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活用事例 2016.06.09

VR未参入のアップル、任天堂、アマゾン、マイクロソフト、各社の動向

VR元年と呼ばれる今年、世界中の名のある大企業が、VR事業への参入を次々と発表しています。しかし一方で、早期からのVR事業への参入が予想されていたにも関わらず、未だ参入を正式に発表していない企業もあります。そこで今回は、VR未参入のIT・ゲーム系大企業4社について、これまでの動向をまとめていきたいと思います。

VR未参入企業

アップル(Apple)

IPhoneやMacなどのデバイスを開発・販売している時価総額世界第一位のアップル(Apple)。VRもしくはARに関する開発を行っている噂が絶えません。

実際に去年の7月にメガネ型デバイス(HMD)の特許を申請していることが分かりました。
VR未参入企業

関連: Apple 、メガネ型ヘッドマウントディスプレイの特許を申請。ついにVRに参入か?

このHMDはメガネ型の筐体にiPhoneをそのまま装着する形となっており、頭の動きを感知するヘッドトラッキング機能やデバイスのタッチ機能も搭載しているとのこと。現時点でiPhone向けにVRを体験できる端末としてはGoogle Cardboardのような簡易デバイスのみがリリースされており、Appleの本デバイスがどのような形で製品化されるかは、特許申請の報道以降明らかになっていません。

しかし今年1月、アップル社内には専門家により構成されたVR/ARチームが存在しており、プロトタイプを制作していると英フィナンシャル・タイムズ紙が報じました。また、アップルのティム・クックCEOもVRに関する質問に対し、「ニッチではない、VRは本当にクールで面白いアプリケーションがある」と応えたことから、アップルがVRへの積極的な取り組みを継続していることが明らかになりました。

関連:
アップルに新たに3Dインターフェース、VR/AR分野の専門家が合流

アップル、社内にVR/ARチームが存在し、プロトタイプを製作中か

そして6月13日より開催される、アップル社の年次開発者会議「WWDC 2016」にて、VR/AR関連の最新情報が公開されるのではと業界内外で高い注目を集めています。WWDC 2016は日本時間6月14日午前2時からスタート、その様子はライブストリーミングされます。

アマゾン(Amazon)

独自の動画配信サービスを展開するAmazon社ですが、今年3月に、VRコンテンツの配信を行うプラットフォームの開発を行っていることが、人材募集サービスglassdoorに掲載された同社の求人情報より明らかになりました。広告ではAmazonビデオにてVRに携わるソフトウェア・ディベロプメント・マネージャーを募集していました。

VR未参入企業

関連: Amazon、AmazonビデオでVRコンテンツを配信するプラットフォームを開発していることが明らかに

同広告の中でAmazonは、「VRチームは没入感の高い物語を楽しむためのプラットフォームを模索し、生み出すチームです。これは、VR体験の再生環境も含むプラットフォームになるでしょう。」のように記しており、VRコンテンツそのものの配信に焦点を当てていることが伺えます。

既にYouTubeやWEVRが360度動画を配信するプラットフォームを開発しており、Amazonが他社プラットフォームに対応するか、独自コンテンツを配信するプラットフォームになるかは今のところ不明です。また、今後同社が独自のVRハードウェアをリリースするか否かについても期待が集まります。

任天堂(Nintendo)

ゲーム業界を牽引してきた任天堂ですが、PSVRに取り組むソニー・インタラクティブ・エンターテイメントとは異なり、今のところVR事業への参入の動きを見せていません。同社は1995年に発売した3Dゲーム機「バーチャルボーイ」の事業が軌道に乗らず失敗に終わっており、そのような過去もあってかVRへの参入を敬遠している印象を受けます。

1995年に発売された同社の3Dゲーム機「バーチャルボーイ」
VR未参入企業

そんな中、同社は今年4月に、次世代ゲーム機「NX」の発売を2017年3月に予定していると公式Twitterにて明らかにしました。台湾のDigiTimes紙によると、「同機はVRに対応させるため、当初の発売予定時期であった2016年中盤から約半年後の2017年初頭に延期された」のように報じられています。

参考: Nintendo NX mass production postpones to early 2017(英語)
http://www.digitimes.com/news/a20160530PD201.html

ただし米国任天堂社長のReggie Fils-Aime氏は去年、海外ゲームメディアPolygonのインタビューの中で、「VRは楽しくなく社会的でない。ただの技術でしかない」のように述べておりVRへの参入には否定的でした。よって上述したVR対応のニュースの真偽の程は不明です。

参考: Nintendo’s Fils-Aime: Current state of VR isn’t fun(英語)
http://www.polygon.com/2015/6/18/8803127/nintendos-fils-aime-current-state-of-vr-isnt-fun

6月14日から開催されるE3では『ゼルダの伝説』の発表が中心になり、NX関連の発表は行われない見込みです(任天堂アメリカのE3特設サイト)。

マイクロソフト(Microsoft)

マイクロソフトと言えば同社の開発するMRヘッドセット「HoloLens」をはじめとするAR/MR方面の事業に注力していますが、VRに関しても様々な取り組みを行っています。その一端として去年6月、マイクロソフトはOculusとハードおよびソフトでパートナーシップを結んだと発表し、同社の提供するWindows10はOculus Riftにネイティブ対応することとなりました。

また、今年6月に開催されるE3 2016にてVR対応の新型Xbox Oneが発表されるとの噂が広まっています。これは先日、E3 2016公式サイトに掲載されている参加企業の情報ページにて、カテゴリ名に「Virtual Reality > Xbox One」が追加されていたことに起因しています。

VR未参入企業

参考:VR対応Xbox One新型本体の噂―E3公式サイトに気になる動き
http://www.gamespark.jp/article/2016/05/31/66186.html

こちらも現時点ではあくまで噂です。しかしWin10がOculus Riftにネイティブ対応したことからも、開発者がXbox One専用のVRゲームを作るための環境は十分整っていると言えるでしょう。

各社の今後の動向に注目が集まる

いずれの企業も現時点でVR事業に未参入となっていますが、VRへの取り組みの片鱗は少なからず垣間見えています。今後の動向に注目するにあたり、まずは直近の大きな発表会であるE3 2016に業界内外の多くの視線が注がれることは間違いないでしょう。

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(参考)
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http://www.digitimes.com/news/a20160530PD201.html

VR対応Xbox One新型本体の噂―E3公式サイトに気になる動き
http://www.gamespark.jp/article/2016/05/31/66186.html

Nintendo’s Fils-Aime: Current state of VR isn’t fun(英語)
http://www.polygon.com/2015/6/18/8803127/nintendos-fils-aime-current-state-of-vr-isnt-fun


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