業界動向 2018.12.31

【VR/AR/MR業界編】キーパーソン36名が語る2018年と2019年

メディアアーティスト
坪倉輝明

Q1 2018年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

2018年は僕の中でVR(HMD)が「ロケーションベース用の機器」から「家庭用の機器」として認識が大きく変わった年でした。

私は広告業界でエンジニアとして仕事をしてきましたが、今まではVRはアトラクションやプロモーションイベントの施策の一部として使われることが殆どでした。実際、VR業界の企業に所属してVRを開発するエンジニアでさえ業務以外に個人でVRを楽しむ人はかなり少数です。
しかし今年はVTuberやVRChatなど未曾有のVRブームもあり、HTC ViveやViveトラッカーの品切が続くなど、VR業界以外の層へVR機器が広がり人々の生活の一部となったと強く感じました。
象徴的だったのがVRChatで生活する「バーチャル一般人」や「Vの者」などと呼ばれる大多数の存在で「VR睡眠」やフルボディトラッキングによる「Kawaii Move」という新しい文化も生ました。その他にもバーチャルマーケットにアバターを買いに行ったり、VRストリートライブをしたり、皆でホラーワールドへ肝試しに行ったり、VR自宅でスマブラ大会やクリスマス会をしたりと、VR内で生活をするという文化が定着してきたように思います。

Q2 2019年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ

VRの世界で生きる事が特別ではなくなって欲しいと思っています。
VRの中で生活する「Vの者」はまだ少数で、「VTuber」もそうですがTVや新聞などで珍しい物として語られがちなのが現状です。2019年には「VTuber」や「Vの者」という存在は、生き方の選択肢の1つとして当たり前な存在となってほしいです。
僕のように現実世界で外出したり移動したりするのが億劫な人は、バーチャルの世界で生活や仕事をしたり、または現実世界で活動するための人型ロボット(物理アバター)を自宅からHMDなどのVR機器を介して活動ができるような未来が早く来てほしいものですね。

合同会社DMM.com EC&デジタルコンテンツ本部本部長 動画配信事業部 事業部長
山本 弘毅

Q1 2018年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

やはり、一番印象的だったのは、OculusGoの発売です。
弊社のVR動画サービスのユーザー数でもスマホ、PSVRに続き3番目のデバイスになっており、今後も普及が見込まれる素晴らしいハードだと思っています。
また、秋に弊社サービスで高画質配信(60fps)を始めたところ、OculusRiftやHTC VIVEユーザーが前月比2倍以上になったので、よりクオリティの高いコンテンツをユーザー様が求めている事が良く分かりました。
正直なところ、VR業界の話題が少し減った年だったと思いますが、Vtuberが想像以上に流行し驚きました。

Q2 2019年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ

据え置き型ゲーム機同様にハードありきのビジネスモデルでもあるのでスタンドアロン型6DoFのOculus Questが発売される事で市場の活性化を期待しています。
今後、OculusGoやスマホでの動画視聴体験を中心としたデバイスと動画だけでは無く、ゲームも対象とされるハイエンドなデバイスの両軸でそろそろキラーコンテンツが世に出てくるのでは無いかと思っています。
2019年以降も、5G/8K/ハードの低価格化など期待できる事が多くあり弊社もその良い流れの中でユーザーに響くサービスを作っていければと思っております。

渡邊課(Concent,Inc.)課長
渡邊 徹

Q1 2018年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

一体型のHMDが出たことで、VRの映像をすぐに居酒屋でも見せることが出来るようになったことが素晴らしい。
プリングルズのヴァーチャルライブのコンテンツ制作では、VRのカメラ優先での制作にも臨むことが出来た、クレーンを使ったり、ステージ上ど真ん中で撮影したりとライブ表現というところでかなりエモいものになったと思う。手前味噌ですが是非見てください。

Q2 2019年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ

実写VRの映像作家として、実写ならではで、VR体験としても素晴らしいものを今後も提供していきたいと誓いつつ。現況への危惧もある。以前VRの施策をして、失敗したり効果がなかったのでやりたくないという話もちらほら聞いたり、コンペに落ちたり。。
体験に紐付いたVRの制作を心がけたいところです。
最近、色々なところで登壇しているのですが。VR映像は新たな視点の獲得だと思っていて、物理人体から解き放たれた視点を体験するということも意識してVR映像を作っていきたいなと思っています。VRで人間やめる(体験の提供)が今年の抱負です。

VRプロデューサー
待場勝利

Q1 2018年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

2018年はSundance Film Festival、Tribeca Film Festival、Canne Film Festival、Short Short Film Festival & Asia、SKIP CITY INTERNATIONAL D-Cinema FESTIVAL、Busan International Film Festivalという世界中の大きな映画祭に参加させてもらいました。
世界中のクリエイターがVRを使って映画を作ろうと挑戦していることがよく分かりました。
その中でVR映画として可能性を感じることのできる作品はまだ少なかったです。しかし、少ない中にも、今まで見たことも、体験したこともない新しい映像表現をしている作品を見ることができました。その時“悔しい”という思うと同時に、こういう作品を多くの人たちに“体験してほしい”という気持ちになりました。そのため、アドバイザーとして参加させていただいたShort Short Film Festival & AsiaやSKIP CITY INTERNATIONAL D-Cinema FESTIVALで国内外の魅力的なVR映画を日本の多くの人たちに紹介させていただけたのは本当に嬉しい経験でした。
でもVR映画の可能性はこんなものではないはずです。もっともっと新しいクリエイターが出てきて、私が考えもしない“スンゴイ”アイデアで、きっと新しい体験をさせてくれる作品が出てくるはずです。その作品を体験するまでは、私もまだ挑戦し続けます!!

Q2 2019年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ

2018年は世界3大映画祭のベネチア映画祭の中で初めてVR作品のコンペティション部門が設立されました。残念ながら、第1回のコンペティション部門に選出された作品の中で日本の作品は1本も入っていませんでした。2019年のベネチア映画祭には是非とも日本からVR映画作品をノミネートさせたいです。そしてその作品を多くの日本の人たちに見てもらえる機会を作れれば最高です!!
P.S. スポーツ、音楽系VRコンテンツも盛り上げたい!!皆さん、一緒に頑張りましょう!!

エンハンス / レゾネア 代表
水口哲也

Q1 2018年を振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

2018年は、ずっと準備してきた「Tetris Effect」をリリースすることができました。テトリスをVR化するというと、最初はよく「?」という顔をされましたが、たとえシンプルなものであっても、VRで共感覚的な体験にアップデートすることができれば、体験作品の進化は可能であることを証明したくて3年半トライを続けてきました。11月にようやく世界リリースができて、スタッフ一同、落ち着いた気持ちで、年末を過ごせています。

Q2 2019年はどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ

2019年は、新たな挑戦に向けて始動します。ゲーム以外の共感覚体験にも挑戦していくつもりです。エンジニア、デザイナー、UXデザイナーをはじめ、VR/AR/MR、一緒に開発するスタッフを常時、募集していますので、興味のある方は、エンハンスおよびレゾネアの公式ページのContactから職歴書やメッセージなど気軽に応募ください。ジャンルを問わず、同じ思いを持つ方々からのメッセージをお待ちしております!

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