各国の教育機関とパイロットプログラムを開始するなど、VRヘッドセットメーカーのOculusはVRを使った教育に力を入れています。米国では小児医療施設と連携し、一体型ヘッドセットOculus Goを活用したVRトレーニングが成果を挙げていると言います。
小児緊急医療のトレーニングにVR活用
米国のチルドレンズ・ホスピタル・ロサンゼルス(Children’s Hospital Los Angeles、CHLA)は、様々なハイリスクの緊急小児医療のシミュレーションに、VR技術を用いています。VRトレーニングで高いストレス環境を作り出し、医師らは極度のプレッシャーの下、救命のための判断をしていきます。
このトレーニングは、導入以降高い成果を挙げてきました。そこでOculusとCHLAは、プログラムを米国内の11の医療施設へ展開することを決定しました。
VRでトレーニングに参加しやすく
新たにVRトレーニングを導入する施設の1つは、「現在、小児蘇生トレーニングのような緊急対応は年に2~4回程度しか実施できていません。なぜなら、これ以上患者への対応時間を減らすことが出来ないためです」と説明しています。「しかしVRによって実際には難しい体験も可能になり、よりフレキシブルにトレーニングに参加することが可能になります」ということです。
一方Oculusのジェームズ・ヘアストン氏は、「VRに関する研究の多くは、まだ非常に初期の段階です。そのため、CHLAとの取組のようにポジティブな結果が出て、医療関係者からの注目が高まっていることはとても喜ばしいことです」と話しています。
特別な施設が不要なOculus Go
また、今回の取組で力を発揮しているのが一体型VRヘッドセットOculus Goです。多くの医療施設には、規模の大きいPC向けVRシステムを設置する環境がありません。Hairston氏によれば、「Oculus Goは持ち運びや使用が簡単なため、最先端のプログラム導入に役立っています」とのこと。Oculusは今後11の施設にOculus Goを寄付し、トレーニングをより行いやすくする計画です。
プロジェクトに携わる医師のJosh Sherman氏も、「大半の医療施設には、シミュレーションルームやセンターを置くような場所がありません」と説明しています。「Oculus Goを使えば、追加の設備を必要とせず、その場でトレーニングを行うことができます」
プログラムの他施設への展開に加え、CHLAは今後、全ての研修医に対してVRトレーニングを必須とすることを考えています。また小児医療の他にも、発生頻度が低くハイリスクのケースや、緊急医療の分野にトレーニングを拡大することも検討しています。
(参考)VRScout
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