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VR体験施設 2025.04.21

【大阪・関西万博】ここは要チェック! XR・イマーシブ体験のできる注目パビリオンを一挙紹介

4月13日に開幕した、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)

世界各国の文化や技術の展示が行われる一大イベントということもあり、会場のパビリオンで体験できるコンテンツは本当にさまざまだ。筆者は開幕直前のメディアデーに足を運んだのだが、1日で体験できる展示の数には限界があり、「あれもこれも気になるけど時間がない……!」と泣く泣く夢洲を後にすることになった。

とはいえ、入ることのできたパビリオンの展示はどれも心躍るものばかり。今回は実際に現地で体験できたパビリオンの中から、主にXR技術を用いた展示と、現実とは別の世界に没入してしまったかのような演出を見られるイマーシブ体験を紹介する。

リオレウスの登場シーンがド迫力!「モンスターハンターブリッジ」

『モンスターハンター』の世界に入り込んだかのような体験ができる、『モンスターハンター ブリッジ』。よくあるような「スマホのAR機能で作品世界に入ったかのような体験ができる」タイプのコンテンツなのかと思いきや、想像以上の臨場感に驚かされた。

場所は、大阪ヘルスケアパビリオンの裏手にある円筒形状のシアター「XD HALL」。床にはプロジェクターを、天井と壁面にはシースルーLEDを使った360度シアターとなっており、LEDの背面には多数のスピーカーを設置。会場設備だけでも手が込んでいるのに、そこに専用のARデバイスと床振動の演出を加えることで、さらに没入感を高めている。

この体験の特筆すべきポイントは、「音」だ。周囲から聞こえる環境音はもちろん、視界を飛び回るモンスターの羽音までもが、ちゃんとその位置から聞こえてくる。

視界には映っていないモンスターの音も同期しているらしく、左後方から羽音が聞こえたと思ったら、数秒後には視界の左からモンスターが目の前を横切っていくのが目に入り、思わずビクッとしてしまう場面もあった。サイズ感はまったく違うが、耳元で蚊の羽音が聞こえてビクッとする、あの反応に近い。

ド迫力だったのが、リオレウスの襲来シーンだ。

飛んできたリオレウスが着地した瞬間、轟音が鳴り響くと共に小石が飛び散り、本当に足元が揺れる。目の前のリオレウスの大きさと、地面を揺らす音、そして床の振動がまったく違和感なく連動していて、凄まじい迫力だった。ちなみにゲーム本編のように武器を持って戦うことはできないが、石を持って投げることができる。うまく当てれば怯ませることもでき、来場者みんなで石を投げるのはなかなかに楽しい体験だった。

ARデバイスに関しては、この体験のために新たに開発された専用のヘッドセットを使う。公式サイトの説明によれば、対角105度の広い視野各を特徴としているそうだ(その他の詳細は未発表)。

完全に視界を覆うタイプのものではないので、視線を下に向けると肉眼でも床が見える。が、シアターの全面に映像が投影されているため、没入感はあまり削がれない。むしろ頭部の圧迫感が少ないため、この手のデバイスに慣れていない人でも違和感なく装着でき、世界観に入り込みやすいように感じた。眼鏡をかけている人でもそのまま装着可能だ。

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2050年の自分と会える!? 大阪ヘルスケアパビリオン「リボーン体験ルート」

東ゲートからほど近い場所にある、大阪ヘルスケアパビリオン。このパビリオン内をぐるっと巡りながらさまざまな体験ができるのが、「リボーン体験ルート」だ。

このルートを体験するには、専用アプリが欠かせない。会場内では通信が不安定な可能性もあるので、事前にインストールして情報を入力しておこう。パビリオンの入り口でアプリのQRコードを読み込むとリストバンドが発行されるので、それを手首に巻いたら、“生まれ変わる”体験のスタートだ。

ルートの道中にはさまざまな企業がブースを出展していて、リストバンドをかざすことで「健康」にまつわるいろいろな体験ができる。体験したブースの情報はアプリ上に自動で記録されるため、あとで振り返ることも可能だ。道中では、収集した情報を元に作られた25年後の「ミライのじぶん」のアバターと出会う体験も待っている。

リストバンドを発行して最初に体験するのが、この「カラダ測定ポッド」だ。プリクラのような個室に入って、髪・肌・視覚・脳・歯・筋骨格・心血管の全7項目の健康データを測定する。

音声案内に従いながらあれこれ計測するのだが、「正解だと思う画像に視線を向けてください」といった指示もあり、アイトラッキングなどの技術が使われていることがわかる。ちなみに、カラダ測定ポッドは大阪府内のいくつかの駅にも設置されているそうなので、万博に行く予定がない人もお出かけついでに体験してみてはいかがだろうか(参考ページ)。

(測定結果は即座にアプリ上に反映される。表示されているアバターは、カラダ測定ポッドのでの計測結果を元にした「2050年のミライのじぶん」の姿だ)



カラダ測定ポッドでの計測を終えて「ミライのじぶん」と出会う体験をしたら、企業ブースが立ち並ぶゾーンへと足を踏み入れる。パビリオン全体を通して「遊びながら学べるテーマパーク(エンタメ施設)」という雰囲気があり、ブースの数も想像以上に多かった。

各ブースでの体験は長くても10分程度だが、すべてをまわろうとすると、おそらく全体で数時間はかかるはず。とはいえ、体験が必須なのはカラダ測定ポッドだけなので、時間に余裕がなければそれ以外のブースはスルーしても問題はない。他のパビリオンの予約時間も考慮して、気になるブースをあらかじめチェックしておくのがおすすめだ。

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Perfumeのライブを「空間」ごと再現! NTTパビリオン「PARALLEL TRAVEL」

Perfumeのファンや音楽ライブが好きな人におすすめしたいのが、NTTパビリオンだ。

「PARALLEL TRAVEL」と題したツアー形式の体験ができ、一度に参加できるのは最大70名。約20分という短い時間ながら、次世代情報通信基盤「IOWN」による空間伝送技術を活用した、離れた場所と空間そのものをつないだエンターテイメント体験を味わえる。

3つのエリアでそれぞれまったく異なる体験をできるNTTパビリオンだが、見どころは、2つ目のエリアで見ることのできるPerfumeのパフォーマンス映像だ。上映されるのは事前に収録したライブ映像なのだが、その臨場感が凄まじい。

リアルタイムで行われているわけではなく、ライブ会場にいるわけでもないのに、「目の前でPerfumeが歌って踊っている」と錯覚するほどのライブ体験ができる。その手の没入体験はVRが得意とする分野なのだが、このパビリオンではヘッドセットのたぐいは一切使わず、3Dメガネによって臨場感のあるライブ体験を実現している点もおもしろい。

この体験がどのようにすごいのかは下記記事で詳しく紹介しているので、気になる人はチェックしてみてほしい。

【関連リンク】

河森正治×菅野よう子のタッグがおくる没入体験!シグネチャーパビリオン「いのちめぐる冒険」

『マクロス』シリーズや『アクエリオン』シリーズでおなじみのアニメーション監督・河森正治さんがプロデュースする、シグネチャーパビリオン「いのちめぐる冒険」

これから万博に行く人に「とにかくこれだけは見てほしい!」と1つだけ勧めるとしたら、個人的にはこのパビリオンの「超時空シアター」を推したい。これまでにもいろいろなVR映像を鑑賞してきたが、個人的には、その中でもトップクラスの体験だったように思う。

「超時空シアター『499秒 わたしの合体』」と題したこの映像は、最大30人が同時に楽しめるイマーシブ展示だ。

VRに慣れていても圧倒されるほどの映像演出と、立体音響によって奥行きと臨場感が高められた菅野よう子サウンドが“合体”し、壮大なスケールでいのちの営みと食物連鎖が描かれる。ヘッドセットを装着し、リアルとバーチャルを行き来しながら展開する映像と音楽、中島愛さんの歌声に魅了され、鑑賞後はしばらく放心状態になるほどだった。

また、家族連れで万博に行く人には、同パビリオンの「ANIMA!」もおすすめだ。

鬱蒼とした森林かどこかを想起させる環境音が聞こえる暗闇の中、次々にいろいろな音が響き出し、最後はミュージカルが繰り広げられる。空間を丸ごと使った映像体験だ。

演出面では床ハプティクスが効果的に活用されており、足元から伝わる振動によって、大自然と生物の気配を感じられる。何かが足元を走り去ったような振動を感じたり、鳴き声やカサカサ音が聞こえたりしたかと思えば、来場者みんなで一斉にジャンプして水しぶきを起こす場面もあり、全身を使って楽しめる体験だ。野性味あふれる謎生物・アニマもかわいい。

ANIMA! シグネチャーパビリオン 河森正治プロデュース・「いのちめぐる冒険」展示コンテンツ – YouTubeより

体験中に流れる打楽器主体の音楽も、大人も子供も体を動かしたくなるような躍動感があり、年齢を問わず楽しめる展示だと感じた。ただ、全編を通して薄暗い空間での体験となるため、その雰囲気や、アニマの仮面のようなデザインを怖がる子も中にはいるかもしれない。幼いお子さんを連れて行く場合はご注意ください。

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親子で楽しめるXR体験!ガスパビリオン「おばけワンダーランド」

親子で楽しめる体験としては、日本ガス協会のガスパビリオンもおすすめしたい。

「おばけワンダーランド」の題したこのパビリオンでは、メインキャラクターのおばけ「ミッチー(CV.下野紘)」の案内で、XR体験と展示を楽しめる。テーマパークのアトラクション、あるいは博物館のゲーム体験をイメージしてもらえばわかりやすいかもしれない。

パビリオンのメインコンテンツは、最大42人が同時に「バケルゴーグル(Meta Quest 3)」を装着しておばけに変身する、XR体験だ。入り口では丁寧な解説ムービーもあるので、初めてヘッドセットを被る人も安心してほしい。

また、ヘッドセットを装着できない7歳未満のお子さん向けに、AR体験ができる「バケルフレーム」が用意されているのも嬉しい配慮だ。これは両手で持ってガラスを覗くタイプのスマートデバイスで、小さなお子さんでも簡単に使える。

世界観と装着方法を説明するムービーを見たら、メインの体験エリアへと移動する。

「みんなもおばけになろう!」とミッチーに促されてヘッドセットを装着し、周囲を見回すと……なんと、周りの人がみんな「おばけ」の姿になっているではないか! 白いシーツを頭から被ったような可愛らしいおばけのビジュアルで来場者が表示されており、一人ひとりの動きもわかるので、友達や家族と来ればお互いの姿を見ておもしろがれるはずだ。


【EXPO2025】「ガスパビリオン おばけワンダーランド」予告編② – YouTubeより

準備ができたら、いよいよおばけワンダーランドへ。たくさんのおばけのキャラクターたちが見えるようになり、周囲に浮かんでいるアイテムに手を向けると、吸い寄せて自分のものにできる。他の人が集めているものも同期されているため、誰が何をたくさん集めているのかも丸わかりでおもしろかった。

後半は謎のおばけが登場し、ちょっとしたアクションシーンが繰り広げられる。「みんなで光線を発射!」「とどめの一言を叫ぼう!」といった盛り上がること間違いなしの演出もあるので、大人もぜひ童心に帰って楽しんでほしい。

「大人数で同時に味わうXR体験」の魅力とおもしろさが伝わるエンタメ体験だった、というのが素直な感想なのだが、同時に、演出を見ていて気になった点もある。というのも体験中、現実の空間に浮かぶアイテムを集めていたはずが、途中でいつの間にか、視界に映る空間が丸ごとバーチャルに置き換わっていたのだ。

みんなでおばけになり、ミッチーが画面から飛び出し、手を向けて欲しいものを集めるところまでは、現実世界の屋内の空間に重ねる形でキャラクターたちを描写していたはず。ところが、筆者の記憶違いでなければ、それがいつの間にか「現実の空間を3DCGで模したVR空間」になっていたように思う。ヘッドセットが置かれていた目の前の台や、屋内の構造、照明の位置などもそのまま3Dモデルで再現されていたため、すぐには気づけなかった。

そのような驚きもありつつ、壁が壊れたり、足元が崩れたりと、VRの定番演出も盛り込まれているので、初めての人はきっと刺激的な体験ができるはずだ。カーボンニュートラルについて学べる展示エリアや、おばけキャラクターたちのグッズショップもあるので、体験後はそちらも見て触って楽しんでほしい。

【関連リンク】

“はたらくモビルスーツ”の平和な世界から、ガンダムvsジオングの手に汗握る戦闘アクションへ!「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」

SNSでは実物大ガンダム像が話題だが、建物の中での体験も必見の、GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION。ファンなら「おいおいおいおい!!」と声に出したくなるような演出が詰め込まれた(もちろん良い意味で)、そして「モビルスーツが平和活用されている世界」に浸れる体験が待っている。


パビリオンに入ると、お供をしてくれる2体のハロによる世界観の説明が始まり、軌道エレベーターに搭乗して、宇宙ステーション・スタージャブローへと向かう。映像上だけで演出が展開するのではなく、実際に自分の足で移動するウォークスルー型のアトラクションだ。

前半部分で描かれるのは、いうなれば「はたらくモビルスーツ」の平和な世界。勤務中の2体のザクが一緒に軌道エレベーターに乗り、そのパイロットとハロとの会話を聞きながら宇宙へと向かうシークエンスなどがある。そこはかとなく「建設現場の密着ドキュメンタリー」のような雰囲気もあり、ガンダム本編とはまた異なるワクワク感があった。



大阪・関西万博 ガンダムパビリオン 新作映像『GUNDAM: Next Universal Century』Promotion Video – YouTubeより

到着した宇宙ステーションの外に見えるのは、宇宙空間をさまざまなモビルスーツが行き交い、働いている光景だ。想像以上にたくさんの種類のモビルスーツが登場し、しかもそれぞれが自分の仕事をこなすべく動き回っているので、正直、目が足りない。天井部分も含め、周囲に映る光景をキョロキョロと見回すだけでも楽しめる。

(「こんな至近距離でザクを見られるんだ……!」と軽く感動。機体表面の細かな傷など、ディテールもすごい。本編だと不気味にも感じられたモノアイだが、パイロットの声が明るく友好的なため、次第にかわいく見えてくる)

(そしてこちらは、一般通過ホワイトベース)

そんな平和な世界を堪能できた前半から一転、後半のアクションパートでは、手に汗握る展開が待っている。

まず、ジオングの迫力がすごい。サイズ感は言わずもがな、全方位攻撃の威力と、それによって伝わる音と振動が凄まじい。ただ映像を見るだけではない、自分の足で歩くウォークスルー型の体験ゆえの臨場感を味わえる。さっきまで働いていたモビルスーツたちが視界の左右から現れ、一丸となってジオングに飛びかかる光景は、見ていて胸が熱くなった。


その流れから、ガンダムが登場するシーンがアツすぎた!

周囲のモニターをフル活用して繰り広げられる、ガンダムとジオングの戦闘シーン。その縦横無尽に動き回る白熱の戦闘シーンは、見ていて笑えてくるほどに興奮させられた。

もちろん、見ているのは平面上の映像ではあるのだが、アクションには立体感を感じられた。奥のほうでビームライフルを撃って牽制するような動きがあったかと思えば、超至近距離での格闘が始まり、宇宙ステーションの窓ガラスに機体が叩きつけられてヒビが入るシーンもあった。


ネタバレになるので詳しくは書かないが、エンディングにも不思議な感動があった。ストーリーに感動させられたというよりは、この体験で描かれた世界観と、メッセージ性に感銘を受けた格好だ。筆者の場合、たまたま1stガンダムの劇場版3部作を初めて見た直後だったからかもしれない。「こんな体験できちゃっていいんですか!?」と興奮しきりだった。

しかも、そうやって充実した気持ちで建物を出て目に入るのが、あの実物大ガンダム像の「背中」である。

パビリオンでの体験を経ると、ただ単に「万博会場にガンダム像を展示している」のではなく、「ガンダムがここにいる」ことが体験の演出にも組み込まれていることがわかる。ガンダム像を後ろから見られるのはパビリオンの体験者だけなので、正面から見て満足するのではなく、ぜひ体験も込みでガンダムの世界観を味わってみてほしい。

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©創通・サンライズ


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