セカンドライフを手がけたリンデン・ラボが開発しているソーシャルVRプラットフォーム『Sansar』は現在クローズドテスト中ですが、2017年上半期に全ての人がアクセスできるようになると発表しました。『Sensar』は仮想世界への新たなアプローチであり、クリエイターがコンテンツを自由に作成でき、コンテンツの売買などの収益化もしやすくする方法が用意されています。
Sansarの狙い、セカンドライフとの違い
リンデン・ラボと聞いて最初に思い浮かべるのは10年以上前に立ち上げたセカンドライフですが、同社はSansarは「セカンドライフ2」ではないとしています。Linden LabのCEOであるEbbe Altberg氏は以下のように述べています。
「Sansarはセカンドライフとは根本的に異なるアプローチをとっています。セカンドライフでは、1つの大規模な空間に存在する仮想世界で生活をするモデルでしたが、Sansarは1つの仮想世界を構築するわけではなく、プラットフォームを提供します。」
Sansarは、クリエイターが簡単に独自の仮想世界を作れるようにし、収益化できることを重要視しています。従って、Sansarで作られた仮想世界は、セカンドライフのように、ある場所から別の場所へ”移動”する代わりに、あるWebページから別のWebページに”ジャンプ”するような方式です。すなわち、仮想世界のApp Storeのように簡単にコンテンツを見つけ、体験する事ができるようになります。
Altberg氏は、セカンドライフのような1つの大きな仮想世界の中で自分のコンテンツを作ると、広大な世界の中で自分のコンテンツを上手く宣伝できず、集客がむずかしいという問題がありました。対してSansarは、個々のコンテンツを簡単に宣伝、販売できるプラットフォームを目指しています。
仮想世界でのマネタイズ
Linden Labは、Sansarで開発するクリエイターには、セカンドライフの”財産税”モデル(カスタマイズするために仮想土地を購入するモデル)とは異なる収益化のためのオプションを用意する予定です。
現在明らかになっているのは、特定の体験(コンテンツ)や、特定の場所に入るため入場料を設けることや、仮想オブジェクトにお金を払い、所持するといったコンテンツ売買を検討しています。
これら以外にもリンデン・ラボはマネタイズ方法について検討しており、実装をしていくとのことです。
Sansarレビュー
リンデン・ラボは、2015年からクローズドなテストをクリエイター向けに開始しており、現在は1,000人がアクセスし、約10,000人がアクセス権を求めて許可されるのを待っています。
このような中で、Road to VRの記者がリンデン・ラボに招待されてSansarを体験しました。
最初に、グラフィクスはかなり高品質でした。セカンドライフは設計上の制約によりグラフィクスの拡張ができず大きな批判を受けていましたが、Sansarはグラフィクスの拡張性が高いため今後の進化にも柔軟に対応できるとしています。
VRコントローラーとSansarの標準的なインターフェースを使うことで仮想空間のオブジェクトを操作できますが、まだレスポンスが悪く改善が必要だと感じています。
体験したのは、バーチャル巨大映画館で映画を鑑賞したり、実際のエジプトの墓の内部を写真測量して作成されたコンテンツの中を見て回ったり、広大な草原の中にある村を探索するコンテンツでした。このように、Sansarはコンテンツの制約を与えずに自由に作ることができることを強調していました。
クリエイター向けのアーリーアクセスはSansarのホームページからサインアップすることでSansarにアクセスできます。
ソーシャルVRアプリケーションは、元セカンドライフ創設者が開発している「High Fidelity」など各社が開発を進めており、続報に注目です。
(関連記事)
(参考)
‘Sansar’ Will Open to All in First Half of 2017 with a New Approach to Virtual Worlds – (英語)
http://www.roadtovr.com/sansar-release-date-preview-virtual-reality-liden-lab/
Sansar – (英語)
※Mogura VR は、Road to VRとパートナーシップを結んでいます。