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開発 2026.05.20

Android XR搭載のスマートグラス「Project Aura」実機をGoogle I/O会場で体験

Googleの年次開発者会議「Google I/O 2026」の取材で、米・カリフォルニア州マウンテンビューに来ている。

発表の主軸は検索の改良やエージェンティックAIなどだが、本誌としては、やはりXR関連デバイスに注目せざるを得ない。

XREALはGoogleと共同で、GoogleのXR向けプラットフォームである「Android XR」を採用した製品である「Project Aura」を開発中だ。2026年中の発売を予定しており、開発者プログラムである「Android XR Developer Catalystプログラム」の受付を開始した。

Google I/O会場で、短時間だが「Project Aura」実機を体験し、XREALのシュー・チーCEOにインタビューすることができた。そのレポートをお伝えする。


XREALのシュー・チーCEO。手にしているのはProject Aura


Google I/OのAndroid関連ブースでProject Auraが体験できた

■ROGとのコラボにも満足。Googleとともに「Project Aura」を開発

――プロジェクトの現状や、昨日リリースされたROG(Republic of Gamers)とのコラボレーション製品について教えてください。

チー氏:私はGoogleとの仕事と同様に、ROGとの共同作業を非常に楽しんでいます。私たちは常に、そのカテゴリーのリーダーを選んで提携しています。私たちのグラスに関する専門知識と、彼らのゲーミング、プラットフォーム、AIにおける専門知識を融合させ、体験全体を磨き上げることができます。

例えば、私はゲーマーとして携帯型ゲーム機を使いますが、従来のグラスを接続するとタッチスクリーンが機能しなくなることがありました。しかし、多くのゲームではタッチスクリーンが必要です。私たちが協力することで、こうした問題を解決できます。この組み合わせにより、どこへ行っても本当に素晴らしい没入型のゲーミング体験を提供できるようになります。

――Googleとの取り組みについて、基調講演では発表がありませんでしたが、展示は行っていますね。

チー氏:Googleとの取り組みを初めて公の場で公開しました。また、GoogleとXREALで「Catalystプログラム」を立ち上げることも発表しています。

これは、このプラットフォームでコンテンツを構築したい潜在的な開発者の方々に、ヘッドセットを提供するプログラムです。最終的にはハードウェアだけでなく、コンテンツと一体となった総合的な体験こそが消費者を納得させると考えているからです。時間はかかるかもしれませんが、今年の後半に素晴らしいローンチができるよう、現在はその準備を整えている段階です。

――開発者向けステージから消費者向けステージに移行するまで、どのくらいの期間が必要だと考えていますか?

チー氏:多くの開発者はすでにデバイスを手にしており、昨年末から開発を始めています。私たちの目標は、製品を発売する際に新しいコンテンツが次々と出てくるような波を作ることです。製品の正式なローンチは2026年中になるでしょう。

――Catalystプログラムは日本の開発者も対象になりますか?

チー氏:もちろんです。この場を借りて日本の開発者の皆さんにお伝えしたいのですが、これは非常に有望で素晴らしいプラットフォームです。

このプログラムをアメリカだけでなく日本や他の国々でも展開できるよう、あらゆる努力をしています。すでにXRやQuestなどで開発経験があるなら、これが皆さんの次のプラットフォームになるはずです。

■実機を初公開&初体験、光学シースルー&軽量版のGalaxy XRのよう

ここでデバイスの話に触れておこう。

今回公開されたのは製品版に近く、Catalystプログラムで提供されるものだという。スペックの詳細や価格などは未公開だが、今回実機を体験することができた。

グラスの形状は従来のXREALのものに近い。しかし、左右に加え、カメラと赤外線センサーを組み合わせたものと思われる複合型センサーが中央についている。ポジショントラッキングに加え、ハンドリコグニションにも対応。担当者の話によれば、「タトゥーをした人の手でも問題なく認識する」のだとか。


実機をつけてみた筆者

写真は製品フルセットのもので、ケースも製品に付属するものだ。本体に加え、スマホに近いサイズの「Computing Puck」を使う。グラスとの間はケーブルで接続するスタイルだ。


ケースに入ったComputing Puckとグラス


Computing Puck。スマホのように見えるがディスプレイはなく、XRに特化しておりハイエンドスマホ並みの性能をもつ

以下、UIの画面がないためわかりにくい点をご了承いただきたい。

画面はかなり視界を自然に覆う。水平視野角(FoV)は約70度とされている。現状のXREAL製品(50度程度)に比べ、はっきりと広いのがわかる。とはいえ、一般的なVR機器(Meta QuestやApple Vision Pro)に比べると狭いため、左右で画面が断ち切られる印象はある。とはいえ、光学シースルー方式のMixed Realityとして使った場合、左右にはあまりUIが来ない。透明=外界の風景となるから、70度でも狭く感じない工夫がなされている。

OSはAndroid XRなので、Samsungの「Galaxy XR」に近いUIになっている。以下の画像はGalaxy XRのものだが、中央にアイコンが並ぶのは同じだ。Galaxy XRはビデオシースルー式だが、Project Auraは光学シースルー式であるという違いがある。


参考に、Galaxy XRのUI。画像はSamsungの解説ビデオより引用


2025年のGoogle I/Oで撮影した「Galaxy XR」。サイズ的にも機能的にも、Vision Pro対抗の色合いが強い

また、アプリの選択は、指先から出るポインターで指し示すようなイメージ。奥行きのある空間のアイコンを触る、という感触とは異なるが、慣れれば操作に問題はなさそうだ。 YouTubeの動画を見ることができたが、画質もかなりいい。解像度は多少低いように思えたが、Galaxy XRやApple Vision Proのようなハイエンド・空間コンピューティング機器をうまく低コスト化し、似た体験を実現しているものだ、という感触がある。

■エンタープライズ市場も視野に。光学系は自社工場の賜物

――ケーブルで演算を担当する機器と接続するスタイルです。ここで、なぜスマートフォンではなく、専用の「Computing Puck」を採用したのですか?

チー氏:グラス側の重量を減らす唯一の方法だからです。バッテリーや演算ユニットをすべてパック側に移すことで、グラス本体を圧倒的に軽くできます。

――将来的にはスマートフォンとの組み合わせも考えられますか?

チー氏:現在はこのパックに注力していますが、将来的にはスマートフォンがその役割を完全に果たせるようになっても驚きません。 幸いなことに、多くのスマートフォンはAndroidベースであり、今回の「Android XR」も同じプラットフォームから派生しています。私個人の見解であり、Googleの見解でない点にご留意いただきたいですが、私としては、いつかこの2つのプラットフォームが収束すると確信しています。

――コンシューマーだけでなく、B2Bやエンタープライズ市場もターゲットにしていますか?

もちろん。この製品は優れたエンタープライズ製品でもあります。GoogleはAndroid XRにデバイス管理機能など、企業向けの機能を多数追加しました。すでに法人顧客からも多くの関心が寄せられており、準備は整っています。

――現在のXR市場をどう見ていますか?

チー氏:もし2年前にAppleが「Vision Pro」ではなく、1500ドル程度のこのフォームファクタ(形状)の製品を発売していたら、すでに大成功を収めていたでしょう。

他のメーカーが大きなヘッドセットや日常使いのグラスの開発に忙殺される中で、私たちはその中間にある「軽量でありながら驚異的な高解像度体験を提供する」というカテゴリーを見出しました。私たちがこのカテゴリーの先駆者ですが、今後他社も追随してくるでしょう。

コンピューティングの歴史を振り返ると、大型コンピュータからPC、ノートPC、スマホへと、常に重いものから軽いものへと進化してきました。グラスへの進化は自然な流れですが、同時に最も構築が難しいものでもあります。一日中装着でき、かつ日常生活に大きな価値を提供できる製品を完成させるには、もう少し時間が必要かもしれません。

――製品ラインナップのコントロール(Aura、ROG、1Sなど)についてはどう考えていますか?

チー氏:非常に集中して取り組んでいます。私たちはハイエンドの「Aura」や「ROG」モデルから、「One Pro」「1S」、そしてエントリーレベルの製品まで、初めてラインナップを広げました。市場が成長しており、顧客によって「エントリーモデルが欲しい」「プレミアムな体験がしたい」といった優先順位が異なるため、誰もが自分に最適なものを見つけられるようにしています。

――日本市場の状況についてはどう感じていますか?

チー氏:日本市場は成長しており、多くの方がXREAL Air 2などを購入してくださっています。日本のユーザーの皆さんにも、ぜひAuraやROGを試していただきたいですし、将来的にはさらに手軽なエントリーモデルも提供したいと考えています。

――ハイエンドモデルである「Aura」のディスプレイの秘密を教えてください。他の製品よりかなりFoVが広いですね。快適でした。

チー氏:視野角(FoV)を気に入っていただけたようですね。私たちは自社工場を持つ唯一の企業であり、設計と製造を一体化できる強みがあります。エンジニアたちは常に境界を押し広げようとしており、その結果、Mixed Reality体験において完璧に調和する、世界最大級の視野角を実現しました。

今後数年で、この視野角はさらに大きくなっていくでしょう。

――価格帯についてはどうなりますか?

チー氏:現時点では公表できませんが、XREALとしては「すべての人のためのAR」を構築するため、より手頃な価格帯を目指しています。

現在はメモリ価格の高騰などの課題に直面していますが、Googleと協力して、最も効率的で魅力的な価格設定を模索しています。間違いなく、Apple Vision ProやGalaxy XRと比較して、はるかに手頃な価格になるでしょう。

――最後に。チップセットなどのスペックについて教えてください。グラスに搭載される「X1S」は従来と違うものですよね? Computing PuckにはQualcommのプロセッサーが搭載されていると理解していますが、その世代は……?

チー氏:Auraに搭載されている「X1S」の「S」はスピードを意味しており、従来のX1よりも高速でパワフルなチップです。

グラス側にもパック側にも非常に強力なチップを搭載しており、Googleの協力のもと、これまでで最も複雑かつ高性能なシステムを構築することができました。ただ、パックのチップ詳細については、近日中の正式発表をお待ちください。


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