Home » グーグルと米テレビ大手が業務提携、VRで新たな番組視聴を提案


業界動向 2018.05.02

グーグルと米テレビ大手が業務提携、VRで新たな番組視聴を提案

これまでの他のメディアと異なり、全く新しい没入体験ができるVRですが、VRヘッドセットの年間出荷台数はまだ数百万台と、消費者の大半に普及したとは言えない状況です。

グーグルと米大手テレビネットワークのNBCが発表した番組制作に関する業務提携は、この現状を変えてVRを主流へと押し上げる効果があるかもしれません。両社は、NBCやそのネットワークに向けて、10以上の番組のVRプログラムを制作すると公表しました。

「サタデー・ナイト・ライブ」など人気番組のVR版を制作

視聴者は、VRプログラムをVRデバイスで見ることができます。また、YouTubeでの視聴も可能です。グーグルは近いうちに、VR180フォーマット向けのコンテンツも準備するとしています。

現時点では、VRプログラムとしてNBCの「サタデー・ナイト・ライブ」、リアリティ番組「Vanderpump Rules」等が用意されています。


NBCの狙い 視聴者に新しい体験を

NBCにとって、VRへの取り組みはこれが初めてのものではありません。同社は2018平昌冬季オリンピックにてインテルと提携し、アプリ「NBC Sports VR」上でVRライブストリーミングを行いました。

テレビ局にとって、番組視聴時間を伸ばすために、既存の番組以外のプログラムを制作することは重要です。VRは、その助けになる新しいチャンスと期待されています。

NBCユニバーサルの副代表Ron Lamprecht氏は、「我々は視聴者に新しいコンテンツ体験を提供する機会を、常に探しています」「今回の業務提携により、グーグルのVR技術とNBCのクリエイティビティを結びつけます。今後もグーグルやYouTubeと更なるコラボレーションを続けるのが楽しみです」と話しています。

グーグルの狙い コンテンツ拡充とJumpの活用

一方でグーグル自身も、自社プラットフォームでコンテンツ制作を行う企業との連携を模索しています。VRコンテンツ視聴者を増やし、さらには将来的なVRコンテンツの供給不足に備えようとしているのです。

これまでにグーグルはHBO、NetflixNBA、ディズニー等と提携を行い、コンテンツを配信しています。また今回の提携により、2015年に発表した360度動画撮影技術「Jump」を活用する狙いもあるようです。

グーグルのVR/AR部門のAmit Singh氏は、「NBCユニバーサルのネットワーク放送や番組への、視聴者のニーズは高いです。VRコンテンツとして提供すれば、番組のファンへ全く新しい視聴方法を提案できます」「NBCユニバーサルは、最新のVR Jumpカメラを使って簡単にVRコンテンツを撮影できます。またYouTubeがあれば、デバイスを選ばずにコンテンツを視聴できます」と語っています。

Daydreamプラットフォームを展開し、コンテンツ拡充を図るグーグル。一方で視聴者を繋ぎとめるために、VR/ARを活用するテレビ番組も増えています。今回の提携も、そのようなニーズの合致が背景にありそうです。

(参考)Techcrunch


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード