近年、4K/8Kなどの高画質の動画やVRコンテンツといった大容量コンテンツの普及により、インターネット通信量が増大傾向にあります。2020年の東京五輪も見据え、4K/8K動画配信、VRコンテンツ、ゲーム配信など、今後さまざまな大容量データが配信されることが見込まれています。
増大するインターネット通信量を削減するために、国立大学法人電気通信大学(電通大)の吉永研究室とTISは、「大容量コンテンツ配信を担う軽量分散協調キャッシュ技術」を共同開発したことを発表しました。
本技術を活用した広域ネットワークにおけるシミュレーション評価によると、現行の日本国内のインターネット通信量を最大で約85%削減可能との結果が出ているとのことです。これにより、円滑なコンテンツ配信や内部ネットワーク混雑の緩和が期待されます。
複数キャッシュサーバを組み合わせた新しいCDN技術の適用イメージ
本技術は、大容量データ配信の需要を受けて増大するインターネット通信量を削減し、高速なインターネット基盤を実現するための新しいコンテンツ配信ネットワークの制御技術として、複数キャッシュサーバを組み合わせて利用します。
「大容量コンテンツ配信を担う軽量分散協調キャッシュ技術」の仕組みイメージ
人気コンテンツをユーザに近いキャッシュサーバに配置することで、効率よく通信量を削減し、円滑なコンテンツ配信を実現します。さらに、キャッシュ配置計算の精度を限定することで、既存のキャッシュ制御方法では10時間以上の計算時間を要していた最適キャッシュ配置計算を10秒程度に短縮できるという成果が出ています。
日本の基幹ネットワークを想定した通信量シミュレーション結果
本技術を活用したシミュレーションでは、キャッシュサーバを配置しない場合と比較して約85%、従来技術と比較しても約60%の通信量の削減を可能とのこと。特に、分散協調しないキャッシュ制御を行う従来技術と比較すると、高コストな配信サーバ通信量が約88%、低コストな内部ネットワーク通信量も約57%の削減となっています。共同研究成果のキャッシュ技術は、外部ネットワークとの通信量に加えて、内部ネットワークの混雑も緩和するなど、両面での高い効果が期待できるとのことです。
本技術については、10月3日より幕張メッセにて開催する「CEATEC JAPAN 2017」において、本研究成果のデモ機の展示およびセミナーを予定しています。
なおTISは、クラウドが普及する中で「企業ネットワークとクラウド間の通信量削減」や「ネットワーク事業者での設備投資やランニングコスト増」などの課題に対し、本研究成果を活用することで、大容量データ配信普及などに貢献できるサービスの実現を目指すとしています。
(参考)
電気通信大学 吉永研究室とTISが「大容量コンテンツ配信を担う軽量分散協調キャッシュ技術」を共同で開発 / PR TIMES
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000313.000011650.html