2026年4月16日、テンセント(Tencent)はマルチモーダル3Dワールドモデル「HY-World 2.0」の技術レポートおよび一部コードをオープンソースで公開しました。テキスト・単眼画像・複数視点画像・動画など多様な入力から、探索・編集が可能な3Dワールドを生成・再構築するAIシステムです。
HY-World 2.0が既存のビデオ型ワールドモデルと大きく異なる点は、出力形式にあります。テンセント自身の「HY-World 1.5」を含む従来のビデオ生成型モデルは、生成物がピクセル動画にとどまり、再生が終われば消えてしまいます。
HY-World 2.0はメッシュ・3DGS(3Dガウシアン・スプラッティング:点群データをもとにシーンをリアルタイム描画する技術)・ポイントクラウドといった3Dアセットを直接出力します。Unity・Unreal Engine・Isaac Simといったゲームエンジンへの直接インポートに対応しており、物理演算に基づく衝突判定を備えたリアルタイム探索も実現しています。


システムの中核は、3Dワールド生成に特化した4段階のパイプラインです。
第1段階の「HY-Pano 2.0」では、テキストや画像から高精度な360度パノラマを生成します。従来モデルではカメラの内部パラメータ(焦点距離や視野角など)が必要でしたが、HY-Pano 2.0はそれらを必要とせず、データ駆動型のアプローチで入力画像と全天球投影の対応関係を学習します。未校正の画像からでも整合性の高いパノラマ生成が可能です。
第2段階の「WorldNav」では、生成したパノラマをもとにカメラの移動経路を計画します。シーンの3D形状と意味情報を解析し、障害物を回避しながら効率よく空間を探索できるルートを自動生成します。経路は「通常移動」「特定オブジェクトを周回」「未観測領域への接近」「遠端への到達」「空中視点」の5種類のモードで構成されます。
第3段階の「WorldStereo 2.0」では、計画された経路に沿って新規視点の画像群を生成します。従来の動画生成アプローチとは異なり、キーフレーム単位での生成を採用しています。冗長なフレームを排除しつつ、広範囲な視点カバレッジと高い画質を両立します。「グローバル幾何メモリ」と「空間ステレオメモリ」の2種類のメモリ機構を組み合わせ、複数の経路にまたがる映像の一貫性を保持します。
第4段階の「WorldMirror 2.0」では、生成されたキーフレーム群から3Dシーンを再構築します。複数視点画像や動画を入力として、深度マップ・法線マップ・カメラパラメータ・3Dポイントクラウド・3DGSアトリビュートを一度の推論で予測します。解像度を問わず安定した精度を発揮する設計が採用されており、従来モデルで課題だった高解像度時の性能劣化を解消しています。
Technical highlights from HY-World 2.0 👇
– 3D-first world modeling: a unified framework for world generation and reconstruction, built around spatial understanding in 3D.
– HY-Pano 2.0: scales panorama generation for high-fidelity 360° world initialization from single images —… https://t.co/ztAOEofVpy pic.twitter.com/VO6zXQLAUY
— Tencent HY (@TencentHunyuan) April 16, 2026
最終的にガウシアン・スプラッティングによる最適化を経て、探索可能な3Dワールドが完成します。パイプライン全体の処理時間はNVIDIA H20 GPUで約10分とされています。
複数のベンチマークでオープンソースモデル中の最高性能を達成したとされており、閉鎖的な商用モデル「Marble」と同等水準の結果も報告されています。
現時点ではWorldMirror 2.0の推論コードとモデルウェイトが公開済みです。パノラマ生成(HY-Pano 2.0)、軌道計画(WorldNav)、ワールド拡張(WorldStereo 2.0)を含む全生成パイプラインのコードは順次公開予定とされています。プロジェクトページからデモ体験の申請ができます。
HY-World 2.0 概要まとめ
| 公開日 | 2026年4月16日 |
| 開発元 | Tencent(テンセント) |
| 現在の公開物 | WorldMirror 2.0 推論コード・モデルウェイト、技術レポート |
| 今後の公開予定 | HY-Pano 2.0、WorldNav、WorldStereo 2.0 のコード・ウェイト |
| 対応入力 | テキスト、単眼画像、複数視点画像、動画 |
| 出力形式 | メッシュ、3DGS、ポイントクラウド |
| 対応エンジン | Unity、Unreal Engine、Isaac Sim |
| 処理時間 | 約10分(NVIDIA H20 GPU) |
| プロジェクトページ | https://3d.hunyuan.tencent.com/sceneTo3D |
| GitHub | https://github.com/Tencent-Hunyuan/HY-World-2.0 |
参考
HY-World 2.0 技術レポート
HY-World 2.0 GitHub

