バーコードスキャン技術を手掛けるScandit社は、シリーズBで3,000万ドル(約33億円)の資金調達を行いました。技術開発や海外展開を進め、同社の「モバイルコンピュータビジョンプラットフォーム」の更なる拡大を図ります。
スキャン、コンピュータービジョン、ARの組み合わせ
Scanditは、2009年にマサチューセッツ工科大学やチューリッヒ工科大学、IBMリサーチの研究者らがスイスのチューリッヒで立ち上げた企業です。今ではサンフランシスコなど世界の合計5拠点にオフィスを置き、モバイルコンピュータビジョン、AR、機械学習などの技術を活用し、次世代のバーコードスキャン技術を開発しています。すでにルイ・ヴィトンやDHL、リーバイスなどのグローバル企業が同社のモバイルデータキャプチャプログラムを利用しています。
今回の資金調達は、複数のベンチャーキャピタルや投資機関から行われました。同社がこれまで調達した1,300万ドル(約14.3億円)以上の資金と合わせ、海外展開の推進へと活用していきます。同時に、スマートフォン等のカメラを用いた、モバイルコンピュータビジョンプラットフォームの更なる拡大も進む計画です。
さらに今回の資金調達により、同社は日々の企業活動へ、長期的な視野でIoTの導入を進めていきます。スマートフォンとそのカメラ機能を活用し、モバイルコンピュータビジョン、AR技術と組み合わせることで、物理的な世界とデジタルの世界の融合を図る方針です。
小売、製造、医療などの幅広い分野で活用可能
Scanditによれば、同社の技術は「深層学習、機械学習を従来のコンピュータビジョン技術と組み合わせ、企業向けに全く新しいコンピュータビジョンへのアプローチを提供する」もの。その技術が活用される業界は、小売、輸送ロジスティクス、製造、医療など様々な分野に及びます。
個々の企業は、Scanditのスキャン技術を用いたアプリケーションを、自社の重要なワークフローで活用可能です。例として、POSデータ管理、モバイルショッピング、セルフ精算、在庫管理、配達証明等が挙げられます。
例えば小売業では、店頭に並ぶ商品のバーコードをスマートフォンで読み取り、関連する情報をAR画像で商品に重ねて提示するといった活用方法があります。またロジスティクスでは、荷物のラベルをARグラスなどで読み取ると、倉庫内の保管場所を空間にARで示し、スムーズな業務を助けます。
このように、Scanditのモバイルコンピュータビジョンはデジタル技術の可能性を変え、信頼性が高く、安定したソリューションを企業へ提供しています。
業務の合理化・コスト削減を目指す
ScanditのCEO、Samuel Mueller氏は今回の資金調達について「モバイルコンピュータビジョンの可能性を理解するベンチャーキャピタルから支援を受けられることに、感激しています」と話しました。そして「資金調達により、成長スピードを速めると同時に、より大きなビジネスプランを描いていきます。企業におけるモバイルコンピュータビジョンとARの導入を進め、業務の合理化とコスト削減を目指します」と将来像を語りました。
(参考)VRFocus
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