自動車内でVRコンテンツを提供するスタートアップの独holorideは、組織再編と戦略の刷新を発表しました。
Holoride(ホロライド)は2019年、Audi社のスピンオフとして設立されたドイツ発のVRスタートアップです。車両の動きに同期したVRコンテンツを提供し、乗車体験を「移動するテーマパーク」へ変える技術を開発してきました。
高価格な専用VRキットの販売は伸び悩み、事業は苦戦。その結果、2024年5月に資金調達が土壇場で失敗に終わり、ドイツで破産手続きを申請しました。
経営危機を経て、Holoride社は組織再編による再建を図りました。旧Holoride GmbHの技術資産はシンガポールの新設持株会社Holoride Technologies Group Pte. Ltd.に移転し、本社機能も同地に移しました。開発チームはドイツ・ミュンヘン子会社へ集約され、リヒテンシュタインのHoloride AGもモビリティ向けWeb3サービス開発に注力します。
事業戦略も大きく見直し、同社は活用してきた技術を消費者向けのビジネスモデルから、自動車・エンタメ・ツーリズム等の企業へのライセンス提供に移行するB2Bモデルへ大転換します。これにより、自動車メーカーやコンテンツ企業はHolorideの技術を用いて独自の車内エンタメサービスを展開でき、Holorideは必要に応じシステム構築を支援するとしています。また、対応プラットフォームもVRゴーグル以外に拡大し、2025年初頭にスマートフォンやタブレット、AR/MRグラスでも利用できる統合ソフトを提供予定です。
本社機能を置くシンガポール拠点を足掛かりに、Holorideはアジア市場への展開を強化し、中国進出も計画しています。なお、既存パートナー企業との協業関係も新体制で継続される見通しです また、独自技術スタックを武器に車内エンターテインメント分野で早期にリーダー的地位を築けるとの自信を示しています。