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テック 2016.06.09

アマゾンの無料ゲームエンジン「Lumberyard」がVRサポート

アマゾンが無料で公開しているゲームエンジン「Lumberyard」のベータ版1.3が発表されました。ベータ版1.3はVRをサポートしており、数週間後にリリースされるとのこと。

LumberyardClimax Studioによる、Lumberyardを使用したデモ(GDC2016)

VRコンテンツに対応した「Lumberyard Beta 1.3」

Lumberyardとは今年の2月にアマゾンが公開した、3Dゲームの開発をクラウド上で行うことができるクロスプラットフォーム対応のゲームエンジンのこと。PCやPS4、Xbox Oneといった各コンソール機対応のゲームを開発できるものとして、GDC2016ではLumberyardを使用したデモも公開されました。

関連: アマゾン、AWSとTwitch統合のゲームエンジンLumberyardを無料公開。VRにも対応予定

今回発表されたLumberyard Beta 1.3は、VRをサポートするにあたりOculus RiftとHTC VIveのものを含むLumberyardの“Gem”を使用しています。Gemとはゲームプロジェクトを強化するためのコード及びアセットを含むパッケージのことであり、任意のVRデバイス向けの開発を行う際にテンプレートとして役立ちます。

Gemsシステムにより簡単化されたVRサポートの追加

現在のVRヘッドマウントディスプレイはHTC ViveのLight houseなどのようにそれぞれ独自のユニークな機能を備えていますが、時が経過するにつれ、あるデバイスのみに実装されていた人気のある機能が他のデバイスにも取り入れられ、段々と共有されていくことや新たなVRデバイスの登場があり得ます。アマゾンはこうした可能性を考慮し、各VRデバイス固有のGemを有効化することにより、後から任意のVRデバイスのサポートを簡単に追加できるようにしているとしています。

Lumberyard

LumberyardエンジンとGemsシステムのフローグラフ。“HMDManager”の内側に“IHMDDevice”と定義されたGemが存在し、この中に各ベンダー固有のSDK(ソフトウェア開発キット)を含めるだけで新たなVRデバイスのサポートを可能にする。

なおゲーミングパフォーマンスは各VRHMD向けのコードが実際に動作している時のみ影響を受けるため、複数のGem(VRデバイス)を有効化することによるパフォーマンスへの影響はゼロだとのこと。

VRコンテンツ開発の効率化を図る

開発者はエディターの中で自分が何を行っているかを常に把握する必要があります。しかしエディター内でVRの表示ができない場合、開発者はいちいちlevelデータをエクスポートしてランチャーに読み込み、VRを有効化してからHMDを装着し確認する必要があり、明らかに非効率的です。

Lumberyard Beta 1.3はフルVRプレビューをサポートしており、ボタン(画像赤枠部分)をクリックするだけでVRプレビューを使用することができます。

LumberyardVRプレビューはLumberyardエンジン同様Gemsシステムによって動作する

LumberyardのVRサポートは始まったばかりであり、今後もアマゾンは反復回数の削減、レンダリングパフォーマンスの改善およびVR向けの新たな機能の追加に向けた取り組みを続けていくとのことです。

VR開発に使われるゲームエンジンとしては既にUnityとUnreal Engine 4が既にVRサポートを積極的に行っている中、新たに登場したLumberyardがどのような動きを見せるのか、引き続き注目したいところです。

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(参考)
Build for Any VR Device with Lumberyard Beta 1.3(英語)

Amazon Lumberyard’s 1.3 Update is All About VR


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