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投資 2018.08.14

網膜投影ARグラスのQDレーザ、東大ファンドから約1億円の出資

半導体レーザーの開発・製造・販売を行う株式会社QDレーザは、東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)より約1億円の出資を受けました。今回の出資にあたりQDレーザは、「レーザー技術を更に向上させ、将来の社会や人類の発展に寄与したい」と語っています。

網膜投影ARグラスを製品化

QDレーザ社は、2006年に株式会社富士通研究所のスピンオフベンチャーとして設立されました。世界で初めて通信用の量子ドットレーザーの開発と量産に成功するとともに、生命科学用の緑・黄緑・橙色レーザーなどの製品を開発し、製造・販売しています。

今年8月には網膜走査型レーザアイウェアの一般向け受注を開始しています。このレーザーアイウェア「RETISSA Display」は、微弱なレーザーを人の目の網膜へ直接投影することで画像を認識させる技術を用いています。QDレーザ社が培ってきた光技術を基盤として、眼鏡型のデバイスに内臓できるまで小型化された、超微弱な出力のレーザプロジェクタを実現・製品化したものです。

このARグラスはフォーカスフリー(目の焦点調整が不要)で、屈折異常や角膜混濁、白内障の患者や弱視者などのQOL(Quality of Life)を大きく改善する製品として期待されています。目に映る風景の上にデジタル映像を直接上書きすることができるため、実風景と投影映像のピントずれが起こらないようになっており、ユーザーの「見る」行為を妨げることなく、視界にデジタル情報が融合するAR体験を実現しています。

東大関連ベンチャー育成の側面

今回投資を行った東大IPCのファンドは、東京大学関連ベンチャーの育成促進と、東京大学を取り巻くベンチャーキャピタルの質・量の充実、を中心に据えて運用を行なっています。東京大学の周辺に持続可能なイノベーション・エコシステムを構築し、世界のベンチャー創出拠点の一つとなることに寄与することを目的としています。

QDレーザの菅原充社長は東京大学生産技術研究所特任教授を務めたこともあり、同社の技術は、東京大学との長年にわたる共同研究の成果です。東大IPCは、QDレーザ社の高いレーザ技術、このレーザ技術が幅広い製品に応用可能である点、そして製品の社会的なインパクトの大きさなどを鑑みて、出資を決定しました。今後のQDレーザ社の事業推進について、東大IPCは積極的な支援を進めていきます。

出資にあたり菅原充社長は、「富士通研究所と東京大学との共同研究成果をコアにスピンアウトした当社は東大関連ベンチャーでもあり、レーザ製品市場が毎年拡大する中、日本が世界で勝てるレーザ技術を更に向上させ、『光で世界は進化する』ことを証明し、将来の社会や人類の発展に寄与したいと思います。」と抱負を語っています。

(参考)東京大学協創プラットフォーム開発株式会社プレスリリース


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