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開発 2018.06.20

VR内を歩き回るサンダル型デバイス「Cybershoes」

VRの広大な空間を“実際に”歩き回る体験をするためには、トレッドミル(ルームランナー)タイプの「Virturix Omni」のようなマシンがあります。ただし筐体サイズが大きいことや高価であることから、なかなか一般ユーザーにとっては手が出しにくいものです。また、実際に体験してみると、歩く動作とは異なるこデバイスも多く、VRでの歩行は実現しない状況が続いています。

オーストリアのCybershoes GmbHが開発する「Cybershoes」は、大掛かりなマシーンを使わずに、VRの中を自由に歩く体験を実現することを目指しています。

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デバイス装着、座ったまま足を滑らせるだけ

ユーザーは小さいスキー板のようなデバイス「Cybershoes」を両足に装着します。これだけで、「Fallout VR」や「VRChat」といったコンテンツの中で自由に動いたり、一歩一歩進むということもできるようになると謳っています。

Cybershoesはユーザーの足の動きをセンサーでトラッキングしています。体験者は、柔らかい表面であればどこでも、足を滑らせるように動かすだけでVR内での歩行が可能です。VR内で歩くときに現実で立つ必要もなく、その代わり360度回転する椅子に座り、歩いたり走ったりするように、床の上で足を滑らせるだけでよいのです。

https://player.vimeo.com/video/272441110

VR酔い対策に

VRの中で動き回る際の問題の1つに、「VR酔い」が挙げられます。これは、実際に目で見て感じていることと、内耳や体が体験していることのズレから生じるとも言われています。

VR酔い対策として、VRの中で動く際に”テレポート”を使う「Budget Cuts」のようなコンテンツもあります。動かずに移動できるためVR酔い対策にはなりますが、実際に体を動かしてVRを体験する、という楽しみはなくなってしまいます。

しかしCybershoesがあれば、テレポートを使わなくても実際の動きと一致したVR体験が楽しめる、とメーカーは謳っています。このデバイスはまだ開発段階のため、体験者の中にはCybershoesで動いて気分が悪くなった人もいましたが、今後改良が行われる予定とのこと。

リハビリの効果も実証

現在Cybershoesは、主にゲームユーザーから歓迎されています。「スカイリムVR」なども実際に歩くことでより没頭でき、今後も最新タイトルに対応していく予定です。一方で用途はゲームにとどまらず、例えば機械のトレーニングやリハビリ、不動産内覧ツアーなどでの活用も考えられます。

ある実証実験では、多発性硬化症の患者がCybershoesを使ってVR内の地下鉄駅構内を歩き、手を使ってドアを開けるという体験をしました。この結果、患者は実生活でも他人の手を借りず自由に動けるようになり、自分への自信もついたということです。

現在Cybershoesの価格などの詳細は不明ですが、今年9月にクラウドファンディングKickstarterでのキャンペーンを予定しています。早期の資金提供者向けに特典も用意されるとのこと。気になる方はぜひCybershoes GmbHのサイトをチェックしてみてください。

(参考) VRScout
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