PCと接続して体験するVRヘッドセットOculus RiftやHTC Viveではこれまでにない、まるでその世界にいるかのようなVR体験が可能です。スマートフォンで体験するVRと比べ、品質が高く、ハイエンドVRという括りになります。その無線化はまだ遠い先ではないかと思われていましたが、早くも複数のデバイスが登場しています。
クラウドコンピューティング企業Scalable Graphicsは、1ポンド(約450g)の新たなVR向けワイヤレスキット「KwikVR」を発表しました。Oculus RiftとHTC Viveに使用できるとしています。このキットは1月5日から開催されるCESで展示されます。
CESで注目を集めるハイエンドVRの「ワイヤレス化」
ラスベガスで開催されるCESでは、ハイエンドVRのワイヤレス化がトピックの1つになることは間違いないと考えられます。PCでハイエンドなVR体験を可能にするOculus RiftとHTC Viveはいずれも頭に装着したヘッドセットとPCを接続するケーブルが必要で、完全な実在感(VRにいる感覚)を剥ぎ、VR体験を阻害する要因となっています。既に、QuarkVR、Nitero、TPCast、IMIR等のスタートアップはハイエンドVRを無線化するデバイスを次々と発表し、2017年中の市場投入を目指しています。
軽量を謳うKwikVR
「KwikVR」の特徴はGPU処理をクラウドで行うことで通信装置の軽量化を実現していることにあります。また、既に発表されているHTC Vive向けのTACast等と異なり、Oculus RiftとHTC Viveの両方に対応しています。
https://www.youtube.com/watch?v=qDOTwm5RZqg
既に動画は公開されていますが、腰にベルトをまいてバッテリーをつけている模様。CESでは、新たなハードウェアを公開するとしています。
また、TPCastが既に一般販売の段階に差し掛かっているのに対して、KwikVRはまだ開発中のデバイスです。受信機はHDMIポートと2つのUSBポートを備えており、VRヘッドセットのケーブルをそこに差し込めば使用可能になります。
無線規格としては5GHzのWi-Fi環境(ac)を使用します。TPCastがWirelessHDと呼ばれる現時点では特殊な60GHz帯を使用するのとは対照的です。IMRの無線システムはKwikVRと同様に5GHzの周波数帯を使用します。KiwikVRのキットにはPC接続用のHDMIドングルに加え、Wi-Fiルーターが付属するだろうとのこと。
KwikVRのレイテンシー(遅延)は、Oculus RiftとHTC Viveのフルスペックである、2160×1200(1080×1200の有機ELパネル2枚)の解像度で90Hz(毎秒90回の描画)を達成するために、12ミリ秒とのこと。どの程度描画データを圧縮するかが各ワイヤレスデバイスの鍵となります。IIMRは95%の圧縮を実現しています。
KwikVRは、16100mAh(ミリアンペア)のバッテリーで動作し、4時間の連続駆動が可能です。
Mogura VRではCESで展示される無線化デバイスを実際に体験し、レポートをお届けする予定です。
(参考)
KwikVR is an Oculus & Vive Compatible Wireless VR Solution to Debut at CES 2017 By Paul James – Dec 31, 2016 14
※Mogura VR は、Road to VRとパートナーシップを結んでいます。