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業界動向 2021.01.27

フェイスブック、VR製品開発は「プライバシー最優先」へ転換?

個人情報の流出など、プライバシーに関する問題が起きてきたフェイスブック。VRについても、Oculus Quest 2の使用にFacebookのアカウントが必須となり、議論を呼んでいます。

このプライバシー問題に関し、同社AR/VR部門Facebook Reality Labs(FRL)トップが書いたという社内向けメッセージが非公式に公開されました。”一切のデータを収集・利用・保存できないという仮定の下で”製品開発を行うと記し、大きな方針転換となる可能性を見せています。

開発のコアは”ユーザープライバシー”

米メディアBig Technologyが入手したというメモのタイトルは”The Big Shift”。FRLのVPを務めるアンドリュー・ボズワース氏からの発信、日付は2020年12月22日です。

内容はFRLのチームメンバーに対するもので、ユーザープライバシーを製品開発のコアとすることを説明しています。

以下はその抜粋です。

1月から、FRLでの製品開発へのアプローチ方法を変えます。まず製品を描き、それを昨今のデータプライバシーやセキュリティの標準に合わせていく手法ではなく、その逆です。我々は一切のデータを収集・利用・保存できないという仮定の下でスタートします。これによって、あるデータが製品を動かすために本当に必要なのか、理由を明確にするという負荷が発生します。

しかしながら、私は可能な限り積極的に、この課題に取り組みたいと思います。データをローカルで処理するよりも、サーバーへ送信する方に対して高いハードルを課すのです。ユーザーがもっと情報を提供できるように、オプションを提示することは何ら問題ではありません。しかしそれをデフォルトとしてはなりません。

ユーザー体験よりもプライバシー保護を

またボズワース氏は文中で、「我々の製品をプライバシーの基本から差別化します。他社がこぞって追いつこうとするような存在になりましょう」と述べました。つまりこの方針は、単にユーザープライバシーに関する世間の期待に応えるだけではない、というものです。

具体的には、自身が過去に在籍したマイクロソフトを例に挙げ、同社のソフトウェアが業務用途でも非常に信頼されていることを説明。「これが、フェイスブックにおける我々のモデルだと思います」と記しています。

プライバシー保護と対立するのが、個々のユーザーに最適化された体験の提供です。この点に関しては、「個人に合わせて最適化するよりも、ユーザー体験を全体的に考える」べきだと述べました。そしてユーザー体験とプライバシー保護のバランスを取るのではなく、プライバシー保護のために製品の品質は犠牲も厭わない、という姿勢を見せています。

大きな転換となるか

メディアOneZeroによれば、フェイスブックは本メモについてのコメントを拒否しています。しかし内容が事実ならば、フェイスブックにとって文字通り「Big Shift(大きな転換)」であることは間違いないでしょう。

フェイスブックやVR/ARを巡るプライバシー問題についてはこちらの記事でも取り上げています。

(参考)Road to VROneZero
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