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業界動向 2022.08.01

米陸軍のHoloLens 2導入計画は難航か 予算削減が明らかに

2018年から進む、アメリカ合衆国陸軍によるマイクロソフトのMRヘッドセット「HoloLens」の実践導入計画。この完遂にいまだ課題があることが、米国上院歳出委員会の決定から見えてきています。

220億ドル近い大規模導入計画

最大218億8,000万ドル(契約当時のレートで約2.4兆円)にのぼる契約は、2021年3月に結ばれました。米陸軍が導入を計画しているのは「Integrated Visual Augmentation System (IVAS)」と呼称されるシステム。「HoloLens 2」10万台を導入予定で、契約期間は10年間です。
ヘッドセットにはナイトビジョンやサーマルビジョンの強化、その他の不特定多数の状況認識機能を備えています。さらにセンサーが搭載され、兵士が実際に人命を危険にさらす前に脅威を見極めることができるようになります。
2021年10月に導入延期が発表されたものの、2022年初にはテストの実施も報じられていました。

調達予算から3.5億ドルが削減

米メディアBreaking Defenseの報道によると、米国上院歳出委員会はIVASの調達計画から3.5億ドル(約463億円)の削減を決定しました。デバイス調達に残された金額は、およそ5,000万ドルということです。
「委員会は、IVASが現在もソフトウェア、ハードウェア、ユーザー満足の点で課題を持っていること、これに対して軍が十分に対応していないことを懸念しています」と公式声明では述べられました。「委員会は、テストと評価の期間を10か月間延長するという米陸軍の2021年の決定を考慮しています。しかしIVAS 1.1には、重大な開発上の課題もあるという点を、忘れてはなりません」
なおIVASの研究開発資金には5,000万ドルが追加で充当され、委員会はIVASの開発やテストに「引き続き賛同する」という旨は記されています。

導入延期に次ぐ予算の削減。開発上の課題がどういうものなのかは判明していませんが、HoloLens 2大規模導入の実現には、まだ時間を要することがうかがえます。

(参考)Road to VR
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