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【詳説】技適の特例制度導入、その狙いを総務省に聞く

総務省は、第198回国会(常会)に「電波法の一部を改正する法律案」(電波法改正案)を提出しました。同法案には技術基準適合証明等(技適)を未取得の機器でも、一定の条件下で届出を行えば国内での試験利用が可能になる特例制度が含まれています。国会での審議を経て法案が成立した場合、最速で2020年春の運用開始となる見通しです。

本記事ではこの特例制度について、法改正を担当している総務省総合通信基盤局 電波部 電波政策課 課長補佐の山内匠氏に詳しく話を聞きました。

特例制度は届出制

技適は、日本国内の電波環境を守るために電波法で設けられている制度です。日本国内で無線機能を搭載した機器を使用する際は、原則として電波法に基づいたに申請を行い、この技適を取得する必要があります。例として、Wi-FiやBluetooth、LTEなどの様々な「無線を使用する」機器には技適を取得したことを示す技適マークが表示されています。


(技適マーク)

Wi-FiやBluetooth、LTEなどの場合はメーカーなどが「事前に検査を受けており、技術基準に適合している」ことを示す「技適マーク」を表示しています。検査には専門の知識が必要ですが、デバイス等を使う人はそうした知識を持たずともマークを確認するだけでOK、という仕組みです。同様の制度が各国で整備されており、アメリカの「FCCマーク」、ヨーロッパの「CEマーク」などが知られています。


(赤枠で囲われた技適マークと数字がセットになっている。詳細は総務省のホームページを参照)

近年はスマートフォンにはじまり、IoT関連のデバイスなど無線機能を搭載しているデバイスが多様化。日本未発売の機器を試験利用してイノベーションを創出したいというニーズも急速に高まってきていますが、これらの機器の中には日本の技適マークを取得していないものも急増しています。「試験利用の簡素化を求める声も多くなってきており、イノベーション促進のための制度整備が必要であると考えた」(山内氏)ことから今回の法改正の動きに繋がったとのこと。

総務省では制度検討を開始。電波法改正案をまとめ、2019年2月12日の閣議決定を経て、国会へ提出しました。

法改正を経て施行される制度の案は以下のようなものです。

電波法に定める技術基準に相当する技術基準(国際的な標準規格)を満たす等の一定の条件の下、技術基準適合証明等(技適)を取得しなくても、届出により、最長180日間、Wi-Fi等を用いて新サービスの実験等を行うことができるようにする。

この法案は第198回通常国会にて審議を経て成立した場合、制度運用のための省令等を整備し、公布後1年以内に運用開始となるとのこと。総務省では、制度運用の開始は2020年春頃になると見込んでいます。

現在の制度案を詳しく説明していきます。

条件は技適相当の基準クリア

条件として挙げられているのは、技適相当の技術基準を満たしていることです。Wi-Fiの場合はIEEE (Institute of Electrical and Electronics Engineers)の標準規格がこの技術基準に当たります。利用者は、マニュアルなどの記載とFCCマークなどを合わせて確認することで、技術基準への適合性を確認します。また、日本ですでに定められて利用されている周波数帯が対象となります。

また、用途は「新サービスの実験等」に限定されています。例としては「未発売のスマートフォンを使ったアプリのデバッグ」や「日本市場に展開するための市場性調査」、「そのデバイスで何ができるかを試す研究開発」などが挙げられます。一般利用や商用利用は認められないため注意が必要です。

こうした条件を設けることで、「技適を取得していなくても、短期間であれば電波環境に大きな影響は及ぼさないだろう」とみなす考えに基づき、特例制度として検討が進んでいます。

届出の方法

届出は法人、個人を問わず可能です。総務省に対して、以下の事項を届け出ることにより可能となります。

・氏名・住所等の連絡先
・実験等の目的
・無線設備の規格
・設置場所
・運用開始予定日
・相当基準適合の確認方法等

許認可ではなく届出となることで、役所の審査を経ずに申告のみで使用が可能となります。ただし、不適切な目的や虚偽の申告の懸念があるため、事後的な監督ができる制度設計を予定しています。

再届出や延長は不可、ただし……

あくまでも短期間の実験等が特例の対象であるため、180日という特例期間終了後の延長や同じ用途での再届出はできません。ただし、別の実験の目的であれば、同じ端末でも再度届出ができます。届出も「手軽にオンラインで届出ができるシステムを導入したい」(山内氏)とのことで、柔軟な制度運用を目指していることがうかがえます。

携帯電話の場合は、事業者への届出で済む

届出の件数が多くなりそうな携帯電話に関係するLTEなどの規格の場合は、携帯電話事業者(キャリア)が必要な許可を取得していれば、キャリアとの契約により実験等が可能になるように制度案を設計しています。

VR/AR/MRの研究開発にも朗報

VRやARの分野でも技適は課題とされていました。多くのデバイスが発売の1年以上前から開発者版を提供しているものの、海外製であるがゆえに技適が未取得、したがって開発へ使用することができず、研究も進まない——という大きな“壁”が存在していたのです。

これまでに発売・発表された多くのVRやARに関する機器が無線機能を有していることからも、この特例制度は朗報と言えます。

筆者が技適を知ったのは、2015年のことでした。HTC VIVE(2016年発売)の開発者版が日本で初めて展示されるという機会に、展示を中止せざるを得なかったという出来事が苦い思い出として残っています。米国などでは1年以上前から開発者が利用していましたが、日本でその可能性が大きく注目を集めるようになったのは製品版の発売直前になってからでした。

VRやARはこれまでにない「体験」をもたらすものであり、他のデバイス以上に実機で体験することが重要になります。PCに構築した仮想環境で動作させることはできますが、実機で動かさなければその正確な評価はできません。また、コンテンツ等の開発期間に時間がかかるため、開発者版が提供されてから正式な製品発売までに1年以上の間隔が空くことも多くあります(例:Oculus Riftの製品版は、DK1が出た3年後に発売されている)。

現在も、技適の影響で国内利用ができなくなっているデバイスが多数存在します。そのひとつがMagic Leap社の「Magic Leap One」です。発売が米国のみとなっているデバイスではありますが、日本では技適が取得できていないため、国外で購入して持ち込んで使用することすらできません。「複合現実(MR/Mixed Reality)」という新たな体験を作り出すデバイスとして注目を集めていますが、国内ではデバイスの評価すらできない状態が続いています。


(Magic Leap One)

イノベーションを促進する制度を目指す

今回、技適の特例制度について説明を行ってくれた山内氏は、大学時代に情報学を専攻。公務員になった後も、趣味でプログラミングを続けている人物です。

「働き方改革で合理化する、と口で言っているだけでは始まらない」と語る山内氏。総務省では、申請すれば業務用PCにNode.jsやPythonの開発環境を入れることができることを活かし、法改正の際に必要となる「新旧の比較」を一瞬で表示するシステムを自身で開発、業務の効率化に活かしています。

また、業務外では使いやすい法令閲覧のユーザーインタフェースを趣味で開発・公開している山内氏(同氏のGitHub)。その出来は、国家公務員として省庁で勤めていた筆者も即座に「このシステムを標準装備したほうが良いですよ」と言ってしまったほど(筆者注:公式でe-Govにて提供されている法令検索システムは参照条文にリンクがなく、自力で法令を検索しなければならない)。

自身が開発者でもある山内氏は、今回の特例制度を「この特例制度を単なる規制緩和ではなく、イノベーション促進のツールとして活用したい。ソフトウェアやサービス分野の成長を技適制度が助ける形にしていきたい。良い制度にしていかなければいけない」と話します。ここでいう良い制度とは、変化の早い時代にあってイノベーションを促進する法制度であり、開発者が積極的に使える制度を指しています。許認可ではなく届出制となっている点や用途が変わることで同一の主体でも届出可能にしようとしている点には使いやすい制度にしていくという姿勢が現れています。

一方で、技適を取得していないデバイスが一般向けに出回ることは避けなければなりません。現代社会では様々な種類の電波が飛び交っており、周波数帯によっていわば“交通整理”が行われています。社会制度を円滑に回すために必要な重要な周波数帯もあります。「5GHz帯のすぐとなりにはETCで使われている周波数帯が存在する。航空レーダーや防災無線などの安心・安全な電波利用環境を守るために技適という制度がある、ということは知っていただいた上で、届出制度を使ってもらいたい」と山内氏。諸条件や最長180日という限定などにはその配慮が色濃く現れています。

「フレームワークは作ってしまうので、その使い方はプログラミングしないといけない」と語る山内氏。今回の特例制度が施行されれば、行政が技適未取得のデバイスを使うことを前提にした実証プロジェクトを始めることも可能になる、と期待を込めて語りました。

総務省は、国内の開発者にとって福音となる制度を設計できるのか——改正法案の行方と制度設計に引き続き注目したいところです。





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