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業界動向 2018.07.03

VRChatに続くか 英国発ソーシャルVRが月間1万ユーザー突破

VR空間で多人数のコミュニケーションが取れるソーシャルVR。様々なアプリが出ている中で、また一つ大きなコミュニティ形成を狙うサービスが登場しました。イギリス発の「Sinespace」です。

Oculus RiftやHTC Viveに対応

「Sinespace」は、まだソーシャルネットワークサービスの巨大市場、米国には大きなインパクトを与えていません。

Sinespaceの創設者の1人Adam Frisby氏は、このアプリを「開発者のためのバーチャル世界のプラットフォーム」だとしています。ユーザーはバーチャル空間で、ゲームやイベントの開催、街づくりなどを行うことができます。

現在Sinespaceの月間アクティブユーザー数は約1万人。PCブラウザを使うユーザーもおり、VRヘッドセットを使って利用しているユーザーは10%程度と言われています。Oculus RiftとHTC Viveがメインのデバイスです。

アプリは基本的に3人称の視点ですが、VRヘッドセットを使うと1人称の視点で体験できます。

ユーザー間のやり取りでマネタイズ可能

このアプリの特徴として、運営会社もユーザーもマネタイズを行っていることが挙げられます。Sinespaceの滞在時間は1回あたり平均2時間、ユーザーの月ごとの使用額は約17ドル(約1,900円)ということです。

Frisby氏自身は、バーチャル空間の先駆け「セカンドライフ」で2つのビジネスを起こし、多額の利益を上げる成功を収めた実績があります。同氏によれば、「(Sinespaceは)セカンドライフをベースにし、更に機能を追加している」ということです。

Sinespace内のコンテンツの大半は、ユーザー自身が制作します。制作したコンテンツは、UnrealやUnityといった他のプラットフォームでの利用も可能です。コンテンツから得られる収益は、7割がクリエーター、3割がSinespaceの取り分となります。

Sinespaceで服や乗り物、建物といったアイテムを購入できる点も、セカンドライフの仕組みとよく似ています。このグッズの売り上げで月に何百ドルも稼ぐクリエーターもおり、ユーザー数が拡大すればさらに金額は伸びると見られます。

またSinespace独自の特徴として、ウェブカメラを使ってユーザーの顔の動きをアバターで再現する技術も採用しています。残念ながらVRユーザーはこの機能は利用できませんが、将来的にはVRユーザーも含めて更にインターフェースの改善を図るとしています。

セカンドライフを越えるのか

Sinespaceを他のソーシャルVRと比べて特筆すべき点は、やはりそのマネタイズ方法にあると言えます。運営側が利益を上げるだけでなく、ユーザー間のやり取りによって個人が利益を上げる。これは、セカンドライフのやり方と同じです。

現在SinespaceをVRで体験するには、ハイエンドのPC向けヘッドセットが必要です。米メディアUpload VRによれば、今後はOculus Go、Gear VR、Daydream等への対応が予定されているとのこと。

かつてセカンドライフを開発した企業であるリンデン・ラボ社自体も、現在ソーシャルVR「Sansar」のベータ版を提供しています。また、セカンドライフの創設者であるフィリップ・ローズデール氏は自身で立ち上げたスタートアップで「High Fidelity」というソーシャルVRサービスを作りました。

ソーシャルVRでは、2017年末から盛り上がりを見せた「VRChat」が最も成長しています。Sinespaceが他のソーシャルVRをしのぐ存在となるのか、今後の拡大が注目されます。

(参考)The celebrity cafe


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