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活用事例 2025.04.10

「フォートナイト」ビジネス活用事例まとめ 海外の大規模事例から、国内の新規取り組みまで

大人数のマルチプレイヤー対戦で知られる人気TPS「フォートナイト(Fortnite)」。近年は、ワールド(マップ)を作成できる「クリエイティブ」モードが盛況となっており、メタバース的な活用が広がっています。

主にマップを作成しているのは有志ユーザーですが、企業が進出(マップ製作)して、自社製品や関連プロジェクトのプロモーションを行う事例も数多くあります。

本記事では、これまでに国内外の企業が行った「フォートナイト」参入プロジェクトを20件ピックアップ。それぞれの事例の詳細や、各企業の“参加理由”を紹介します。

目次

そもそも「フォートナイト」とは? ビジネスへの活用法は? 海外での活用事例
ナイキ
マクドナルド(海外)
ラルフ ローレン
音楽フェスティバル「コーチェラ」
コカ・コーラ
ドリトス
ティンバーランド
国内での活用事例
東京メトロ
凸版印刷
Sony×マーベル(スパイダーマン)
あいおいニッセイ同和損保
本田技研工業(ホンダ)
トムス
朝日広告社
Cre8tFun(京都市)
ホテル プラザオーサカ
サードウェーブ(ドスパラ)
松井証券
ポケットカード
「フォートナイト」ビジネス活用のポイントは?
Moguraはメタバース制作〜運用まで伴走します

そもそも「フォートナイト」とは? ビジネスへの活用法は?

「フォートナイト」は、Epic Gamesが展開するオンラインバトルロイヤルゲームです。基本的には多人数のプレイヤーがひとつのフィールドに集合し、素材を集めて建築物を建造したり、各地に散っている武器を集めたりしながらサバイブする内容となっています。

その一方で、近年盛り上がっているのが「クリエイティブ」というモードです。このモードでは、プレイヤーが独自のマップを作成でき、ゲームだけでなく、ユーザー同士の交流やイベント実施などをメインとしたメタバースプラットフォーム的な活用が可能です。マップの制作は外部のゲームエンジンを使わずとも可能で、ゲーム内に用意されている構造物を組み合わせることで、自由にデザインできます。

また、本格的なワールドを制作する場合には、ゲームエンジン「Unreal Engine 5」に実装されている機能を「フォートナイト」向けに多数利用できる「UEFN(Unreal Editor for Fortnite)」をインストールします。これまで「Unreal Engine」を利用したことのあるユーザーや開発者であれば、すぐなじみやすいツールとなっているのが特徴です。

フォートナイトでは、これらの機能を使ってオリジナルのマップを制作してゲーム上に公開することによって、収益を得るシステム「島クリエイタープログラム」があります。このプログラムによって収益を得ている現役のクリエイターも国内外で多数いる状況です(※プログラムに加入するには特定の条件と事前申請が必要です)。ただし、この収益プログラムの基準や分配方法に関しては、Epic社側が独自に管理しているため、Epic社の意向により大きな変動がありえることは事前に注意しておきたいポイントです。

また、フォートナイトのユーザー層に向けた商品やコンテンツIPのプロモーションを実施する例も国内外で多数実施されています。上記の「クリエイティブ」モードを利用して、オリジナルのマップを作成し、そこにPR対象の商品の宣伝を組み込むといったケースが多くあります(詳細は下記の章段へ)。その中には、商品をゲーム内で実際に使えるアイテムとして活用できるようにしたり、現実の有名な観光スポットをリアルに再現したりと、さまざまなアプローチ方法が行われている状況です。

海外での活用事例

ナイキ

スポーツ用品大手ナイキは、2023年に公式ワールド「Airphoria」を期間限定公開しています。ナイキのスニーカー「Air Max」のプロモーションを目的としており「Air Max」と「フォートナイト」世界を結びつけることで、“究極のスニーカーハント”体験を提案していました。

マクドナルド(海外)

ファストフード大手のマクドナルド(北米)は、2024年に日本アニメと絡めたプロモーション企画「WcDonald(ワクドナルド)」を実施。PR企画の一環として、「フォートナイト」上で“ワクドナルドマップ”が公開されました。

ワクドナルドとは、日本のアニメでよく見られる「マクドナルドのような見た目だが、看板が“M”ではなく“W”になっているハンバーガーのお店」を、視聴者がネタにしていたもの。後にマクドナルド公式がこのネタを認知し、セルフパロディとして取り入れたという背景があります。そのため、今回フォートナイトに登場したワールドも、海外ユーザーの思うジャパンカルチャーを反映したデザインとなっていました。

ラルフ ローレン

2022年、有名ファッションブランド「ラルフ ローレン」は、自社コレクションを「フォートナイト」に“持ち込む”という形で参入。当時ゲーム内アイテムとして展開された「Polo スタジアムコレクションセット」は、実在のコレクション「1992 Stadium」をベースにしており、オートレースと航空の世界がテーマとなったストリートウェアとして登場。並行して、“実物”のコレクション「Polo Ralph Lauren x フォートナイトカプセル」も販売されました。

音楽フェスティバル「コーチェラ」

アメリカ最大級の野外音楽フェスティバル「コーチェラ・フェスティバル」のコラボイベントとして、2023年「フォートナイト x Coachella」が開催されました。

コーチェラは、1999年から開催されている野外音楽フェスで、1日平均10万人以上を動員する世界屈指の音楽フェスとして認知されています。コラボマップの「Coachella島」では、アートパークからチーム対抗ミニゲームといったコンテンツが体験できたほか、人気DJポーター・ロビンソンさんの楽曲を視聴できました。

コカ・コーラ

コカ・コーラ社は2022年、「コカ・コーラ」の新しいフレーバー“Zero Sugar Byte”味をバーチャル展開するというプロモーションを実施。「フォートナイト」がプラットフォームとして選ばれました。本プロモーションでは、海外グループPWRが制作したコカ・コーラをテーマにした、クリエイティブワールド「Pixel Point」が公開され、「タワー(出されたお題をクリアしていく)」や「エスケープ(即死判定の床からパルクールで逃げる)」など4種類のゲームを遊ぶことができました。

ドリトス

2022年、海外のスナック菓子「ドリトス(Doritos)」は、自社ブランドの公式ワールド「Doritos Triangle Island」を公開。ワールドでは、3つのミニゲーム「Nacho Usual Spleef」、「Spicy Sweet Chiliwars」、「Doritos Crash Course Deathrun」がプレイ可能となっています。

ティンバーランド

アウトドアライフスタイルブランド「ティンバーランド」は、自社製ブーツなどを題材にしたマップ「Timberland Parkour Trails」を公開。3つのヴァーチャル・ブーツ「メタブーツ」を発見するミッションなどが用意されています。ワールドは、ティンバーランドならではの開放感のある自然豊かなワールドとなっており、アウトドア気分を体感できる雰囲気に。また靴を模した巨大なオブジェクトも多数登場します。

国内での活用事例

東京メトロ

東京メトロは2024年、銀座線の駅を舞台にしたマップ「SAVE THE STATION」を公開しました。同マップは、実際の駅の図面をもとに作られており、駅構内や電車の内装も本物に近い形で再現されています。

東京メトロはマップの公開について「世代や性別を超えて多くの人々がつながり、楽しめるeエンタテインメント事業を推進する」ためと説明。メタバースなどの新技術を活用し、東京の多様な魅力と価値を提供するとともに、新たな人の流れを創出することを目指すと説明していました。

凸版印刷

凸版印刷株式会社株式会社モンドリアンは、「フォートナイト」を活用したい企業や団体、自治体のマーケティング支援を企画。2023年、事業の第1弾として「eSports MO-DE inヨルモウデTM」を実施しました。豊川稲荷(愛知県豊川市)のイベント「日本三大稲荷・豊川稲荷 YORU MO-DE(ヨルモウデ)」を、「フォートナイト」で再現したもの。会場ではメタバース上の観光や、カラーブロックゲームを楽しむことができました。

なお株式会社モンドリアンは、東京ドームと協業して、ドームをモデルとしたゲームマップ「Tokyo Dome WARS」を公開するといった事業も行っています。

Sony×マーベル(スパイダーマン)

Sony×マーベルは、2023年のアニメ映画「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」の公開の際、プロモーションの一環として公式マップ「SHIBUYA MULTIVERSE」を展開しました。

SHIBUYA109を中心としたマップで、映画の世界観が再現されているのが特徴。「スパイダーマン」に関連した“サイン”や看板などが配置されています。マップの製作の監修は、制作の監修は、日本の若手クリエイターのヤノス氏が担当したことでも話題となりました。

あいおいニッセイ同和損保

保険会社のあいおいニッセイ同和損保は、2022年に、サイバーパンクを題材にしたアクションマップ「Cyber Parkour by あいおいニッセイ同和損保」を公開しました。株式会社NEIGHBORとの共同製作です。

あいおいニッセイ同和損保は、新たな経済圏の創出および、サイバーセキュリティや防災などの社会課題の啓蒙を目的として展開したと説明しています。また、メタバース上で発生するリスクのノウハウを蓄積し、ユーザーとの新たな接点を構築することをサポートするとも述べています。

本田技研工業(ホンダ)

自動車メーカーの本田技研工業株式会社(ホンダ)は2023年、eスポーツチームZETA DIVISIONと協業する形で、オリジナルゲームマップ「Honda City」を公開しています。

「Honda City」は、架空の未来都市で、謎解きやアスレチックなど様々なステージをプレイ可能。マップ内には「CIVIC TYPE R」や「CRF250R」など、実在する車両やバイクが登場し、開発を進めている「eVTOL」も、プレイヤーがゲームを攻略する上で重要な鍵として登場します。

トムス

トヨタ車向けのカスタムパーツ製造やレース活動などに取り組む、株式会社トムスは「シティサーキット東京ベイ」および臨海副都心エリアを再現したメタバース空間「CITY CIRCUIT TOKYO BAY」を公開中です。シティサーキット東京ベイのPRや、同施設を軸としたインバウンド需要の創出を目的としています。また、バーチャル体験を通じて、新しいユーザー層をリアルなサーキットへ誘導する仕組みの構築も兼ねているとのこと。

朝日広告社

株式会社朝日広告社は、オリジナルの島を公開しているほか、企業/自治体向けのバーチャル空間制作サービスや、マーケティング支援を実施。童話「シンデレラ」をモチーフにしたゲーム「Cinderella Prop Hunt」を公開。「META MEME」の名義で、複数のバーチャル空間やゲームを開発・公開していることも明らかにしています。

Cre8tFun(京都市)

2025年3月、株式会社Cre8tFunは京都市と連携して「【京都】KYOTO PROP HUNT」を公開。京都の二年坂・産寧坂をイメージしたオリジナルマップで、ユーザーとの「かくれんぼ」を体験できます。

本マップは、京都市で営まれている伝統産業(製品)を若い世代向けにPRすることを目的としており、ステージには、京扇子、京和傘、京焼・清水焼、提燈などをイメージしたアイテムが配置されています。またロビーには、各製品を紹介する看板が設置されており、プレイヤーはゲームをプレイしながら京都の伝統産業を知ることができます。

ホテル プラザオーサカ

大阪で営業する「ホテル プラザオーサカ」は、施設内で営業している鉄板焼きレストラン「逢坂(おうさか)」の公式マップ「和牛鉄板パルクール」を公開しています。「和牛鉄板パルクール」は、マーケティング手法の研究や開発のためのワールドとして位置付けられており、プレイヤーは小さくなって鉄板に落ちないようにステージクリアを目指します。

サードウェーブ(ドスパラ)

PCパーツ販売店ドスパラなどを運営する株式会社サードウェーブは、PCパーツをモチーフにしたマップ「Repair Hero」を公開。同マップは5つの島で構成されており、サードウェーブへの入社志望者がプレイすることが想定されています。マップ内にはバトル、降下、迷路などの様々なアトラクションが用意されているほか、同社が入社志望者に伝えたい会社背景や想いが出題されるクイズも実装されています。

松井証券

松井証券株式会社は2024年、“証券業界初”のメタバースとして「MONEY TRADE FIGHT by 松井証券」を「フォートナイト」で公開しました。マップには、価格変動するアイテム「カブー」を売買しながら最終獲得金額を競うといった投資要素が盛り込まれており、ゲーム体験を通じて(プレイヤーに)投資を身近に感じて、興味を持ってもらうことを目標としています。

ポケットカード

「ファミマTカード」「ZOZOCARD」などを提供するポケットカード株式会社は、キャッシュレス体験ができる都市開拓マップ「Pocket Town Tycoon By ポケットカード」を公開しています。

マップ内では、クレジットカード「P-oneカード」の「自動で請求時1%OFF」になるというサービスをゲーム内で体験可能。ゲームを遊びながらキャッシュレスの利便性やユーザビリティを実感できる仕組みが実装されています。ポケットカード株式会社は、今までにない新たなユーザーへの価値提供を通じて、ブランドへの理解促進することがマップを公開した理由であると説明しています。

「フォートナイト」ビジネス活用のポイントは?

上記で紹介したような個々の事例を振り返ると、10~20代の若年層ユーザーがオンラインでフレンドと遊ぶことを想定したワールドが目立つ傾向があります。特に海外事例では、コンセプトやデザインを、フォートナイトで遊ぶ若年層向けに合わせており、派手な演出やシンプルで分かりやすいゲーム体験を楽しめるオリジナルマップが多い印象です。

また、高クオリティな3Dオブジェクトを設置できるゲームエンジン「Unreal Engine」の特徴を活かして、渋谷の街並みを再現したり、高クオリティのHONDAの実在するバイクの3Dモデルを設置できたりといった点も魅力です。すでに別の企画で3Dオブジェクトを所持している企業であれば、メタバースプラットフォームへの横展開も期待できる可能性があります(※フォーマットの変換など別途コストがかかる可能性もあります)。

先述した若手クリエイターのヤノス氏のように、フォートナイト内で
オリジナルマップを展開し、各業界から注目されるクリエイターは多数おり、彼らと企業が共同でプロジェクトを進行する事例も増えています。クリエイターとの長期的な提携によって、フォートナイト内のコアなユーザーに向けたコンテンツ制作やコミュニティ形成も期待できるかもしれません。

その一方で「フォートナイト」では、制作したマップのユーザーのアクセス数やユニークユーザー数がパブリックに公開されない仕様となっています。そのため、どのワールドが盛り上がり、どのような傾向のブームがあるのかを非常に探りにくい状況となっています。「アクセス数を伸ばす」ことを目標に置く場合は、どのようなワールドが積極的に遊ばれ、人の目を惹いているかを確認する必要があると言えるでしょう。現状としては、フォートナイトのクリエイティブモード画面のトップに表示されることが、アクセス数を伸ばすための大きなきっかけになっています。そのため、クリエイティブの「新着」欄に掲載された際や、マップをアップロードする際に一度だけ使える検索ブーストを使用した際に、マップのアクセス数を伸ばすための施策(インフルエンサー起用やイベント施策)などを打ち出すといったことも検討のひとつに入ります。

ビジネス展開を想定する際は「ひとつのマップのアクセス数を伸ばすことを目指す」「長期的なPR展開でユーザーの認知を拡大していく」「フォートナイト内の収益システムを利用する」等、目標をあらかじめしっかり定めておくことが肝心であると言えます。

今回の記事でも一部紹介したように、特定のユーザー(新入社員)などの教育プログラムとしてマップを活用する例や、3D制作の教育目的の活用など、フォートナイトの利用にはさまざまなアプローチがあると言えます。まずは「フォートナイト」ひいては「UEFN」「Unreal Engine」を実際に体験し、どのようなことが可能なのか、どのようなビジネス展開ができるかを考えることが必要となりそうです。

Moguraはメタバース制作〜運用まで伴走します

「プラットフォーム選定を適切に判断し、予算を勘案し、リサーチから運用まで寄り添ってくれる会社はないのか?」とお悩みの方は、ぜひ株式会社Moguraにご相談ください。

Moguraでは、“Mogura NEXT”という、AR/VR/メタバース/アバター(VTuber含む)領域に特化した、リサーチ・コンサルティング・開発サービスを展開しています。

国内最大のXR専門メディア「Mogura VR」を運営する株式会社Moguraによる業界随一のコンサルティング力を武器に、開発・調査・アドバイザリー等幅広く企業・行政機関のXRの取組を支援しています。特に、メタバースの制作に関しては、ご相談ごとにパートナーの開発会社やクリエイターとチームを組成。XR・ゲーム・メタバースの開発経験が豊富なメンバーが実際のサービスやコンテンツ開発までサポートしています。また、業界メディアを運営している知見とネットワークを活かして、メタバースのPRや広報のサポートも行っています。

・建築×Fortnite展開事例(長谷工コーポレーション様)
https://mogura.co/posts/20241031

・ブラウザメタバースを使ったメタバースモデルルーム(長谷工コーポレーション様)
https://mogura.co/posts/20240802

・VRChatを活用した観光PRとデジタル人材育成(鳥取県倉吉市様)
https://mogura.co/posts/20240229

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執筆:井文


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