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企業動向 2026.09.11

Robloxが築く巨大経済圏とビジネスの可能性【XR Kaigi Hub 名古屋レポート】

本記事は、2026年8月6日にXR Kaigi Hub 名古屋にて開催された講演「ロブロックス入門 in 名古屋〜毎日1億人以上が集まるデジタルメディアのフロンティア〜」の内容をレポートする。毎日1億人以上が世界中から集まるゲームプラットフォーム「Roblox(ロブロックス)」について、基本的な情報から、ユーザーを熱狂させる理由、そして企業活用の最前線までGeekOut株式会社 田中創一朗氏の講演をもとに紹介していく。

登壇者紹介:田中 創一朗 氏(GeekOut株式会社 取締役CPO)


国内・海外アドテクノロジープラットフォームでの事業開発を経て2022年に同社を設立。IP、タレント、企業、自治体等多業種にわたるRoblox活用の支援を手がける。著名なアニメ・漫画IPを用いた開発支援など、多彩なコンテンツ展開で業界をリードする。

ロブロックスは遊びと創造のプラットフォーム

GeekOut株式会社は現在、ロブロックス関連事業(クリエイターコミュニティ支援・強化、ゲーム制作・リリースマネジメント、企業のロブロックス活用支援等)を主軸として、常に新たな挑戦に取り組んでいる企業である。メタバースという言葉が過熱していた2020年代の前半「とにかく何でもメタバースと絡ませる様な施策が出てきているが、本当にそれでいいのだろうか?」という疑問から、真に意味のあるソリューションを実現すべく同社を設立したとのことだ。田中氏曰く、ロブロックスは数あるプラットフォームのなかでも、当時から圧倒的な規模とクリエイターエコノミーの可能性を持っていると見えたという。

そもそもロブロックスは、ブラウザベースのメタバースプラットフォームではない。スマートフォン、パソコン、PlayStationなど、それぞれのハードに最適化された専用アプリが用意されている。アプリを選択すると、数多くのゲームがズラリと並ぶメニュー画面が表示されるが、そのゲームのひとつひとつが、世界の誰か、すなわちクリエイターが制作したゲームである。専用の開発ツールを使えば誰でもゲームを制作し、公開できるという点が大きな特徴で、ゲームの収益化も可能だ。しばしば「ゲーム版のYouTube」と例えられる所以でもある。

公式には「誰もが夢中になれる遊びと創造のプラットフォーム」と定義されているが、世間にはいくつかの誤解があると田中氏は指摘する。その一つが「子ども向けのプラットフォーム」という認識である。確かに若年層のユーザーは多いものの、プラットフォーム自体はあらゆる年代の誰もが楽しめる世界を目指して設計されていると語った。

簡単だからこそ奥が深いロブロックスのゲーム開発

もう一つの大きな誤解が、「ロブロックスでは簡単にゲームを制作して大きな収益をあげることができる」というイメージである。昨今ではロブロックスでもAIを活用したゲーム開発が可能になり、ここ数年で開発のハードルは劇的に下がっている。しかし、だからといって「AIでパッとゲームを生成すれば稼げるかというと、まったくそんなことはない」という。市場が巨大である分、成功を収めるためにはそれ相応の情熱とクリエイティビティが必要不可欠である。

ただ田中氏は、「たしかにロブロックスのゲーム開発は簡単であるというのは間違いない」と補足する。ロブロックスのプラットフォーム運営による、開発ツールやインフラ面のサポートの手厚さにより、ゲームの開発自体の障壁はかなりの部分がクリアされているのだ。通常のオンラインゲーム開発では、サーバーの構築やマッチメイキング*1のロジック構築、アクセス増に伴うスケーリングなど、インフラ構築に大きな手間とコストがかかる。しかしロブロックスでは、これらのオンラインマルチプレイに関わる複雑な処理をすべてプラットフォーム側が担ってくれる。

「ゲームの中身だけを作れば、ロブロックスで公開できて、いろんな人に遊んでもらえる。しかも、公開して置いておく分には、まったくコストがかからない」(田中氏)という点が最大の強みである。

インフラの壁を取り払い、純粋な「面白さ」を作ることに専念できる環境が整っているものの、「そんなに魔法みたいなツールではないので、誰でもすごく面白いゲームが作れますというわけではない」と田中氏は語り、クリエイターの情熱とクリエイティビティの重要性を改めて強調した。

*1: マッチメイキング: マルチプレイの対戦や協力プレイで、条件の合うプレイヤー同士を自動で組み合わせてチームや対戦相手を作る仕組みのこと

その盛り上がりは、すでに日本でも無視できない

話題はロブロックスユーザーの熱狂的な盛り上がりに移る。デイリーアクティブユーザー(DAU)は世界中で1億2300万人にのぼり、1日あたりの平均滞在時間は約2.6時間*2を誇るという。「皆さんが毎日2.6時間やっているものといえば、Slackやメールといったレベルのものかもしれません」とビジネスマンが日常触れるアプリに例えつつ、この数字がいかに桁外れであるかを浮き彫りにした。

ロブロックスには巨大な経済圏が構築されている。プレイヤーは「Robux(ロバックス)」と呼ばれるプラットフォーム内通貨を使用しており、ユーザーは一部のコンテンツの開放やアイテム購入のために、Robuxを購入して使用する。日本円に換算すると数百円単位の少額課金で購入できるコンテンツを用意しているクリエイターも多い。この収益がクリエイターに還元される仕組みだ。トップクリエイターのなかには、月に数億円の収益を得る者も存在し、5~10人程度の小規模チーム、あるいは個人で大きな収益を稼ぎ出す事例も珍しくないという。ただし、田中氏は、こうした成功例の背景には相応の情熱と試行錯誤があると重ねて強調した。

「一昔前は子どものなりたい職業といえばYouTuberでしたが、今後ロブロックスなどのゲームクリエイターを目指す子どもたちが増えていくでしょう。これからどんどん熱くなっていきます」と田中氏は語る。

日本国内においても、その波は確実に押し寄せている。現在、日本の小学生が遊んでいるゲームのランキングにおいて、ロブロックスは著名なサンドボックスゲームに次いで2位に急浮上している。田中氏自身もこの急成長には驚がくしたと語り「この勢いで伸びていくと、多分(首位のゲームに)すぐに追いつくのでは」と予測する。すでに日本でも無視できない規模に成長していると言えそうだ。

*2:Roblox Financial Summary Table Financial Summary Table

ユーザー生成コンテンツだからこそ成立した市場

なぜロブロックスはそれほどまでにユーザーの心を掴んで離さないのか。「コロナの時に友達に会えなくて……」という時代背景はよく語られるが、本質的な理由は別にあると田中氏は分析する。大人から見れば、グラフィックは簡素に見え、説明も不足しているように見えるゲームも多いロブロックスだが、子どもたちにとっては全く問題ではない。本質的な理由は「とにかく飽きない」ことである。

ユーザー生成コンテンツ(UGC)であるがゆえに激しい競争原理が働き、無数のゲームが投下され続けている。ゲーム内のトレンドは2〜3週間の単位で目まぐるしく変化し、さらに同じゲームであってもクリエイターのライブアップデートによって「昨日と今日で体験が違う」ことがロブロックスでは当たり前となっている。新しいアイテムの追加や、他プレイヤーとのトレードなど「今日もなにか変化があるかもしれないというワクワク感」がロブロックスの楽しさのコアになっているそうだ。

また、ユーザーを牽引する力となっているのが、ホーム画面に表示されるフレンド機能*3
だ。「ロブロックスを開けば、友達が今どこで何をしているのか分かるので『なんか退屈だな』と言った時にロブロックスを開けば、一緒に遊びに行けるんです」(田中氏)と、フレンド機能がユーザーの早期離脱を防ぐ役割を持っている点も指摘した。

*3: フレンド機能は、年齢確認や12歳以下の子供の場合保護者の承認が必須になる等、安全に配慮した利用制限があります。詳しくはこちら

企業のアプローチでもユーザーの期待に応えることが大切

ユーザーの熱狂を生み出している背景には、プラットフォーム内の循環構造がある。ロブロックスが創作のインフラを整備することでクリエイターが集まり、ゲームを作る。そこにプレイヤーが集まり収益化され、クリエイターはさらに質の高いコンテンツを投下する。このサイクルが現状うまく回っているのである。

この巨大なエコシステムに対し、企業はどのようにアプローチすべきか。田中氏は「ロブロックスでは、ユーザーの目の前にはすぐに遊べる魅力的なゲームが大量にあるので、その中で企業のコンテンツに時間を使ってもらうのは並大抵のことではない」と語る。そこで立ち返るべき大原則が、「ユーザーはロブロックスに何を期待しているか」だという。

田中氏の観察に基づくならば、ユーザーはユニークで新しい体験を求めているとも言えそうだ。ただし田中氏は、「新しい体験といっても、ロブロックスの文化を無視してはうまくいかない」と強調する。一方でユニークさについては、企業にとって心強い指摘もある。「企業のみなさんが日々現実世界で提供している価値や体験はユニークなものであるはずで、それはロブロックスの世界でも同じ」と語る。つまり、企業がすでに持っているユニークな価値や体験を、ユーザーに親しみやすいようにロブロックスの文化に合わせてチューニングすること。それが、企業によるロブロックスでの取り組みにおいては最も重要であるという。

では、そのチューニングはどう進めればいいのか。「確実なのは、ロブロックスの文化を最も知っている、現役で活躍しているクリエイターと共創することだ」と田中氏は語る。GeekOut社でも常に数百人の「ロブロックスネイティブ」なクリエイターたちと意見を交わし、企画を磨き上げているという。

実際に事例をみてみると、ゲームを制作して届けるという施策に留まらず、バーチャルイベントの開催、ショッピング体験、企業とユーザーのコミュニケーションなど、様々なコンテンツが既に楽しまれており、幅広い活用の可能性を秘めていると田中氏は強調する。今後ロブロックスを活用したビジネス施策として、どのようなアイデアが生まれてくるのか、注目したいところだ。

AI・スマートグラスの最新事例が集合! 国内最大級カンファレンス「XR Kaigi 2026」、11月30日〜12月2日に開催決定

XR Kaigi実行委員会は、バーチャル領域のカンファレンス「XR Kaigi 2026」を2026年11月30日(月)から12月2日(水)の3日間、東京・ポートシティ竹芝内(ポートホール・東京都立産業貿易センター浜松町館)で開催すると発表しました。開催発表に合わせ、協賛・出展企業の募集も開始されています。※XR Kaigi、MoguraVRはMyDearest株式会社が運営しています。

XR Kaigiは、XR・スマートグラス・VTuberなど、バーチャル領域の担い手を対象としたカンファレンスです。企業・個人・業界団体・行政などが参画する業界横断型のイベントで、海外からの登壇者や出展社も迎えます。開発者やクリエイターを中心とした参加者が集まる場を目指しており、2014年から業界専門メディアとして活動するMogura VRが企画しています。想定総動員数は4,000名、想定出展ブース数は100ブースです。

 

協賛・出展の詳細は、公式サイトから資料請求できます。

XR Kaigi 2026 概要

名称 XR Kaigi 2026
会期 2026年11月30日(月)〜12月2日(水)
会場 ポートシティ竹芝内(ポートホール・東京都立産業貿易センター浜松町館)
想定総動員数 4,000名
想定出展ブース数 100ブース
公式サイト https://mydearestvr.com/xrkaigi/2026/
主催 XR Kaigi実行委員会

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編集長の久保田を筆頭に、XR/メタバースなどバーチャル領域を知り尽くす専門チームが、リサーチからコンサルティング、企画、開発までを一貫支援。
Mogura VRで培った豊富な情報力と業界ネットワークを強みに、企業・行政機関の成果につながる最適な解決策をご提案します。