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テック 2022.08.24

米自動車大手フォード、「道路に情報を投影するヘッドライト」をテスト中。外に表示することで安全性確保

8月15日、アメリカの自動車大手フォードは、標識や天候、案内情報を道路に投影可能なARヘッドライトを試験中であることを明らかにしました。夜間運転に必要な情報を、道路に投影・表示することで、運転者は道路から目を離さずに運転できるようになります。


(画像: Ford News Europe)

道路から目を離さずに情報を確認、HUDの弱点も補う「外に表示」

フォードでは、ドライバーを前方に集中させるためにヘッドアップディスプレイ(HUD)を利用しています。同社はドライバーが道路から目を離さないでいられるように、新しい技術を検討・研究しており、このヘッドライトはその成果の一部です。道案内や速度制限、天気などの情報を道路に投影できます。

車が時速90km/hで走っている時、車は1秒間に25m進みます。したがって、車内に表示された情報を見るほんのわずかな時間でも、周りを見ないまま10m近く進んでしまうこともありえます。明かりの無い夜道では、重要な標識や曲がり道を見逃してしまう可能性も。フォードの新たなヘッドライトを使うことで、道路を見つつ、安全に情報を確認できるようになります。


(画像: Ford News Europe)

また、HUDでは情報を見る際にドライバーの焦点が表示位置に固定されてしまい、道路とHUDの両方に焦点を合わせることは困難です。ヘッドライトで道路に投影すると、道路と情報の両方に焦点が合うため、利用時のドライバー負荷も軽減できると考えられます。

道路に情報を投影することで、ドライバーだけでなく、歩行者や自転車に乗る人にも役立ちます。例えば、横断歩道で道路に書かれた標識がかすれていたり、見えにくい場合には、投影した情報を参考にできます。隣を走る自転車が、安全な距離で通過できる走行経路も表示できます。

フォードでは夜間運転をより簡単にするために、道路にどんな情報を表示すれば良いかを模索しており、天候や路面の状況、道案内、駐車スペースを判断するための車幅など、さまざまなものを検討しているとのこと。

コンピュータビジョンを利用した「スマートヘッドライト」研究も

ヘッドライトとセンサーを使用し、様々な用途に利用する研究はカーネギーメロン大学でも行われています。一例として、自動車に搭載したカメラで対向車を認識し、対向車のドライバー部分だけライトを暗くすることで、ハイビームであってもドライバーの目が眩まないようにできます。また、雨粒の場所を認識して、雨粒の部分のみヘッドライトの光を暗くすることで、雨天走行時のぎらつきを抑えることも可能です。


(画像: カーネギーメロン大学)

自動車に搭載されたセンサと高解像度なヘッドライトを組み合わせることで、周囲の状況に合わせて自然な形で情報が表示され、運転がより簡単になることが期待されます。

(参考)Ford News EuropeSmart Headlight


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