フルトラッキングデバイスでは、全身の各パーツにセンサーを取り付けて、人間の動きとアバターの動きを同期させることができます。この技術を使えば、VTuberとして活動したり、VRChatなどのVRコンテンツで身体を動かしたりも可能です。
ただし、本格的なフルトラッキングデバイスを用意するとなると、映画撮影やゲーム制作で使われているような非常に高額なデバイスとなってしまい、一般ユーザーには手が届かないものとなってしまいます。しかし、近年では、フルトラッキングを安価に実現できるデバイスが続々と登場しており、個人でも比較的安価に購入できるようになりました。
目次
haritoraXワイヤレス
mocopi
VIVEトラッカー
Uni-motion
PICO Motion Tracker
その他便利デバイス
StretchSense Studio Glove
ContactSheet for Quest
Yubitora+
ContactGlove
VIVEフェイシャルトラッカー
haritoraXワイヤレス
「HaritoraXワイヤレス」は、腰や足の動きをモーション・トラッキングするデバイスです。内蔵バッテリーで20時間動作し、VRヘッドセットと組み合わせることで、身体の動きを、バーチャル空間上に反映させることができます。
足首、膝、腰、胸などの身体の各部位のトラッキングに対応しており、拡張キットと組み合わされば、両肘も追加可能です。センサーはコンパクトかつ軽量なので、取り付け時の不快感などはなく、長時間装着したままでも問題なし。座ったり立ち上がったりといった動作もアバターに精確に反映できます。ただし、長時間使用していると徐々にトラッキングがズレてくるので、その都度再調整は必要。VRChatなどのソーシャルVRに向いたフルトラッキングデバイスと言えます。
また、前機にあたる「HaritoraX」も安定的に利用できるデバイスで、定番アイテムとして親しまれています。バーチャルライフマガジンの調査により国内で最も使われているフルトラ・デバイスとなっているとのこと(2023年8月時点)。
対応プラットフォーム・ゲーム | VRChat、NeosVR、VirtualCast、Virtual Motion Capture、cluster、ChilloutVR ※上記以外の様々なアプリケーションでも動作可能。 |
価格 | HaritoraX ワイヤレス 39,999円(税込) ・肘トラッキング拡張セット 13,900円(税込) ・専用通信ドングル GX6 4,980円(税込) ・専用通信ドングル GX22,980円(税込)・HaritoraX 1.1B 33,900円(税込) ・肘トラッキング拡張セット 13,900円(税込) ・腰トラッキング拡張セット 5,900円(税込) |
購入先 | https://ja.shiftall.net/products/haritorax-w |
mocopi
「mocopi」は、6つのセンサーと専用スマートフォンアプリ(orPCアプリ)でモーションキャプチャーをするデバイスです。各センサーが直径3.2㎝・重さ8gの小型サイズであることが大きな特徴で、衣服の下につけることができ、屋外でも使用できます。
(VTuberおむさんによる上半身集中モードの検証)
センサーの基本的な装着場所は、頭と両手足、腰の6ヶ所。さらに、手のセンサーを足につければVR向きの下半身優先モードにでき、逆に足のセンサーを腕につければ上半身集中モードにもできます。
初期設定後の使い勝手が良い点、装着感が軽く手軽に活用できる点などから、VTuberが多く、ホロライブやにじさんじでも使用報告が上がるほどです。特に身体を大きく動かしてダンスを踊ったり、体操したりといった用途に向いています。逆に、ゆっくりとした地味な動きは反映しにくい特徴もあります。
初期は動画配信向けの印象が強いデバイスでしたが、SlimeVR(※)の利用によりSteamVRでのトラッキング精度が大幅に改善され、VRChatでも滑らかに利用できるようになりました。さらに、待望のPCアプリ版もリリース。アップデートにより活用できる幅が広がっています。
※SlimeVR:オープンソースのVRフルトラッキングシステム
対応プラットフォーム・ゲーム | ソーシャルVRサービス:VRChat、cluster、バーチャルキャスト ゲームエンジン:Unity、Unreal Engine、Unreal Editor For Fortnite モーション編集ソフトウェア:MotionBuilder、Rokoko Studio 配信支援ソフトウェア:バーチャルモーションキャプチャー、3tenePRO、Animaze アバターサービス:VRoid、BOOTH、Avaturn トラッキングソリューション:DiverX、StretchSense |
価格 | 44,000円(税込) |
購入先 | https://pur.store.sony.jp/mocopi/products/mocopi/QM-SS1_purchase/ |
VIVEトラッカー
「VIVEトラッカー」はHTCのトラッキング用デバイスです。室内にベースステーションを設置し、身体に装着することで、VR空間上でのフルトラッキングを実現します。接続場所が多いほど、細かな可動まで再現できるようになります(ベースステーション4機の場合、VRヘッドセットやコントローラーをあわせて最大11点トラッキング)。
また単純に身体につけるだけでなく、ガンコントローラーやラケットなどに取り付ければ、現実の物をVR空間に持ち込むことも可能。非常に精度が高く、本格的なVR環境の構築に向いたデバイスとなっており、企業の導入例も多いです。人気品であるため、入荷待ちが続く場合がよくあります。ただし、基本的にはデバイス1個につき19,000円と、他デバイスよりも高額。最大11点トラッキングを実現しようとすると、10万円以上となることに注意が必要です(VIVEトラッカー 3.0の場合、上記のベースステーションの設置も必須です)。VR体験をより本格的に充実させたいユーザー向けといえます。
新型デバイスとなる「VIVEトラッカー(Ultimate)」では、サイズが小型化しただけでなく「セルフトラッキング」を新たに搭載。2つの広視野角カメラを使用し、ベースステーションなしで、バーチャル空間内での自己位置を正確にトラッキングします。VRヘッドセット、コントローラーとあわせた最大トラッキング数は8点です。
対応プラットフォーム・ゲーム | 【VIVEトラッカー対応VIVEPORTアプリ一覧】 https://www.viveport.com/game.html?input_methods=138 |
価格 | ・VIVEトラッカー 3.0 19,000円(税込/1個) ・VIVEトラッカー(Ultimate) 31,000円(税込/1個) |
購入先 | https://www.vive.com/jp/accessory/tracker3/ https://www.vive.com/jp/accessory/vive-ultimate-tracker/ |
Uni-motion
「Uni-motion」は、完全ワイヤレスの全身フルトラッキングモーションシステムです。乾電池式で、最長24時間の連続稼働が可能となっています。設定のためにPCやスマートフォンは必要なく、同じルーターに接続したMeta Questシリーズがあれば、VRChatでの利用が可能です。
セットによってセンサー数が変わり、「Uni-motion Full」は、胸、腰、両太もも、両すねとVRヘッドセット、コントローラーで合計9点。「Uni-motion Full」は、胸、両太もも、両すねとVRヘッドセット、コントローラーで合計8点です。また、胸位置用のセンサーのみをセットにした「Uni-motion With」、追加センサーの販売も行われています。
VTuberの配信に向いた「上半身モード」も用意されており、頭、胸、上腕、前腕にセンサーを付けて行えます。アップデートでSlimeVRにも対応しています。
対応プラットフォーム・ゲーム | VR Chat、Cluster、Virtual Cast、Neos VR |
価格 | ・Uni-motion Core 33,980円(税込) ・Uni-motion Full 39,800円(税込) ・Uni-motion With 10,800円(税込) ・Uni-motion用 追加Uni-sensor 2個 12,800円(税込) ・Uni-motion用 追加Uni-sensor 1個 6,800円(税込) |
購入先 | https://uni-motion.com/ |
PICO Motion Tracker
「PICO Motion Tracker」は、PICO 4 Ultraと同時発表された、両足に装着する小型のモーショントラッカーです。センサーの重さは27g。足の付け根付近に装着することで、下半身の動きをバーチャル空間に反映できます。価格は11,800円と、トラッキングデバイスの中でも安価です。
頭、両手、両足の5点トラッキングですが、AIによるアルゴリズムにより、24ヶ所の骨格ポイントにわたる6DoFモーショントラッキングを体験できるとのこと。さらに、胴体トラッキング用に3つ目のトラッカーのペアリングもサポートしています。
装着からペアリングまでの設定が非常に簡単で、トラッカーを両脚につけて、ヘッドセット越しに数秒見つけるだけですぐに完了します。トラッキングの精度も良好で、VR空間で踊ったり座ったりと自由に動いても、アバターにしっかりと反映されています。なお、「PICO 4」「PICO 4 Ultra」でペアリングでき、他社のVRヘッドセットには対応していないので、PICOユーザー向けのデバイスと言えます。
カスタムオブジェクト機能にも対応しており、トラッカーを椅子、バットなどに取り付けることで、現実世界の物の動きをVR内に反映できます。
対応プラットフォーム・ゲーム | (ローンチ時点)VRChat、Les Mills Dance、Racket Club、Tempo Club、Foot Pool、Let’s Get Fit VR、All in One Sports (今後サポート)Blade & Sorcery: Nomad、Drunkn Bar Fightなど13以上のタイトル |
価格 | 11,800円(税込) |
購入先 | https://www.picoxr.com/jp/products/pico-motion-tracker |
その他便利デバイス
StretchSense Studio Glove
「StretchSense Studio Glove」は、16個のセンサーを搭載したモーションキャプチャー用グローブです。専用アプリに手の動きをリアルタイムに送信し、3Dアバターに反映させることができます。mocopiやTundra Tracker、VIVEトラッカーとも併用可能です。今後はVRChatをはじめとしたSteamVRアプリ向けのアップデートも予定しているとのこと。
対応プラットフォーム・ゲーム | VirtualMotionCapture、Warudo、Unity、Unreal Engineへモーションデータをストリーミング可能 |
価格 | 96,800円(税込) |
購入先 | IntoFree:https://market.intofree.world/products/stretchsense-studio-glove Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/B0D7Z9CXCF |
ContactSheet for Quest
「ContactSheet for Quest」は、Meta Questシリーズ向けのセンサーデバイスです。Meta Questのコントローラーに貼り付けるだけで動作し、VALVE INDEXに近いハンドトラッキングを実現します。VRChatなどのソーシャルVR上での表現力や没入感が向上する他、スタンドアロン版VRChatにも対応し、PCなしでの動作もサポートします。
対応プラットフォーム・ゲーム | VRChat、Resonite、Cluster、VirtualMotionCapture、その他SteamVRアプリケーション(Indexコントローラエミュレーション、またはOSC利用) ※VirtualDesktop・AirLink・QuestLink・SteamLink使用時 ※全てのソフトウェアでの動作を保証するものではありません。 |
価格 | 18,500円(税込) |
購入先 | https://store.diver-x.jp/products/contactsheet |
Yubitora+
「Yubitora+」は、Meta Questシリーズ向けのコントローラー拡張型のフィンガートラッキングデバイスです。コントローラーに専用のストラップを取り付けてデバイスに差し込むだけで装着が可能。今年の10月上旬に発送予定です。
対応プラットフォーム・ゲーム | VRChat、Resonite、Cluster、その他SteamVR上の各種アプリ |
価格 | 25,500円(税込) |
購入先 | https://xintechs-koubou.com/pages/yubitora |
ContactGlove
「ContactGlove」は、触覚フィードバック機能を搭載したグローブ型VRコントローラーです。グリップ型のコントローラーを握らなくても指の動きで入力を行うことができ、VR内でも指の動きが反映されています。SteamVRと連携させるには、グローブにSteamVR対応のモーショントラッカーを取り付ける必要があります。
対応プラットフォーム・ゲーム | VRChat、Neos VR、その他SteamVRアプリケーション(ハンドトラッキングを使用するためには、コンテンツ側がSkeletal Inputに対応している必要があるとのこと。VRChatはSkeletal Inputに対応していないものの、Diver-Xが開発したソフトウェアを使用することで、ハンドトラッキングの有効化が可能) |
価格 | 66,000円(税込) |
購入先 | https://store.diver-x.jp/products/contactglove-rev-2 |
VIVEフェイシャルトラッカー
VIVEフェイシャルトラッカーは、カメラとセンサーで唇や頬など顔の変化をトラッキングするデバイスです。VRChatなどで3Dアバターに表情を加えることができます。
VIVE製品向けのデバイスとなっており、XRシリーズ用のフルフェイストラッカーは、アイトラッキングとフェイストラッキングに両対応。VIVE Focus シリーズ用は、2024年10月発売の新型VR/MRヘッドセット「VIVE Focus Vision」にも対応します。
対応プラットフォーム・ゲーム | VRChat ※VRChatアバターがVIVE フェイシャルトラッカー (XRシリーズ)で動作するには、VRCFaceTrackingをサポートする必要あり。 |
価格 | ・VIVEフルフェイストラッカー(XRシリーズ) 31,000円(税込) ・VIVE フェイシャル トラッカー(VIVE Focus シリーズ) 14,900円(税込) |
購入先 | https://www.vive.com/jp/accessory/vive-full-face-tracker/ https://business.vive.com/jp/product/vive-focus-3-facial-tracker/ |