モバイル向けVR/ARヘッドマウントディスプレイを開発しているuSens社が、2000万ドル(約22億円)の資金調達しました。彼らはこの資金を、「モバイル向けAR/VRデバイスなどに搭載するポジショントラッキング」および、「高精度な3Dハンドトラッキング」のシステム開発に充てるとしています。現在はこれらの機能を搭載した「Impression Pi」というモバイル向けヘッドマウントディスプレイを開発中です。
Impression Piとは
Impression Piは前面に二つのカメラを持つモバイル向けHMD。Androidのスマートフォンに対応しています。Mogura VRでも過去にイベントでの体験レポートを出しています。(リンク)
特徴としてはまず、AR・VR双方の映像を見ることができる点が挙げられます。つまりユーザー側の操作で、AR映像(現実世界へCGなどを重ねたもの)を映すか、全てがCGのVR映像を映すか切り替えられるということです。なお、視野角は90度とのこと。
また、手に何も装着せずとも、全面カメラによるハンドトラッキングが可能となっています。60fpsで数mm単位の正確さとのこと。さらには特定のジェスチャーも認識し、ジェスチャーによるアプリの操作にも対応しています。
以上に加え、さらに5m程度の動きならポジショントラッキングも行うことができます。仕組みについては、外部カメラや赤外線による測定ではなく、「頭の相対的な位置を観測し、そこから実際の動きを素早く計算する」とのこと。
Gear VRなどの従来のモバイル向けVRHMDは、頭の向きの計測だけしかできず、ユーザーの位置を計測する機能はありません。またこれらのハンドトラッキングには、Leap Motionなどの外部デバイスも必要です。モバイルHMDでポジショントラッキングを行うことについては、現在GoogleやOculusも研究をしているところです。
Impression Piを使用している様子。貝の形をしたダイヤルを回すとARとVRが切り替わっています。また、ポジショントラッキングやハンドトラッキングをしている様子もわかります。
uSens社について
uSensは2013年に立ち上がったスタートアップ。中国とアメリカの両方にオフィスを構えています。現在はImpression Piのプロトタイプを制作中。今回の資金調達を受けて、2016年内のリリースを目指しています。Impression Piの公式サイトでは現在、プレオーダーのフォームが準備中となっています。今後の情報に注目したいところです。
(関連記事)
【CES2016】uSens, ARとVRを融合したモバイルVRヘッドセットImpression Piを展示
(参考)
uSens Raises $20 Million To Pursue Inside-Out Tracking Technology – UploadVR
http://uploadvr.com/usens-raises-20-million-launch-mobile-vr-tracking-solution/