、さまざまなプロジェクトが立ち上がる年になるでしょう。デジタルツインの活用は「アーカイブとしての活用」「リアルタイムの活用」「プレディクション(予測)の活用」の順で進んでいきますが、これに加えて、2021年に話題になったメタバースと呼ばれるオープンプラットフォームとも相互連携していく流れが出てくると思います。

舟越靖(株式会社HIKKY CEO)

Q1 2021年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ
「メタバース」ですね!SNSはじめマスメディアも連日取り上げて再度XRバブルに突入(笑)。世界的な企業もこぞって参入表明するなど、昨年の比ではありませんでしたね。コンテンツは素晴らしい物が多くて書ききれませんが、NFT関連がメタバースとしてXRと混在して扱われたのはインパクトありました。また業界の資金調達ニュースも相次ぎ話題の絶えない楽しい一年となりました。

Q2 2022年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ
一社で年間1兆円や1千億円もの予算が宣言される世界での予測は困難ですが、資金調達のシーンは過去一番に加熱するでしょう。多額の予算や強力なIPコラボで成功する時代は終わりです。細かい努力や成果の積み重ねと何よりアツいクリエイティビティの方が重要視されていきます。根拠の一つにクリエイターファーストを掲げ邁進してきた弊社HIKKYですが、国内最大規模の資金調達を実現する事ができました。働く事すら困難だった一人の夢は多くの助力によって仮想空間から現実に飛び出して形になったのです。そんな事が起こり得るのですから全世界待ったなしの2022年になるのではないでしょうか。私達は来年も変わらずチャレンジを続けます。共にがんばりましょう。

三上昌史(株式会社Gugenka 代表取締役CEO)

Q1 2021年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ
VRChatで大規模なサンリオさんの有料バーチャルフェス「SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland」を成功させたこと。クオリティだけでなくマネタイズについても次の時代へつながるコンテンツになったと思います。

また、当社のキャラメイクアプリ「MakeAvatar」が日本ではじめてVRChatに対応し、DOORやVRoid Hubなどさまざまなメタバースをアバターでつなぐハブとなったことです。

Q2 2022年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ
デジタルフィギュアサービスとして世界一のアニメ公式ラインナップ数の「HoloModels」はARをつかった現実空間だけでなく、他社のメタバースとの連携も視野に入れています。

また、キャラメイクアプリ「MakeAvatar」はより高い自由度とクリエイターさんが参加できる機能を予定しています。Gugenkaはメタバースをつなぐ「デジタルコンテンツ」を提供していきます。

山口征浩(株式会社Psychic VR Lab 代表取締役)

Q1 2021年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ
「メタバース」ブーム。市場が形成されていくタイミングでバズワードが様々な形で解釈されることで、今までXR市場にいなかったプレーヤー(サービス/プロダクト提供企業・利用者・投資家など)の参入を促していることは中長期的に良いことだと思っています。(短期的には新規参入と撤退が加速し幻滅期の要因になりますが。)

「クラウド」「AI」「ユビキタス」「Web2.0」などのバズワードがそうであったように、その本質論とは別に、新たなパラダイムがそこに生まれることへの期待や乗り遅れまいとする動きが資金を伴って市場を活性化させ黎明期の市場を次のステージに押し上げている状況はスタートアップ企業にとって大きなチャンスであると思います。一方、今後数年の波を逃すとスタートアップ企業が市場の中で存在感を出すことのハードルが一気に上がるタイミングでもあると考えています。同様に、日本の企業が世界で存在感を出すことができる可能性のある最後の数年になるかもしれません。

Q2 2022年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ
STYLYは、都市を始めとした実空間へのAR/MRコンテンツ制作・配信機能を強化していきます。また、人間中心のリアルな自分を起点としたメタバースを「リアルメタバース」と定義し、VR/AR/MR問わずそのフィードバックがリアルな人や企業の創造する力・クリエイティビティを高めていくことを行っていきます。

インターネット・ソーシャルメディアが別アイデンティティとしてのコミュニティで終わらず、リアルな自己のアイデンティティを強化してより多くのリアルな他者と深く繋がれるようになったことで私達の生活を豊かにし市場が大きく拡大したように、メタバースが現実世界・実質現実世界を問わずリアルなヒトや企業へのフィードバックをともなって市場が大きくなっていくのではないかと思っています。

Psychic VR Labは昨年累計19億円の資金調達を発表しました。今年日本国内でXR・メタバース企業の数十億規模の資金調達の発表がいくつかありました。

一方でMeta社は今後10年収益を生まなくてもメタバースに年間1兆円以上投資すると発表しました。日本国内の資金調達額を全部足しても、Meta社の年間投資額の1%程度です。

スタートアップ企業の皆さま、大きなチャンス、大きく攻めていきましょう。
ベンチャーキャピタル・事業会社・国の方々、1兆円規模の資金、お待ちしています。


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード