いよいよ開催が迫る、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)。4月13日の開幕を前に、「大阪ヘルスケアパビリオン」に出展する森永乳業ブースの体験会が都内で開催されました。
森永乳業ブースのテーマは「ビフィズス菌で超人間」
森永乳業ブースのテーマは、「ビフィズス菌で超人間(スーパーヒューマン)」。同社の商品でもおなじみの「ビフィズス菌」の可能性を体験できるブースとなっています。
体験会で登壇した森永乳業の万博推進局長・湯谷太氏によると、森永乳業のブースは、最新技術を楽しめる「腸のゲームセンター」をイメージしているとの話。腸と健康にまつわる5つのコンテンツを用意しており、大人も子供も楽しめる空間となっているそうです。
そもそも同社が出展する「大阪ヘルスケアパビリオン」は、その名の通り「ヘルスケア」をテーマにしたパビリオン。健康データの測定や未来のヘルスケア、中小企業の技術展示などを中心としており、一見するとエンタメ色は薄いようにも見えます。
しかし湯谷氏によれば、森永乳業のブースは「他のブースとは一線を画した、振り切ったコンテンツが盛りだくさん」とのこと。「外から見ると異様なブースになると思います」とも述べ、企業としての技術展示だけにとどまらない、誰もが楽しめるブースになっていることを強調しました。
「声」や「脳波」も使うVRゲーム!?「VR腸内クエスト」とは
そんな森永乳業ブースの目玉コンテンツが、「VR腸内クエスト」。「手と声と脳波で戦う、VRシューティングゲーム」です。ちなみに、なぜ「脳波」を使うのかと言えば、脳と腸に密接な関係があることを示す「脳腸相関」に由来するとの説明がありました。
VR腸内クエストの企画制作を担当したのは、株式会社ワントゥーテン。登壇した同社の津村大樹氏によると、このゲームの制作にあたっては、超えるべきハードルがいくつもあったそうです。
- 他の臓器と比べて興味を持たれづらい「腸」に、どのようにフォーカスを当てるか
- ビフィズス菌の効果・効能を伝えるために、どのようなストーリーを作るか
- 「脳腸相関」をどのように伝えるか
- 万博会場にふさわしい「新しさ」をどのように表現するか
これらのハードルを超えたうえで、海外からの来場者も含む老若男女に楽しんでもらえるゲームを作らなければならない。そこで辿り着いたのが、「腸内に入って悪玉菌と戦うVRシューティングゲーム」というコンセプトだったそうです。
また、制作過程におけるポイントの1つとして、「悪玉菌によってバランスの崩れた腸内環境を、ゲーム上でいかにして作るか」という観点を紹介。というのも、ただ単に腸内を再現しただけでは、「ゲーム画面」としては単調なビジュアルになってしまうからです。
そこで考えたのが、「バランスの崩れた腸内」=「世紀末のように荒廃した世界」という解釈。後ほど実際にプレイしてみたところ、消化しきれないジャンクフードが岩になって乱立していたり、多種多彩な悪玉菌キャラクターが次々に登場したりと、視覚的にも変化のある楽しい空間に仕上がっていました。
続いて登壇したVIE株式会社の今村泰彦氏からは、このゲームならではの要素である「脳波」について紹介。
同社はこのゲームに2つの技術提供をしており、その1つが、耳に入れるだけで脳波を測ることのできる、有線接続型の脳波イヤホン。このデバイスを用いることで脳波をリアルタイムで解析し、ゲーム上にプレイヤーの脳波が反映されるようになっているそうです。
もう1つが、刺激音で脳をコントロールするニューロミュージック。脳波には、リラックスしている時に発生するアルファ波、認知能力が高まった時に発生するガンマ波などがあり、それらを増やすための周波数をゲーム内の音楽に入れているとの話でした。
声を出すのが楽しい!思わず夢中になった、世紀末腸内VRシューティング
https://www.youtube.com/watch?v=XUL2n3zvcGE
では、この「VR腸内クエスト」ではどのようなゲーム体験ができるのでしょうか。ここからは実際に遊んだ感想も交えつつ、ゲーム内容を簡単に紹介します。
VRヘッドセットを装着してまず目の前に入るのが、きれいなお花畑(腸内環境)。耳馴染みのあるクラシック曲「主よ、人の望みの喜びよ」が流れる美しい空間が広がっていますが、暴飲暴食やストレスのせいで“悪玉菌帝王”が誕生。善玉菌は悪玉菌に倒され、腸内環境が荒れ果てたことで、お花畑は薄暗い空間へと変貌を遂げてしまいます。
いかにも「ヒャッハー!」と言いそうなビジュアルの悪玉菌がそこかしこに現れますが、そこに登場したのは、腸の救世主・ビフィズス菌。彼(?)と共に悪玉菌に立ち向かい、悪玉菌帝王を打ち倒すべく、荒廃した世紀末腸内環境に繰り出していく――というのが、ゲームの大まかな流れになっています。
このゲームの操作方法は非常にシンプル。コントローラーは使わず、両手を動かして照準を合わせるだけで、自動で悪玉菌を攻撃してくれます。
Meta Quest 3のハンドトラッキング機能なら、手を握ったり開いたり、指を使ったりすることで、それなりに複雑な操作もできるはず。しかしそうはせず、操作方法を「手を動かす」だけに限定したことで、初めてVRを体験する人でも直感的に理解でき、楽しみやすいシステムになっていると感じました。
また、遊んでいて思わず夢中になってしまったのが、もう1つの攻撃手段である「声」の要素。「ビフィズス菌!」と発声するとボム(ビフィズス菌爆弾)が投下され、周囲の敵を巻き込んで一掃することができます。
この声を使った操作が、想像以上に爽快で楽しい! 「ボム」と言えば、シューティングゲームに不慣れな人は持て余しがちな印象もある要素ですが、「ビフィズス菌!」と言うだけで発射されるので、ためらうことなくガンガン使えます。しかも視界にいる敵を自動で追尾してくれるので、隙さえあれば「ビフィズス菌!」と声に出してボムを投下していました。
そしてもう一点、意外性のある要素としておもしろかったのが、腹部に巻いて装着した、振動ベルト。
「自分の腸内で戦いが繰り広げられてることをフィードバックさせるための演出」との説明でしたが、「腸内で戦ってる!」というよりは、どちらかと言うと「お腹で攻撃してる!」という感覚のほうが近い印象を受けました。コントローラーから手に、ヘッドセットから頭に伝わる振動とはまた少し異なる感覚があり、不思議な没入感があったように思います。
説明にもあった「脳波」については、手や声のように自分で操作できるものではありませんが、ゲーム終盤に脳波を使ってバリアを張る展開があります。また、最後の“脳波ビーム”による攻撃はVRならではの派手な演出となっていて、とても爽快感がありました。
(ゲームをクリアすると、スコアとランキングに加えて、「ビフィズス菌発生数」「脳波連動度」「称号」が表示されます。ぜひランキング上位を目指して遊んでみてください)
大人も子供も楽しめる、腸のゲームセンター
いったいどのような体験ができるのかと思っていたら、想像以上に夢中になって楽しんでしまった「VR腸内クエスト」。
実際に遊んでみたことで、説明にあった“振り切ったコンテンツ”という表現にも得心がいきました。たしかに、パビリオン内で「ビフィズス菌!」と叫んでいる人たちがいたら間違いなく目を引きますし、ひとたびVRヘッドセットを被れば、大人も子供も夢中になって遊べるはず。ゲームのプレイ時間も7分程度と短めで、VRヘッドセットも複数用意するとのお話でしたので、開催期間中は大勢の人が悪玉菌と戦うことになるのではないでしょうか。
本記事では「VR腸内クエスト」をメインに取り上げましたが、森永乳業のブースでは、他にも4つのコンテンツを用意しています。
「腸音波」「振れ!スーパーシニアへの道」「スーパー美肌ブロック崩し」と題した3つのゲームと、自身の腸内環境を検査できる「ワタシの腸内チェック」。お話にもあったとおり「ゲームセンター」の様相を呈した、活気のあるブースとなりそうです。
(体験会には、1964年の東京オリンピックで女子バレーボールチームの一員として活躍した、松村好子さん(85歳)も登場。健康の秘訣として、20年食べ続けているヨーグルトにまつわるお話をしてくださいました)
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